2008年(平成20年)9月議会 一般質問

2008年(平成20年)9月議会 一般質問
第10日目 2008年9月24日
発言者:金子 正議長
 次に移ります。 
 坂下しげき議員。 
〔坂下しげき議員登壇〕

発言者:坂下しげき議員
 ニューガバナンスの坂下しげきでございます。通告に従いまして市政一般について質問をいたします。 
 現在の社会経済状況にあっては、官から民へというように行政サービスのあり方が問われています。そもそも行政サービスとは何か。官でしかできないものとは何かというような行政の存在意義、行政の必要性、それ自体を総点検する基調ができつつあります。そして、現実に官でしかできない公権力の行使までを視野に入れた市場化テストをも行われているところでございます。しかし、このような状況であっても、民間では補完できない分野、もしくは行政が責任を持って担うべき分野があると思います。本市では、まだ事務事業評価、ABC分析を行っていると思いますが、どの事業が本当に必要であるのか、拡大すべきなのか、縮小、廃止すべきか、もしくは民間に委託するのかを客観的に判断し、慎重に見きわめる必要があります。そして、1つ1つの事業を適正な判断によって振り分けた結果、生じることになる財政的余剰については、無駄遣いをするのではなく、本当に市民が必要としている事業、行政が責任を持って行わなければならない事業に人材、予算を振り分けていく必要があります。今回の一般質問では、本当に市民が必要としている事業、行政が責任を持って行わなければならない事業、これにかかわる本市の政策決定の過程について質問させていただきます。 
 まず、消防行政についてお尋ねをいたします。 ​

 消防行政は官が担うべき責任ある分野であると思います。市は市民から税金を徴収するかわりに、まず市民の生命、財産を守るという大きな責務を負います。市の消防組織は最も身近で、一番初めに市民のSOSを受け取り、だれに対しても平等に救助する組織であります。このような重要な任務、組織であっても、華美な装備は無駄遣いになります。しかし、いざというときに本当に必要とされる人材、装具がなければ市民の生命、財産を救うことが難しくなります。そこで、装具等の適正な確保についてお尋ねをいたします。 
 消防車のホースは大体1.6MPaまでの圧力に対応できるようになっております。しかし、本市では、1.3MPaまでの圧力にしか対応できないホースも多くあるようでございます。高層住宅や狭い路地からの消火活動には圧力が高いものが必要となるわけでございます。そこで、平成21年度からは1.6MPaのホースを中心に予算確保することはできないのか、お答えをいただきたいと思います。 
 次に、昨今、硫化水素自殺に伴う出動が多くあり、これからは新型インフルエンザなどの発生も懸念されます。このような出動に際しては、防毒着、防毒マスクなど防護服が欠かせません。本市のこれらの必要な装備について適正確保、充実が図れないのか、お答えをいただきたいと思います。 
 続きまして、第2の次世代育成支援の促進、市民、障害をお持ちの方、高齢者の方の雇用拡大についてお尋ねいたします。 
 前定例会で政策入札について提案をさせていただきました。平成19年度決算において、本市は経常収支比率が87.6%もあり、わずかしかない本市の政策経費の中で、これらの課題に取り組むのは困難が伴います。しかし、現に予算化されている委託料の範囲内で積極的な政策展開ができるのが政策入札であります。政策入札とは、外部委託する際の受託者の決定を一般的な入札である価格の高低だけで決めるのではなく、市の政策に合致している事業者であるかどうかを評価して決定していく入札制度であります。例えば入札参加者が市民を雇用しているか、障害者の雇用率を達成しているか、次世代育成支援対策推進法に定める一般事業主行動計画が適正であるかなど、市の政策に沿って入札者を評価し、入札金額のほかにこのような点にすぐれているものを落札者にしていく方法であります。例示したような各種政策は、罰則が厳しくないことから、政策の実現が難しい場合が多々あります。しかしながら、市がこのようなアウトソーシング基準をつくり、政策を前向きに実施している事業者を評価する仕組みが整えば、努力している事業者に対して、市の事業を請け負えるというインセンティブを与えることができ、法が目指す社会の形成に資することができます。大阪府では、庁舎等の清掃業務の入札において、価格、技術評価に加え公共性評価である福祉、環境に視点を置いた政策入札への転換を図り、14人の知的障害者の方の雇用が決まった案件があります。本市の委託料の平成19年度決算額は約187億円、平成20年度予算額では約204億円あります。この一部を政策入札に割り当てても相当な予算が活用できるわけでございます。 
 これまで3定例会にわたって企画部及び管財部に対して、大きく市川市の政策としての方針について質問をしてまいりました。そこでまず、本市の重要課題でもある障害をお持ちの方、高齢者の方の雇用拡大について直接的に所管している福祉部において、執行できる予算の範囲内で積極的に政策入札を導入していくことはできないのかお答えをいただきたいと思います。 
 次に、第3の子育て行政についてお尋ねをいたします。 
 平成19年9月定例会において、主に1歳6カ月児健診について質問をさせていただきました。冒頭でも申し上げたとおり、このような健診は、行政が責任を持って行い、その後のフォローまでしっかり行う必要がある分野であると考えます。その市町村が発達障害の早期発見について積極的に関与することができ、また、責任を負っているのが母子保健法第5条、第12条及び第13条の規定に基づいて実施する乳幼児健康診査であります。障害により学校など集団生活においてうまく溶け込まないお子さんに胸を痛めている親御さんたちが多くいらっしゃいます。また、実際には障害がなくても不安を募らせ、過敏に反応してしまう親御さんたちも少なくないようであります。このような市民の方の支援を行うためには、障害の正確な早期発見とその後の相談、支援体制の充実を図ることが重要であります。正確な早期発見という観点から、平成16年9月定例会で1歳6カ月児健診の指さし確認と問診票の改良について指摘をさせていただきました。そこで、1歳6カ月児健診について、平成20年度に入ってから改善はあったのかどうかお答えをください。 
 次に、当該健診について、88%のお子さんが受診しているとのことでした。しかし、残りの12%は受診していないことになります。このような家庭では何らかの事情があったり、虐待のおそれもあります。受診できない子供、家庭のフォローはどのように行っているのかお答えをください。 
 次に、前定例会で戸村議員もご指摘をされておりました5歳児健診の導入についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 
 5歳児健診は3歳児健診では気づきにくいというAD/HDや学習障害などの軽度発達障害の発見と、3歳児健診における見逃し例の発見に有効であると言われております。これらの障害は、幼稚園や保育園での集団生活の中で気づくことが多いため、3歳から就学時までの段階において早期発見の取り組みが必要と考えます。全国に先駆けて実施している鳥取県では、5歳児健診により軽度発達障害児が約10%の頻度で発見されていると報告しております。また、5歳児健診を契機に保護者が発達遅滞に気づき、学校及び家庭での適応が良好である例も確認できたということであります。全国的にも5歳児健診の実施が広がっているところでございます。こうした結果を踏まえて、本市では5歳児健診の早期実施について、どのように考えているのかお答えをいただきたいと思います。 
 次に、放課後保育クラブについては、今回は質問を取り下げさせていただきます。 
 次に、第4の本市の財産取得のあり方についてお尋ねをいたします。 
 今回は、不動産取得についてお尋ねをします。今年度、本市は東山魁夷記念館の用地を取得しましたが、当該用地には抵当権がついておりました。このような抵当権が設定されている用地を買収する場合の金銭の支払い、抵当権抹消登記、所有権移転登記はどのように行ったのかお答えをください。 
 また、抵当債務の残債務額と本件土地の評価額についてお答えをいただきたいと思います。 
 続きまして、第5の行政評価の実施状況についてお尋ねをいたします。 
 さまざまな事業における政策的判断、つまり事業の継続、拡大、縮小、廃止を決めるもとになるのが、この行政評価であります。行政評価には政策評価、施策評価、事務事業評価があり、本市では事務事業評価を実施しているわけでございます。そのほかにも事務事業の改善のためにABC分析があります。このような行政評価の結果により、次年度予算ないし短期の事業計画を立てるものと考えますが、本市では平成15年度以降、公表がありません。現在、このような行政評価を公表していない理由についてお答えをいただきたいと思います。 
 以上、1回目の質問とさせていただきまして、ご答弁によりまして再質問させていただきます。

発言者:金子 正議長
 答弁を求めます。 
 消防局長。 
〔矢作政雄消防局長登壇〕

発言者:矢作政雄消防局長
 消防行政について、装備品の充実に関しますお尋ねにお答えいたします。 
 消防活動に使用します消防ホースは、迅速な消火活動を実施するために、大量の放水が可能であること、さらに延長が容易で、軽量、コンパクトであることが求められます。消防ホースは車両を更新する際に整備するものと、単体で更新整備するものがあり、消防局では、現在1,308本を保有しております。各車両にはそれぞれ50本の装備を割り当て、消防車には常時20本を積載し、交換や補充用としまして30本を保管しております。所有している消防ホースはポンプ車、可搬ポンプのどちらでも使用可能であります。使用圧力は1.3MPaと1.6MPaの2種類でございます。更新につきましては、消防活動による破損や使用頻度、消耗程度などを考慮し、損傷、消耗が激しいものから順に更新することとしております。また、使用中の事故を防ぐために、消防署では定期的に耐圧テストを行い、安全管理に努めております。消防局では、阪神・淡路大震災後の平成8年度より1.3MPaの消防ホースから、より高圧送水が可能な1.6MPaの消防ホースに随時交換しておりますが、現在は両方の消防ホースが混在しておりますので、更新時には1.6MPaのホースに交換するように努めてまいります。 
 続きまして、防護服についてでございますが、消防局には、現在、陽圧式防護服が24着、簡易防護服が消防隊用として114着、救急隊用として75着、合わせて189着整備しております。陽圧式防護服は生物剤や化学剤などの特殊災害に対して最前線で活動する隊員が着用し、簡易防護服は特殊災害現場において関係者の避難誘導や後方支援に当たる隊員が着用しております。また、最近、全国的に発生が続く硫化水素ガスによる自損行為などの災害にも着用しております。本市でも、本年に入りまして硫化水素ガスに関連する出動は8件発生しております。硫化水素ガスなどに対する出動体制としましては、西消防署の機動化学隊を中心に5隊、20名の隊員が出動し、その際に15名の隊員が簡易防護服を着用しております。簡易防護服は、数回使用し、機密性がなくなった時点で廃棄しております。出動の増加により、当初予定の使用数量を超えているという状況でございます。このような状況から、防護服の使用頻度がさらに多くなることが予想されます。また、今後は新型ウイルス対策としての備蓄も考慮して、増強等の整備を進めていきたいと考えております。 
 いずれにいたしましても、消防装備は消防活動上重要な役割を担っており、消防部隊の効率的な活動を最大限に発揮する機能が要求されますことから、新素材及び新方式の装備を積極的に採用し、将来展望に基づく整備が必要であると考えております。さらに、災害出動もますます多種多様化しており、消防を取り巻く環境も大きく変化しております。この変化に対応するために、各方面から情報収集を行うとともに、消防装備の充実強化を図ることは必要不可欠であると認識しておりますので、関係部署と協議、調整を図りながら、市民の負託にこたえられますように消防装備の一層の充実強化を行っていきたいと考えております。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 福祉部長。 
〔松本マキ子福祉部長登壇〕

発言者:松本マキ子福祉部長
 障害者、高齢者等の方々の雇用拡大に関する政策入札についてお答えいたします。 
 初めに、政策入札に関する福祉部の取り組みでございますが、平成18年度に急病診療・ふれあいセンター集会室の指定管理者を選定する際に、価格だけではなく、高齢者や障害者の就業状況等を評価項目に加え、基準評価値と加算点を加えた総合評価点で指定管理者を選定したところでございます。さらに、今年度は大洲デイサービスセンター及び南行徳デイサービスセンター等の指定管理者の選定に当たりましても、障害者の雇用状況に法定雇用率の達成状況を評価項目に加えて選定に当たっているところでございます。しかしながら、これは現状の雇用に対する評価の1つでございますので、将来的に新規に障害者等の雇用に直接反映するまでには至っていないと考えているところでございます。今後は将来の新規の採用予定も項目に入れていく必要があると考えております。 
 ご質問の政策入札でございますが、他の自治体におきましても導入するところが出てきております。本市におきましても、本市の政策に対する取り組み姿勢を対外的に示すとともに、事業者にインセンティブを与えることなどによりまして、政策入札は障害者等の雇用を進める上で有効であると考えております。これまでの議会のご質問を受けまして、政策入札は全庁的に取り組んでいく必要性がありますことから、現在、管財部におきまして政策入札の骨格の部分、手続に関する基準案や入札参加者の提案等を評価するための判断基準のひな形などの整備を行っております。 
 今後についてでございますが、政策入札の導入に当たりましては、先ほどの管財部の作成します骨格、基準案、ひな形などに基づきまして、どのような方法が最も効果的なのか、それぞれの評価項目に対する具体的、客観的な基準の設定や、障害者や高齢者等の就労のほか次世代育成支援の促進、環境政策の推進など、ほかの政策と連携調整を図っていく必要がございます。 
 いずれにいたしましても、障害者等の雇用の拡大につきましては、福祉部といたしましても重要な課題でございますので、全庁的な推進のために積極的に取り組んでまいります。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 保健スポーツ部長。 
〔岡本博美保健スポーツ部長登壇〕

発言者:岡本博美保健スポーツ部長
 私のほうからは子育て行政について3点のご質問についてお答えいたします。 
 初めに、1点目の1歳6カ月児健診の指さしと問診票に関してのご質問についてお答えいたします。本市の1歳6カ月児健診は、運動の発達や視聴覚等の障害、発達障害等の幼児を早期に発見し適切な指導を行うとともに、生活習慣や栄養などの育児に関する相談を受け、保護者の不安や心配を軽減するために実施しております。1歳6カ月児健診は、保健センターなどで行う集団健診と、個別に行う内科健診の2つで構成されております。集団健診の実施状況は、平成19年度には年間48回実施し、対象者数4,538人のうち4,082人、90%のお子さんが受診されております。1歳6カ月の集団健診の内容では、身体計測、オリエンテーション、問診、相談、歯科健診、歯磨き指導となっております。特に問診及び相談の際には、事前に記入していただいた問診票に基づき、保護者からお子さんの成長や育児について伺うとともに、お子さんが言葉の指示に応じられるか、絵を見て知っているものを聞くと指さしを行うかなど、絵カードや積み木などを使用して人とのコミュニケーションが可能であるかなどを確認しております。さらに、家庭での様子を伺うことで、精神発達のおくれや自閉症などの発達障害の疑いのあるお子さんを把握することができます。また、この健診の機会に、保護者からは、子供の成長が順調かどうか、食事や排せつのしつけなどについて多くの相談をお受けしております。このような方法で1歳6カ月児健診を実施しておりますが、現在の問診票と絵カードを使用した問診及び相談において障害の疑いを発見することが可能でございますので、健診の目的を果たしていると考えており、改善はしておりません。 
 次に、2点目のご質問の1歳6カ月児健診の未受診者のフォロー体制についてお答えいたします。1歳6カ月児健診の受診期間は満2歳を迎える前日までになっておりますので、1歳9カ月の時期にまだ受診されていない方に対しましては、受診勧奨の通知を差し上げております。また、新しい取り組みといたしまして、今年度10月から受診勧奨を行うとともに、受診できない理由や子供の状況、それから子育ての不安や心配事が記載できるように、往復はがきを使用して通知を行う方法に改善いたしました。この返信結果により、個別に対応していきたいと考えております。 
 次に、3点目のご質問の本市における5歳児健診の考え方についてでございます。3歳児健診調査は、幼児期において身体発達及び精神発達の面からも重要な時期に総合的に健診を実施し、その結果に基づき適切な指導を行うものです。特に精神発達については、中軽度の発達障害などの発見に努めております。平成17年に発達障害者支援法が施行され、母子保健法に規定する健康診査を行うに当たり、市町村は、「発達障害の早期発見に十分留意しなければならない」ことと示されたことから、3歳児健診の問診票の見直しを行いました。この問診票には、軽度の発達障害の早期発見も視野に入れ、言葉の使い方、対人関係、行動面の質問項目を新たに組み入れております。まだ新しい問診票にして間もないため、十分な検証は行えませんが、これまでは言葉のおくれなどが多く発見されていましたが、最近はこの新しい問診票の活用で、落ち着きのなさ、乱暴などの問題行動を発見することができるようになってまいりました。 
 そこで、ご質問の5歳児健診の考え方でございますが、この効果は、3歳児健診では発見が難しい軽度の発達障害を早期に発見し、就学前にその年齢に合った適切な生活習慣や集団生活を身につけるなど、具体的な生活支援につなげていくことと言われております。この5歳児健診では行動観察を取り入れ、発達障害の専門の小児科医の診察や、今後の幼稚園、保育園や療養施設での集団生活における支援が不可欠であるかどうかを確認していきます。また、5歳児健診の最大の目的は、保護者の方がお子さんの状況に気づく機会とも言われております。診察の際に発達障害が疑われるお子さんを発見した場合は、保護者を初め多くの関係者の認識を高めるとともに、発達障害児への支援方法について等、研究、検討していくことが必要であると言われております。また、厚生労働省の研究事業においては、発達障害の発見は5歳では遅く、3歳児健診の充実を図るべきという意見もございます。したがいまして、本市といたしましては、現在の3歳児健診の検証を行いつつ、国の動向を見据えつつ、今後の健診のあり方を検討してまいりたいと考えております。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 文化国際部長。 
〔原 健二文化国際部長登壇〕
発言者:原 健二文化国際部長
 私からは本市の財産取得のあり方に関する東山魁夷記念館の拡充用地取得に関するご質問にお答えします。 
 初めに、東山魁夷記念館拡充用地として今回購入いたしました土地の購入の経緯についてお答えいたします。この土地は、昨年、所有者から、公有地の拡大の推進に関する法律により、市川市を経由して千葉県知事あてに土地買取希望申出書が提出された東山魁夷記念館と東山画伯のご自宅との間に位置する約1,900平方メートルの土地でございます。本市といたしましては、早速庁内において検討に入りまして、平成14年に策定いたしました東山魁夷記念館基本構想におけるアトリエの公開等の実現を図る上でも非常に有効な土地であり、ぜひ購入すべきであるとの結論に達したことから、平成20年2月定例会において用地購入に関する経費を当初予算に計上いたしまして議決をいただいたところでございます。その後、所有者と協議を重ね、細部について合意に至りましたことから、本年6月10日に土地売買契約を締結したものでございます。 
 さて、ご質問の東山魁夷記念館用地として取得した土地には抵当権が設定されておりますが、このような用地を取得する場合の金銭の支払い、抵当権抹消登記、所有権移転登記はどのように行うのかについてお答えいたします。本件の売買契約は、本年6月26日にこの土地に抵当権設定登記をしている金融機関の会議室におきまして、売り主である土地所有者、買い主である本市の担当者、抵当権設定登記をしている金融機関の担当者及び登記手続を行う司法書士が同席いたしまして、売買契約に基づく売買代金の前金の口座振り込みを所有者及び金融機関がこの場で確認した後、同席の司法書士が同日、直ちに法務局に出向きまして、抵当権設定登記の抹消登記手続及び本市への所有権移転登記手続を行ったものでございます。なお、本件につきましては、抵当権抹消の当日の午前中に本市が振り込みを行う前提といたしましては、あらかじめ抵当権設定登記をしている金融機関に対しまして、本市が所有者に前金を支払った場合には必ず抵当権設定登記の抹消登記手続をする旨の確約書を徴したことによるものでございます。その後、抵当権設定登記の抹消登記及び本市に対する土地の所有権移転登記が完了したことを確認し、また、所有者から8月11日に土地の引き渡しをされたことから、9月4日に契約に基づく残金の支払いを完了いたしました。 
 次に、抵当債務の残債務額と本件土地の評価額についてでございますが、抵当債務額は所有者との協議の段階で、所有者側から示された土地についての債務額は1億2,000万でありました。土地の評価額につきましては、他の用地取得の場合と同様に、市の不動産鑑定業務登録業者の中から、過去の実績等を踏まえまして2者を選定して不動産鑑定を行い、2者の鑑定額を比較して低い額を当該用地の評価額といたしました。 
 以上であります。

発言者:金子 正議長
 企画部長。 
〔能村研三企画部長登壇〕

発言者:能村研三企画部長
 私のほうからは行政評価のうち事務事業評価の公表に関するご質問にお答えをいたします。 
 事務事業評価につきましては、民間企業におけるコストの削減、あるいは事務効率の向上等のために開発されたシステムでございます。事業の効率性、有効性などを明らかにするとともに、厳しい財政状況の中で限られた予算を有効に使い、最大限の効果を上げるための1つの手法でございます。本市では行財政改革の一環といたしまして、平成10年度から個々の事業を対象にした事務事業評価に取り組み、当初はモデルケース的に幾つかの事業を選出し、公表いたしております。その後も平成13年度、14年度については各分野の重立った事業の評価をホームページ上で公表いたしました。当初は事務事業評価の積み重ねが施策、政策評価につながるものであると考えておりましたが、その実績を重ねるうちに、個々の事務事業に対する効率性の改善にはつながるものの、各事業が上位の施策や政策に対してどの程度寄与し、また、効果的であるのかという観点に立った評価にはつながりがたいという課題も見えてまいりました。評価については、アウトカム指標、いわゆる成果指標として、市民に対してどのような成果があったのかという指標を用いることが重要であると言われておりますが、個々の事務事業の目標値については、どうしても事業量のアウトプット的なものが多くなるところでございます。つまり、事務事業評価では、人材や財源をどれだけ投入し――これはインプットでありますが、それから、どれだけの事業を実施したのか――これはアウトプットでございますが――という実績で、その事業の効率性を評価し、改善につなげていくことは可能となりますが、その評価そのものをもって市の施策がどのように実現しているかを示すまでには至らなかったのではと考えております。 
 事例で申しますと、例えば渋滞の解消という施策の実現に向けて、ある地点からある地点までの平均移動時間の短縮という目標を設定した場合でございますけれども、ハード面の事業としては、道路整備や交差点の改良など個別に実施していくわけですが、この場合の評価といたしましては、どうしても道路の整備率とか、交差点の改良箇所数などが指標値となってしまいます。このようなことから、事務事業評価につきましては、あくまでも内部の業務改善のツールであるととらえ、現在その結果について公表しておりません。しかしながら、各事業の進捗状況という意味での情報公開につきましては、年度ごとに決算時期にあわせて決算に係る主要な施策の成果に関する報告書、あるいは市政概要、また広報、ホームページ等により積極的に公開しているところであります。市民の方に対して行政状況をわかりやすくお知らせすることにつきましては、事業を施策別、政策別にまとめて評価する施策評価、政策評価へシフトしていく必要があろうかと考えております。本市では、実施計画である第二次総合3カ年計画により試験的に計画に目標値を置いたところでありますが、現在の第三次総合3カ年計画では、さらに施策の柱ごとに関連する諸計画、附属機関、関連施設なども明記するとともに、実施計画事業以外の主な取り組みについても掲載し、その施策全体が把握していただけるように留意したところでございます。また、本市の基本計画が平成22年で計画期間が終了いたしますので、来年度からは次期の基本計画策定に着手することになりますが、この作業の中では、市民意向調査を初め、近隣市や類似団体との行政水準の比較、法改正等社会状況の変化への対応などさまざまな調査や分析を通じて基本計画の進捗について、また、基本構想とのぶれがないかどうかについて施策、政策レベルでの評価を行う必要があると考えています。その中では、従来の「真の豊かさを感じるまち」や「市民と行政がともに築くまち」など、まちづくりの基本目標という政策のくくり方だけではなく、健康都市の視点からの評価も盛り込むなど、よりわかりやすいものにしていきたいと考えております。いずれにいたしましても、今後、総合計画審議会や専門家の協力もいただきながら、市民への説明責任を果たすという観点を重視した行政評価に取り組んでまいりたいと考えております。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 答弁は終わりました。 
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 それぞれご答弁をいただきまして、ありがとうございました。 
 まず最後の行政評価の実施状況のところですけれども、ご答弁を伺っておりますと、結局、行政評価を活用できていないというふうに感じました。今回、事業が廃止されましたあんしん共済事業においても、事務事業評価による結果が示されていないわけであります。こういった評価、いたずらな評価は事務を煩雑化させるだけで何の意味も持ちませんので、もう1度評価の方法、内容を検討して、効果のある評価をつくり直していただきたいと思います。 
 また、ご答弁にありました3カ年計画には数値目標、指標がついて、以前より向上したとは思います。しかし、その目標や指標に関しての評価の部分がないわけでございます。評価がなければ見きわめの判断はできません。また、項目が具体化せず漠然としていること、大まかになっているところが気になるわけでございます。しっかりと評価を行い、公表していただきたいと思います。 
 ご答弁では、市民の方が見づらいというようなご答弁があったかと思いますが、今ほとんどの自治体で莫大な量のこういった評価をきちんと公表しているんですよね。IT先進都市市川市、インターネット上で整理して、見やすいつくりにして公表をできるように、本市のシステムも対応できるように、よろしくお願いしたいと思います。 
 そして、消防ホース装備のほうですが、ホースの件については前向きなご答弁をいただけたと思います。高層住宅もふえているわけでございます。市民の生命、財産を守るために必要な予算を確保していただきたいと思います。 
 防毒服についても消防局からご答弁いただきましたが、新型インフルエンザ対策の一環としても重要であると思います。消防局長のお隣にいらっしゃる危機管理監、よく聞いておいてください。ひとつよろしくお願いします。危機管理監においても消防と密接に連携していただいて、充実を図っていただきたいと思います。積極的に取り組んでいただきたいと思います。何やら浦安のほうでは積極的に補正予算か何かで予算を確保したという話も伺っているところであります。それらを参考にしていただいて、ぜひ市民の生命、財産を守れる危機管理、また消防体制を整えていただきたいと思います。 
 続きまして、次世代育成支援の促進等についてでございますが、政策入札について。福祉部からは前向きなご答弁をいただけたかと思います。次世代育成支援の促進の観点から、こども部において、政策入札の活用による政策の実現についてどのように考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。 
 続きまして、子育て行政についてでございます。健康診査時の改善についてお尋ねをしたわけでございますが、1歳6カ月児健診の問診票については変わっていないということでありました。問診票のほかにも健診における改善点があろうかと思います。例えば集団健診における問診と育児相談については、保護者が周囲を気にせず相談できるプライバシーの守られた場所の確保が必要であると言われているところでもあります。問診と育児相談について、このようなプライバシーが確保されたところで行われているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。 
 続きまして、本市の財産取得のあり方についてでございます。今回の財産取得だけではないと思いますが、抵当権つきの不動産を購入する場合、抵当権の抹消が重要になるわけでございます。民民契約であれば、売買代金の引き渡しなど迅速にでき、抵当権者、売り主及び買い主において抵当権の抹消と所有権移転登記はしやすいと思います。しかし、市が買い主の場合、地方自治法や財務規則によって前払い金ができる条件が厳しくなっていることから、債務者において抵当権を消滅させることが難しいと考えられます。今回は所有権移転登記の完了前である抵当権抹消手続のときに、市が売買代金の70%を前払いしているわけでございます。市川市の財務規則第168条では、所有権移転登記が完了した後でなければ購入費を払えないことになっております。そこでお尋ねをいたします。どのような根拠に基づき所有権移転登記完了前に70%の前払いができたのか、お答えをいただきたいと思います。 
 以上、再質問とさせていただきます。

発言者:金子 正議長
 こども部長。

発言者:?橋憲秀こども部長
 政策入札に関するご質問にお答えいたします。 
 企業の社会的な貢献を促すための政策入札ということでありまして、企業の社会的貢献に期待する分野は多々あろうと思います。私どもこども部で申し上げれば、次世代育成を支援するという立場からいきますと、ワーク・ライフ・バランス、家庭と仕事の調和がとれた社会の実現というのが、やはり大きいわけでございまして、そのために果たすべき企業の役割、自主的取り組みに期待する部分は極めて大きい。それを促す、背中を押すという意味で政策入札の導入というのは、手段として意味があると思います。一方で、部門単位でやりますと、例えばこども部の契約だから実際計画をちゃんとつくった企業に公共性評価をしましょう、福祉部は障害者雇用とばらばらにやりますと実効性が上がらないということもあります。また、さまざまな課題がありましょうから、その課題についての検討も必要である。また、適正に行うためには、組織的なものも必要である。そういうことで、管財部が音頭を取って、そこに僕たちが歩調を合わせていくというのが一番合理的だということでありますので、そういった視点でおくれのないよう準備していきたいと思います。 
 以上です。

発言者:金子 正議長
 保健スポーツ部長。

発言者:岡本博美保健スポーツ部長
 私のほうから問診や育児相談のときのプライバシーについてお答えいたします。 
 相談の場所は非常に大切でございまして、保護者の方と1人ずつご相談を受けるわけでございます。現在は待合の場所と別に、例えば1階の個室がございます。そちらを相談室としておりますが、今後、相談内容によっては、あるいはお子様の行動等もありますので、部屋を別にして3階の和室を使うとか、必要があれば、さらに検討してまいりたいと思います。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 文化国際部長。

発言者:原 健二文化国際部長
 私からは抵当権つきの用地の抹消が重要であって、その場合、どのような根拠に基づいて所有権移転登記の完了前に70%の支払いができたかということについてご答弁申し上げます。 
 本市が抵当権設定登記がされている土地を購入する場合には、所有者に抵当権設定登記を消滅していただき、その上で売買契約を締結することを原則としておりますが、事情によりましては、必ずしもそのとおり進むものばかりではございませんで、事案に応じて抵当権設定登記の抹消登記と、本市に対する所有権移転登記について、原則の流れを踏まえつつ適宜工夫をしながら、本市に不利益が生じないように売買契約を締結しているものでございます。本件につきましては、抵当権設定登記がされていたことから、市がこの土地を購入するためには、まず抵当権抹消登記が条件となりました。所有者との土地売買に係る協議の中で、抵当権抹消に係る手続につきましては、本市が特約として代金70%の前金払いをし、同時に所有者は抵当権設定登記の抹消登記手続を行うとともに、所有権移転登記に必要な関係書類を本市に提出することを条件として契約を締結いたしました。お尋ねの前金払いとして売買代金の70%を支払うことができる根拠といたしましては、市川市財務規則第71条第3項第2号におきまして、支出命令者は、前金で支払う金額について特約がある場合には契約金額の10分の3に相当する金額を超えて前払い金をすることができるとされていることから、この規定によったものでございます。 
 また、前払い金の割合の70%でありますけれども、千葉県土木部等用地事務取扱規程の公共用地等取得による保証金の前払いの限度についての前払い金の限度額を参考といたしております。 
 以上です。

発言者:金子 正議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。 
 政策入札について、今ある予算を活用して政策の実現が図れる手段であります。市川市民の雇用、高齢者の方の雇用、障害をお持ちの方の雇用の充実を責任を持って図っていただきたいと思います。 
 最後にこの政策入札については、メリットとして、市の政策がアウトソーシング事業に引き出せるという面及び談合防止につながるという面がありますが、一方では、価格以外の要素が落札の基準となることから、落札者の決定が不透明になるというデメリットもあります。したがって、市の政策に沿った落札の基準を公平な観点でつくり、採点基準を明らかにしていく必要があることを申し添えておきます。 
 それから、健診のところでございますが、プライバシーの確保、これをしっかり行っていただきたいなと思います。これについては改善を早急にしていただいて、相談しやすい環境を整えていただきたいと思います。 
 また、5歳児健診についてはいろいろな研究、検証がされていることでございます。しかし、実際に効果があるという結果が出ているわけでございますし、急速に5歳児健診を取り入れる自治体がふえているわけでございます。本市は健康都市ですよね。このような他市での状況や検証結果を踏まえ、迅速に対応し、市民の健康、生活を支援していくのが本当のあり方だと私は思います。長野県駒ヶ根市が毎月開いている5歳児健診は、歯科健診とあわせて行う複数の集団遊びを利用して行っています。本市は就学時前までに6回の歯科健診がありますが、こうした健診は行っておりません。そこで、まずは机上での議論、検討を長引かせるのではなく、5歳児健診の効果がどのようなものかを試行してみたらいかがでしょうか。これについては強く要望いたします。 
 乳幼児の健診については、市民が行政を頼りにしている部分もあり、市として責任を持って行わなければならない分野であると思います。適正な人員の確保、人材の養成、そして予算の確保が必要であると思います。市として責任感を持って担っていただきたいと思います。 
 それでは、土地の関係でございます。千葉県土木部の規程と市川市の財務規則に沿ったということでございますが、これは地方自治法施行令第163条では、前金払いは規則で定めなければ支払いができないということになっています。千葉県でも、このため財務規則に前金払いの規定をつくり、そして、さらに部長がおっしゃった用地事務取扱規程を設けて執行しているんです。また、松戸市なども財務規則に規定して行っております。ところが、市川市にあるとおっしゃっているけれども、定めているのは、そういうのじゃないんですよね。千葉県財務規則(前金払)第84条「令第163条第8号に規定する規則で定める経費は、次の各号に掲げるとおりとする。1各種保険料(社会保険料を含む。) 2土地又は家屋の買収代金 3通勤手当」となっているわけであります。市川市の財務規則に土地又は家屋の代金というのは入っておりますか。確認をさせていただきたいと思います。

発言者:金子 正議長
 文化国際部長。

発言者:原 健二文化国際部長
 この用地の買い取りの手続につきましては、関係所管と調整の上、進めたものでございます。そういう意味からしまして、先ほども申し上げたとおり、手続についての流れというものは間違っていないと考えております。 
 以上です。

発言者:金子 正議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 やはりこれは全庁的に言える問題ですね。70%の前払い金、土地購入について財務規則にない。そして千葉県の規定に沿って、あとは所管でやったということでは、全然法にのっとっていないことになるわけです。きちんと明確に地方自治法施行令に、「規則で定めるもの」といって、千葉県では84条で、しっかりこういうふうに出しているんです。やはり財務規則の中でしっかりと定めていかなければならないんじゃないですか。これは全庁的に言えることだと思います。各所管で土地を購入するケースもあるようでございますが、ここら辺について、総務部長、財政部長、というのは、財務規則で1,000万以上の執行は財政部長の決裁が必要になるわけですよ。ですから、お答えはいただかなくて結構ですけれども、お二方とも、しっかりとそこら辺はやっていただきたいと思います。 
 そして、やはりそれを監査する方もいらっしゃるわけですよね。ですから、そういったところを含めて、庁内できちんと監査をしていただきたいと思います。これは本当に市川市の財務規則にないんですよね。他市の財務規則、例えば松戸市、浦安市、柏市、大概規定がしっかり載っているんです。しっかりやっていただくことを要望いたしまして、私の一般質問とさせていただきます。 
 以上です。