2008年(平成20年)6月議会 議案質疑

2008年(平成20年)6月議会 議案質疑
第1日目 2008年6月4日
発言者:金子 正議長
 これより質疑に入ります。 
 質疑の通告がありますので、発言を許します。 
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
 新政クラブの坂下しげきでございます。通告に従いまして、議案第3号市川市第三庁舎耐震補強工事請負変更契約について質疑をさせていただきます。 
 まず、契約変更するに至った経緯について具体的にお答えください。 
 次に、増額する997万5,000円の設計はどのように行ったのかお答えください。 
 次に、工期について変更はないのかお答えください。 
 以上、1回目の質疑とさせていただきまして、ご答弁によりまして再質疑をさせていただきます。

発言者:金子 正議長
 管財部長。

発言者:小? 忠管財部長
 3点のご質疑につきましてお答えさせていただきます。 
 

 まず、1点目の契約変更に至った経緯についてでございますが、これは、第三庁舎の北側のくい工事に平成20年1月31日に着手いたしました。くい本数6本のうち4本までは順調にくい打ちを終えたのですが、2月7日に残りのくい2本分の施工に入ったところで、地上より深さ4m付近で、まず第1回目の地中障害物に当たり、作業を一時中断し、市監督員にその状況の報告がなされております。そこで、市監督員が現場の状況を確認した後、再度、打ち込みが可能かどうか確認するために、地中探査機というもので――地中の障害物がどの深さにあるかどうかを調べるものなんですけれども、それによりまして概略の調査をしております。そうしましたら、その中では、くいを中央の部分を若干ずらせばくい打ちが可能ではないかというような判断もできましたことから、2月19日にもう1度くいの位置をずらしまして施工が可能かどうか、20日に施工を行っております。ところが、20日に施工を行ったのですが、やはり同じように4mのところまでは順調にいきましたんですが、やはりそれ以後のところにおいて地中障害物が再度出てきてしまった。そういう中から、施工ができないということで作業を中断しております。 
 そこで、2月29日に、このくい打ち工事をそのまま続けることができるかどうか、請負業者と協議をしました。続行困難ということから、請負業者であります株式会社熊谷組に対して、くい打ち工事の一時中止を通知しているという状況にございます。そして、3月1日に、実際地中障害物はどのようなものが存在しているかというものを、さらにある程度把握するために、再度範囲を拡大しまして、口径450㎜のドリルを使いまして拡削しております。その結果、やはり地上より深さ4mから6mの付近におきましてコンクリートのがらや木片、鉄くずなどの障害物の存在がわかりました。 
 そこで、この地中障害物を撤去する施工方法につきまして、今後どのような方法でやっていったらいいかということにつきまして、安全性とか経済性とか施工性、その後の補強工事のくい打ちがきちんと品質確保ができるかという観点から検討しております。検討した結果、案といたしまして3つほど考えられました。1つ目としては、コンクリートの塊とか、そういうものを実際機械で砕いてしまう方法、ロックオーガという機械で掘る方法が1つはあります。2つ目として、障害物の位置まで人力で掘り下げる、いわゆる深礎工法といいます。それによりまして地中障害物を撤去する方法、3つ目として、小規模機械で地中障害物の位置まで掘削するわけなんですけれども、その際に、土砂が崩壊しないように仮の山どめを行いながら、小規模機械で実際に障害物のある深さまで掘削していく方法という、この3点が考えられました。 
 これらの3つの施工方法についても、それぞれメリット、デメリットがございまして、1つ目のロックオーガ工法につきましては、工事費は3つの施工方法の中では一番安いんですけれども、障害物がコンクリートの余り大きくない、例えば15㎝とか10㎝とか、そういうものであったり、木片であったり、鉄パイプなどの場合には、実際に機械で掘っていった場合に動いてしまうということから、きちんと完全に除去できない可能性があるというデメリットがあります。2つ目の深礎工法につきましては、工事費用は3つの工法のちょうど2番目でありますけれども、掘削途中で周りの土砂が崩壊する危険性があって、施工者の安全性を確保する点に不安があるという大きなデメリットがございます。これらの2つの方法には一長一短のデメリットがある施工方法でございまして、3つ目の仮山どめ工法につきましては、工事費においては先ほどご説明いたしました2つの工法より若干は高目でありますけれども、施工の安全性が最も高く、かつ確実に障害物を撤去することができます。そして、その後のくい打ち工事のくいの品質も確実に確保できるなどメリットが大きいことから、この仮山どめ工法を選定するというふうに至った時間を要しております。このことから、地中障害物の種別などをある程度把握するための調査、撤去工法の選定の検討におおむね2カ月、そして的確な数量の把握と設計金額の算出に時間を要し、また、さらに契約変更の手続に時間を要していることから、直近の今議会への提案となったものであります。 
 次に、2つ目の997万5,000円の積算設計はどのように行ったかということでございます。設計金額を算出するためには、まず数量を正確に把握した後、この数量をもとに現場条件や施工条件などを考慮いたしまして算出いたしております。まず、今回のケースで設計数量の確認方法についてでございますが、数量の確認を必要とする施工段階におきまして、その都度、市監督員の立ち会いのもとに数量の検収を行い、数量調書を作成しております。そして、次に設計金額の算出方法ですが、施工場所の状況や工程の流れを勘案いたしまして、現在の請負業者であります熊谷組から見積もりを徴取したものと、もう1点は、あらかじめ市が立会検収で把握しました数量をもとに市川市の施工標準単価、そして国土交通省の公共建築物工事積算基準、さらに市川市の積算指針に基づきまして算出しております。そして、さらに市場の価格も確認しながら、内容を精査した上で算出しているという状況でございます。 
 3点目に、工期の変更は行わないのかについてご説明させてもらいます。当初の契約工期の設定につきましては、この工事がプロポーザル・デザインビルド方式による方法でありまして、特定者であります株式会社熊谷組のほうから、実はその段階で提案の工程表が出されております。そして、設計時に作成した工程表に基づき、まず20年の1月末という工期を設定しております。この工程表では、庁舎南側の補強工事、外構工事、仮設事務所の撤去などの工事が庁舎の南側であるため、実際の工期の設定におきましては、南側の工事工程で決まっているという状況でございます。北側の工事は、もともと南側の工事と並行して施工することが可能でありまして、今回、約2カ月工期がおくれたとしても、実際に足場解体までを含めまして、おおむね年内に完成するというふうに考えております。したがいまして、当初に契約いたしました工期で完成すると考えておりましたので、工期の変更は行わなかったものでございます。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。通告第1の変更契約に至った経緯について再質疑をさせていただきます。 
 工事施工場所に、当初予定していなかった、予期しない障害物、コンクリートの塊などがあったということであります。このような障害物が残されている原因については調査をしているのかお答えください。 
 それから、コンクリート障害物が発見されたのが2月であります。前議会の2月定例会は3月24日までやっていたわけですね。この間に変更契約の議案を提出できなかったのかお答えをいただきたいと思います。 
 次に、契約変更理由についてですが、原契約約款第16条により変更となっておりますが、ご答弁の変更契約に至った経緯からすると、原契約約款第15条が相当だと思いますが、変更契約を第16条としたことについてお答えをいただきたいと思います。 
 次に、第2の変更後の設計及び増額金額についてでございますが、本案件はプロポーザル・デザインビルドにより決定した契約案件であります。提案した設計内容を施工することで契約目的が達せられるものであります。ご答弁では、当初予見できなかった地中埋設物の撤去に係る設計及び増額とのことであります。この変更契約に伴ってプロポーザルで提案された当初設計及び工事目的物に変更は生じるのかお答えをください。 
 それから、増額変更の設計金額については、前回、変更契約の議案のご答弁をいただいたときに、市の設計金額に請負率を乗じて変更契約金額を算出するとのことでした。今回はプロポーザル・デザインビルド方式で、通常の入札とは異なる形で当初設計の設計金額を出しているわけです。予定価格を設定した案件になるわけですね。したがって、落札率、請負率は100%なんです。業者の見積もりが提出されて積算したということでありますが、増額分について、請負率をどのように考えて積算したのかお答えをください。 
 次に、工期についてでございますが、ご答弁では、発見から調整までに2カ月間を要しているけれども、工期については変更ないということであります。実際には、この設計変更分についてはどのぐらいの工期を要するのかお答えをいただきたいと思います。 
 以上、再質疑とさせていただきます。

発言者:金子 正議長
 管財部長。

発言者:小? 忠管財部長
 何点かの再質疑についてお答えさせていただきます。 
 まず、1点目の障害物の原因について調査しているのかという点でございますが、先ほどもご説明したように、障害物はコンクリートのがらとか木片とか鋼製のパイプというものなどで、建設廃材が主なものでございました。先ほどもご説明しておりますけれども、今回の地中障害物が確認された場所は第三庁舎の北側に当たり、第二庁舎とのちょうど間にあります。障害物の原因について調査ということですが、状況から考えますと、第二庁舎、もくしは第三庁舎の建設時の廃材ではないかというふうに考えております。しかしながら、これらの庁舎建設には幾つかの業者が関係しておりまして、今回の障害物の原因者を特定するということは難しいというふうに考えております。 
 次に、2点目の発見したのが2月の中旬ではないか。3月の議会が24日までやっていたので、そのときまでに提案できなかったのかということについてお答えをさせていただきます。先ほども経緯の中でご説明をさせていただきましたけれども、障害物の存在がわかりましたのは2月7日でございます。ただ、これは地上から深さ4mから6mの位置にあるというだけがわかっただけでありまして、数量の把握というものがそこではできておりません。その数量の把握をして、施工方法の検討をしてというところがはっきりわかりましたのが3月末でございます。そして、その後調査をいたしまして、数量の把握、設計金額が確定するというのが5月に入っております。そういう中から、2月にはちょっと提案が難しかったというのが状況でございます。 
 3つ目のご質疑なんですけれども、今回の変更契約は原契約約款第16条としているが、第15条ではないかというご質疑でございます。原契約約款の中では、15条と16条が確かにご質疑者の言われるとおりにございます。そこで、第15条と16条について若干説明させていただきます。15条につきましては、請負人がとるべき措置として定めた規定でございます。第16条は、発注者側がとるべき措置として規定したものであります。そこで、今回の設計変更に至るまでの経緯につきまして、先ほどもご説明をさせていただきましたけれども、施工者から、障害物があるということの報告を受けまして、原設計どおりに施工するには撤去するしかない、そして、撤去方法について協議が調うまで工事を中止しております。撤去方法が決定し、障害物の撤去を指示、そして工事の再開を通知しております。このようなことから、原契約約款第16条の規定による発注者である市川市がとるべき措置として設計変更したものでございます。 
 次に、4点目の工事完成品は当初設計どおりできるのか。今回の契約変更は地中障害物の撤去でございます。したがいまして、当初要求しております耐震補強の施工については地上のものでございますから、その後新たにやるということで、そのまま目的完成物の品質は当初設計どおりに確保されるというふうに考えております。 
 それと、5点目なんですけれども、請負率と落札率の件でございますが、当初、第三庁舎の発注では、確かにプロポーザル・デザインビルド方式を採用しております。プロポーザル・デザインビルド方式の趣旨は、多種多様化している耐震補強方法を幅広く募集する目的として、今回取り組みまして、特定者と随意契約を結んだものでございます。当時、予定価格の決定につきましては、市川市には財務規則第98条の第2項で、入札に付する事項の取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間等を考慮して公正に決定としなければならないと定められております。原契約での設計金額の算出方法につきましては、確かに特定者である熊谷組から提出されました設計数量を精査し、それにあわせて私どもで事前に把握しました数量の調書をもとに、市川市の標準単価や国土交通省というところに基づきまして設計価格を精査しております。今回の設計変更の金額におきましても、当初の原設計の請負率が基本となりますので、今回の変更額について、請負率は100%で契約をするものでございます。 
 最後ですけれども、今回の変更において、地中埋設物をとるのにどのくらいの工期を必要とするか。工程表で大体試算していきますと、おおむね3週間程度というふうに考えております。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。契約変更に至った経緯についてですが、これは原契約約款の質疑とも共通してくるんですが、設計や施工条件と異なる事実を請負者が発見したときには、直ちに市に報告することになっています。これが4月7日ですかね。そうすると、14日以内に市は調査し、設計を見直すことになっていますよね。ご答弁では、請負業者から計画書をもらっているということだったですよね。さっきの増額変更額の確定のときも相手方の見積もりがベースになっている。請負率は100%ということなんですよね。というと、請負業者に先導されている感じがするわけですよ。ですから、契約どおりの事務手続をしていればと思うんですが、また、今回のようなケースでは、請負業者に損害が生じれば、市が賠償を負うこともあるので、工事の中断は最小限にとどめなければならないわけであります。確実に手続を行って変更契約を進めなければならないと思います。したがいまして、市川市では設計や施工条件と異なる事実がわかったときは、どのように手続を進めているのかお答えをいただきたいと思います。 
 また、障害物が地中に残されている原因についてですが、深く追っていかないということだったですか、わからないということだったんですが、この原因が究明できれば、この工事の施工者に瑕疵担保責任が問えるのではないか、可能性があると思うんです。このことについては検証したのか、また、瑕疵担保責任の時効が過ぎているのか、可能性があるのかお答えいただきたいと思います。 
 また、変更理由についてですが、原契約約款第16条ということでしたが、逆に第15条を使うのはどのようなケースになるでしょうかお答えいただきたいと思います。

発言者:金子 正議長
 管財部長。
発言者:小? 忠管財部長
 3点の質疑についてお答えいたします。 
 1点目の、業者からの報告があって工事を中止したのではないか、そういう場合は15条の適用ではないかというお話でございますけれども、今回のケースは、確かに業者から、地中に障害物があってくいが打てない、だから、立ち会って調査してほしいというお話でございました。その場合に、市のほうがそれを受けまして、実際にくい打ちができないので調査をしてやっていくという方法で、市がみずからその先をやっていますので、今回の16条のほうに適用する。 
 3番目の質疑と一緒になってしまいますけれども、15条につきましては、業者のほうがそういうものができたから、施工条件明示とか仕様書とか設計書の内容と違うから、もうこれ以上工事は進められないという申し出があったときに、その状況に応じて協議をして設計変更をやるというものが15条の内容でございます。先ほども申しましたように16条は、確かに最初の初動行為といたしましては、請負業者のほうからそういう話の情報をいただきました。その後の調査とか対応とか、そういうものにつきましては、市のほうがじかにやっておりますので、そのままの規定どおりで16条が適用されるというふうに考えた次第でございます。 
 2つ目の瑕疵担保についてどうか。もし業者がわかった場合に、責任があるんじゃないか。瑕疵担保責任は問えないのか、請求できないのかというようなお話がありました。これにつきましては、確かに業者がわかったときに、実際できるかといった場合には、瑕疵担保期間につきましては、第二庁舎が建設されてから約38年、第三庁舎が建設されまして約30年が経過しております。民法上で定められている債務不履行による損害賠償などの請求につきましては、民法415条では時効が10年、民法638条請負の瑕疵担保責任期間は引き渡しから10年、そしてもう1点ございまして、民法709条不法行為による損害賠償というのがございまして、これでも20年までしか適用できない。今回の場合は第三庁舎でも30年を経過しておりますので、時効が実際に成立してしまったというところから、請求は難しい、できないのではないかというふうに考えております。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。瑕疵担保責任は問えないというところですけれども、やはりそういったことを明らかにしていくということも必要ではないかなと思います。それから、いずれにいたしましても、変更契約を行う際は、約款等に従って、市と請負者双方が適正な手続を踏んでいってほしいと思います。例えば、先ほど第15条についてはいろいろ云々ということをおっしゃっていたように、15条には手続が示されているんですよね。不測の事態による設計変更及び工期延長は、市が請負者に損害を賠償する責任が生ずる場合があります。これは増額の変更と賠償金は別であります。工期が長くなるということは、損害に当たる場合もあります。内容手続を慎重に行い、そのような事態が生じないようにお願いしたいと思うわけであります。 
 それから、地中の障害物については、法令、契約約款に従い行っていただきたいし、また、損害を回復してほしいと思っていたのですが、それは損害を回復できないということのようなので、せめてどういったところがやってというのを公表していただいて、もしそういった業者が、今参加登録しているのであれば、市独自としてのそういった対策、対応というものもとれるのではないかなと思うわけであります。 
 また、約款を見ると、プロポーザル・デザインビルドによる契約にもかかわらず、提案内容の実現ができなかった場合の賠償規定がないんです。PDBの利点が生かされないので、考えていただきたいということを申し上げまして質疑とさせていただきます。 
 以上でございます。

発言者:金子 正議長
 以上で通告による質疑は終わりました。 
 これをもって質疑を終結いたします。