2006年(平成18年)12月議会 議案質疑

2006年(平成18年)12月議会 討論
第4日目 2006年12月6日
発言者:佐藤義一議長
 これより討論に入ります。 
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。 
 谷藤利子議員。 
〔谷藤利子議員登壇〕

発言者:谷藤利子議員
 日本共産党の谷藤利子です。認定第1号平成17年度決算のうち、一般会計、国民健康保険特別会計、下水道事業特別会計に対し、日本共産党市議団を代表して反対の討論をいたします。 
 まず、総論的に述べたいと思います。 
 平成17年度の市川市の財政力指数は、4年連続上昇し、全国の類似団体37市中第1位です。実質収支比率と積立金は3年連続上昇、公債費比率は4年連続減少、地方債残高は3年連続減少、経常収支比率は前年比1.2ポイント減少と、軒並み財政指標がよくなっています。監査委員の意見書では、「本市財政は各種財政指数における改善の傾向からしても、着実に健全化に向かっており、その努力は評価に値するものである」と述べています。しかし、軒並み財政指標がよくなっていることで、自治体運営が健全化していると言えるのでしょうか。 ​

 市民の暮らしは、国の政治と切っても切り離せません。小泉前首相は、構造改革なくして景気回復なしと宣言をして、徹底した庶民増税を進め、規制緩和の徹底で非正規雇用を増大させ、さらには介護、医療、障害者のサービスまで徹底した自己負担増を求め、格差社会と言われる大きな社会問題を生み出しました。こうした国の政策に対し、市民の暮らしや福祉、教育を守るためにしっかりと国に物を言いながらも、独自にできる支援策を模索し、最善の手を尽くすことが地方自治体の役割となっています。また、行政運営に責任を持つ市長や幹部職員、また市議会議員みずからの改革を積極的に進め、市民ニーズや市民感覚になじまない経費はなくすこと、さらには、不要不急の経費削減に努力を尽くすことです。 
 こうした角度から審査をした結果、第1に、市の財政健全化計画の目標達成のために、国の構造改革に加えて、市独自の市民負担増を進めていること。第2に、福祉、教育分野の事業の見直し、職員削減を徹底して行い、市民サービスの現場での痛みが大きいこと。第3に、市長、議員を初め、みずからの改革、不要不急の経費削減には消極的であること。第4に、国の国民いじめの構造改革や、福祉、教育切り捨ての件に対し、市民の暮らし、福祉を守る立場で十分な働きかけがされていないことです。 
 以下、主なものに絞って具体的に申し上げます。 
 大きな1点目は、徹底して市民負担増を進めていることです。 
 税の収納等における市民の暮らしへの配慮について。平成17年度の市川市の税収は、21億930万円の増となりました。その中身は、景気回復による法人税の伸び分10億5,600万円の一方で、個人市民税の伸び分10億3,700万円は、増税によるものです。市民の給与収入がふえているかといえば、4年前に比べて年間平均約20万円もマイナスになっています。その結果、住民税の滞納世帯数は、5年前の1.3倍にふえています。生活保護世帯も、小中学校の就学援助を受けている子供の数も、5年間で1.5倍にふえ、学校の給食費を滞納している子供の数は5年間で2倍になるなど、格差拡大による収入の減少は、高齢者の増加によるだけではなく子育て世代にも広がり、景気回復の恩恵は大部分の市民には反映されていないということです。市税や国保税など、滞納世帯の一元管理システムを導入し、預貯金や不動産などの財産差し押さえなど、徹底した収納対策の強化で収納の実績は上げておりますが、所得格差と負担増によって市民の暮らしが大変になっているのではないかという認識、また、独自の支援については消極的です。 
 各種使用料手数料についてです。財政健全化計画のもと、平成11年度から使用料手数料、また、特別会計の下水道使用料、国民健康保険税も含め、徹底した市民負担増を断行してきました。負担がふえた総額を平年化された額の積み上げで見ると、平成12年度からの市民負担増は約51億円になります。平成17年度は、国の増税や医療、介護などの負担増計画が顕在化してきた年で、市独自の負担増に対する再検討こそ必要であるにもかかわらず、駐車場の有料化などのさらなる負担増が断行されました。 
 国民健康保険税について。平成17年度初めの全国の国民健康保険税の滞納世帯は470万世帯、1年以上滞納して保険証をもらえない世帯が30万世帯を超え、いずれも過去最高になっています。国民健康保険は、高齢者、自営業者、そして非正規雇用の労働者など、低所得層がふえ続ける構造的な問題を抱えており、国の格差拡大政策の影響が大きく反映しているにもかかわらず、全国で税の値上げを続けてきたからです。市川市でも、平成17年度末で加入者の83.8%が所得300万未満となり、低所得化が進んでいる一方で、平成12年、16年の全部改正によって約13億5,000万円の税の引き上げが行われました。収入未済額は、5年前より30億円ふえて67億円に、延べ滞納世帯数は2万8,597世帯、5年前より約4,000世帯ふえています。 
 滞納世帯への対応については、担税力がありながら支払う意思がない者には厳しく対応するのは当然ですが、生活することもぎりぎりだったり、病気だったり、さまざまな困難な事情がある場合が少なくありません。市民の暮らしや命を支える立場から、きちんと緻密な聞き取りをすることこそ最優先にしなければなりません。しかし、きちんと面談しての聞き取りを十分にすることなく、督促に応答がなかったからと、1年以上の滞納世帯のうち8,451世帯には短期保険証を、129世帯には資格証明書を発行、その件数も過去最高です。また、財産差し押さえ件数は484件、5億8,000万円と過去最高ですが、所得の減少を対象とした申請による減免件数は8件中3件と、相変わらず伸びておりません。 
 全国市長会が、全国の国保加入者の負担率が著しく高くなっているとして財源措置を国に要望しているように、財源不足の大きな要因の1つが国の負担切り捨てにあります。国が医療費に対する負担割合を減らし、運営費の一般財源化を進めてきたからです。医療費の伸びを理由に、受益者負担と滞納への制裁の正当性だけを強調する前に、国と自治体の社会保障としての位置づけを明確にするべきです。 
 下水道使用料についてです。下水道事業は、水洗化の普及による住環境の整備と降雨時などの浸水対策など、大変公益的な事業です。そのために下水道建設費、いわゆる資本費は、本来使用料には算入されていませんでした。ところが、高い利息のついた政府債を伴うこの資本費を、平成6年度から使用料に算入し、その割合はどんどん引き上げられました。当初は8%だったものが17年度は54.5%に、近隣類似市の中では船橋市に次いで2番目に高い状況です。また、一般家庭の使用料金は、近隣市で最も高くなっています。市川市の受益者負担の徹底が反映したものです。また、市債残高426億円のうち、7.5%以上の利率の2件については低利に借りかえできましたが、4%以上37件、5%以上が28件も残っています。低利への借りかえをさらに強く求めるべきです。下水道普及率が伸びないのは、利用者の責任ではありません。受益者負担増は市民への責任転嫁であって、本末転倒です。 
 大きな2点目、福祉、教育分野の事業の切り捨てや職員削減が目立つことについてです。 
 まず、福祉関連についてです。扶助費について、市長は、平成15年度に市川市の今後の福祉のあり方についてを市川市行財政改革審議会に諮問し、平成16年度9月に答申が出されました。しかし、この答申を待たずして、平成15年度から介護手当や福祉手当の廃止、寝たきり老人の紙おむつや差額ベッドの助成の見直しなどで約6,000万円を削減、16年度もはり・きゅう・マッサージ、住宅改造費助成金などの見直しで約5,400万円を削減、平成17年度は介護保険訪問介護利用者負担軽減事業の見直しで、国、市合わせて前年比3,751件、948万円を削減し、さらに福祉関連の扶助費全体で7,830万円もの不用額を出しています。増税、医療、介護などの高齢者の負担増、障害者支援費制度など国の制度の影響で自己負担がふえているときに、追い打ちをかけるように市独自のサービスまで縮小していくことは、市民の立場とは言えません。 
 公立保育園の委託化についてです。平成17年度から市川保育園と行徳第二保育園を指定管理委託に切りかえました。委託によって2園で6,140万円の財政効果があったとのことです。その理由は人件費で、公立の職員の年齢平均が42歳であるのに対し、法人は32歳であったためということでした。公私格差がない市川市にとって、年齢の違いが人件費の違いになるのは当然で、市川市で新規採用の職員を補充すれば、法人同様かそれ以上の財政効果があることははっきりしています。その努力は全く対象外に、職員削減計画遂行ありきになっています。また、委託に切りかえても保護者の不安が大きいことから、保護者と法人と市の三者協議会を毎月土日に持ったとのことでした。小さな子供さんを持つ保護者が、土日を割いてこのような時間を持つことも大変であると同時に、法人にとっては、新たな保育園のために採用された職員で、年齢も経験も違い、初めて顔を合わせて、公立保育園のこれまでの内容を受け継ぎながら、それ以上のものをつくり上げる苦労は大変だったようで、園長がわずか1年でかわったとのことです。これだけの苦労と努力をしなければ切りかえることかできない公立保育園の委託のデメリットについては、きちんと検証し、計画遂行ありきの姿勢を改めるべきです。 
 保育園の保育料についてです。国のアンケート結果でも、子育ての経済的負担が少子化の大きな要因になっています。勤労者の3人に1人、青年の2人に1人が非正規雇用のもとで、安心して結婚し、子育てもできるための経済的支援は、緊急課題です。平成17年度の保育料の収入未済額は1億3,100万円、不納欠損は542万3,300円、収納対策を強化しているもとでの多額の滞納の原因にしっかり目を向けるべきです。市川市の保育料は、受益者負担の徹底によって平成13年度から5年間連続して値上げをしました。滞納が多い所得階層が、近隣5市の中で最も高い保育料になっています。子育ての経済的負担を軽くしてほしいという強い要求にこたえることが子育て支援の重要課題だということを認識して、保育料の引き下げを検討するべきです。 
 保育園の職員配置についてです。定員適正化計画に基づく正規職員の削減は、平成17年度までに504人、18年度からさらに275人を削減する第2次定員適正化計画も平成17年度に作成されました。職員削減は、民生、衛生、教育部門に集中しています。保育園の正規職員は年々減り、36%、150人が臨時職員になっています。その仕事内容は、正規職員同様に恒常的で責任あるものであり、保育園の運営にはなくてはならない存在になっています。しかし、給料も休暇の保障も大きく違い、昇給も退職金もないなど、その条件は余りにも違い過ぎます。保育をライフワークにしたいと情熱を持って仕事をしたいと思っても、続けることが難しくなるなど、安全で安定した保育サービスの継続という面からも問題があります。福祉現場でのコスト主義の人員配置を改善するべきです。 
 さらに、教育関連についてです。 
 入学準備貸付金について。入学準備貸付金は、平成16年度から所得制限を厳しくしたことから、5年前に比べ77件、約3,000万円も落ち込んでいます。就学援助を受けている子供の数が5年間で1.5倍にふえ、学校給食費を滞納した子供の数が5年間で2倍になるなど、子育て世代の所得格差も大変深刻になっている中でのことを考え、対象の制限をするべきではありません。 
 教育部局の職員の配置について。学校事務員、用務員、調理員などを中心に、正規職員が年々削減され、31%、180人が定数外職員になっています。学校給食は直営と民間委託が半々になったとのことですが、異物混入が直営では9件であったのに対し、委託校では34件あったとのこと、教育は保育同様、責任ある人員配置があって成り立つ現場です。福祉や教育も聖域なく職員削減を行う弊害をきちんと検証するべきです。 
 次は、徹底した職員削減と極端な能力主義が職場環境を悪化していることについてです。定年による市川市の職員の退職者数は46%、過半数が勧奨と病気、自己都合による退職となっています。また、年間30日以上の病休をとった職員の48%が精神疾患によるということからも、学歴、年齢撤廃の職員採用、昇任選考試験導入など、能力主義での生き残りが徹底して、中途退職もふえ、職場の士気に大きく影響していると言わざるを得ません。 
 大きな3点目は、市長や議員みずからの改革が進んでいないこと。また、不要不急の事業にメスが入っていないことについてです。 
 議員の費用弁償について。毎月の報酬以外に、議会に出ると交通費などとして1日3,000円、平成17年度は421万円支給されました。近隣市では、議会改革としてどこも廃止をしています。報酬の二重取りだと、市民からもひんしゅくを買っています。日本共産党は当初から受け取ってはおりませんが、現在では42人の議員中16名の議員さんが拒否をしています。早急に廃止をするべきです。 
 市長の退職金について。市長には、4年の任期が終わるごとに退職金が支払われます。平成17年度は、市長の退職金2,919万円が支払われました。支給率は、県内では政令市の千葉市に次いで2番目の高さです。徹底した市民負担増と福祉などの扶助費が見直しをされて、削られている中でのみずからの改革には消極的と言わざるを得ません。 
 市長、幹部職員の海外行政視察について。平成17年度は、韓国、マレーシアなどに市長と幹部職員12人が3回、約150万円の経費で海外行政視察が行われたということです。情報、行革、健康都市施策の交流ということですが、これでもかの市民負担増と職員削減、福祉サービスの切り捨ての中で、これも自粛の対象とするべきです。 
 情報システム費について。電子自治体3年連続全国一があらわしているように、IT関連は徹底した先行投資を続けています。情報プラザ、南行徳市民センターや行徳支所、大柏出張所などに設置されたテレビ電話システムは、結局利用が伸びず、平成17年度末で廃止されました。16年度末に広報などで大々的に宣伝して実験的に行われた住民基本台帳カードによる地域通貨てこなカードも、結局利用が伸びず、それっきりで棚上げされたままです。住民基本台帳カードは、17年度末で4,910枚、交付率1.1%と普及していないにもかかわらず、自動交付機6台、2,900万円もかけて、利用は620件、12%です。今後さらに自動交付機を17台ふやして、カード作成費用を無料にする一大キャンペーンを張るなど、不要不急であるにもかかわらず、何が何でも普及しようとしています。住民の個人情報を全国ネットで把握できる住民基本台帳ネットワークシステムのトラブルによる裁判が全国で多発していますが、市民のニーズの角度から、あるいは個人の情報管理の面からも、こうした情報電算システム最優先の姿勢を改めるべきです。 
 余熱利用施設について。クリーンセンターという迷惑施設の地域還元施設として予定していたこの施設は、平成17年度オープンを見込んで、PFI事業として平成15年度に約26億5,800万円で事業者と契約したものでした。しかし、平成16年度に基準を超えるダイオキシン類が確認され、平成17年度に改めてダイオキシンを含む廃棄物撤去を条件に契約変更をしました。事業費は、アドバイザー費用、モニタリング費用なども含め、46億3,700万円と大幅にふえることになりました。ダイオキシンを完全に撤去したとしても、近隣市で立派な類似施設が現在できていることから見れば、利用の見込みは大きいとは思われません。地域に還元するのなら別の方法を考えて、費用対効果からも、環境の面からも、この契約については勇気ある変更、解除をするべきです。 
 土木費の防犯カメラについて。平成17年度は、駐輪場への防犯カメラが72台、1,022万4,000円設置されました。警察からの要請で情報を提供した件数は4件とのこと、どのような効果が上がっていると言えるのでしょうか。今後、さらに195台をリースで、年間1,778万4,000円で設置予定とのこと、費用対効果の検証が十分にされているとは思われません。防犯カメラ設置ありきになっていると考えます。 
 県事業負担金について。県道や1級河川などの県の土木工事に対し、7,836万円の市の負担をしています。全国的にも多くの県で地元負担金を廃止しています。県に改善を働きかけているとのことですが、強く求めるべきです。 
 大きな4点目として、国や県への働きかけが不十分である点についてです。国保、下水道関係については、所管のところで指摘しましたので、一般会計についてのみ指摘いたします。 
 外環道路計画地の固定資産税、都市計画税について。移転した約900戸、2,500世帯分の影響ですが、平成17年度は1,335万7,000円、これまでの影響額は3億9,000万円とのことです。住宅街が延々と空き地と化し、商店の営業への影響も甚大です。地元住民や市への還元は何ら図られておりません。 
 国庫支出金、県支出金について。補助対象事業に対する補助額が現実には不足するために生じる市の超過負担の割合が、国庫支出金で1.6%、県支出金で17%と改善されておりません。 
 高利率の公債費について。一般会計の市債残高約780億円の約90%が政府債で、そのうち金利4%が122件、134億円、5%以上は56件、58億円です。長期に高金利での返済計画で縛る国の方針に対しての転換を強く求めていくべきです。 
 以上、主なものに絞って個々の反対理由を述べました。全国的にもトップクラスの財政力のある市川市は、今こそ国の国民大増税、社会保障切り捨ての格差拡大政策に対して、市民の命や暮らし、子育て支援、教育を充実させるための特段の努力をすること、同時に、国、県への財源の保障をしっかりと求めるべきであることを述べて、反対の討論といたします。

発言者:佐藤義一議長
 次に、坂下しげき議員。 
〔坂下しげき議員登壇〕

発言者:坂下しげき議員
 新政クラブの坂下しげきでございます。ただいま議題となっております認定第1号平成17年度市川市一般会計、特別会計及び公営企業会計決算の認定について、緑風会、みらい、新政クラブ第2及び新政クラブ第1を代表いたしまして、委員長の報告のとおり賛成の立場から討論をさせていただきます。 
 まず冒頭で、決算についての大前提となる事項を述べさせていただきます。 
 本市の予算は、毎年シーリング一律何%カットというように厳しい予算査定が行われております。また、経常収支比率も第2次財政健全化計画の目標が達成されておらず、平成17年度決算では86.2%となっており、政策的経費に充てる財源不足が懸念されます。また、公債費及び債務負担行為について、経常収支比率の計算式に変更があれば、本市の経常収支比率のさらなる悪化も懸念されます。このような状況において、引き続き同じ手法を踏襲している本市の財政運営が最善であるかどうかは疑問であります。つまり、シーリング一律何%カットというような手法は、財政が硬直化している一時期においては、緊急避難的に有効な手法と言えます。実際に本市においても、財政的に非常に苦しい局面にあったときに効果を上げたと評価しております。しかし、以前に比べ財政状況が変化している今日においては、ある程度この手法に限界が見えてきている感があります。これからは、決算結果を最大限活用し、トータルコストによる業績評価を行い、次年度予算に生かしていくような方策を立てていくことが重要となります。 
 したがいまして、決算審査は次年度以降の予算を方向づける重要な意義を持つものでなくてはなりません。今まで国会、地方議会を含めた日本の決算審査は、予算審査よりも軽視されてきたという批判があります。予算偏重主義であります。国会のテレビ中継、新聞でも、予算配分にかかわる審議は華々しく報道されますが、決算審議については記憶にないことが多いと思います。一般の会社では、健全な経営のために決算を最も大事にするわけでございます。どんなすばらしい予算案があっても、決算が伴わなければ、単なる大ぶろしきを広げただけの放漫経営になってしまいます。ところが、日本では予算偏重主義が必ずしも見直されていないわけであります。 
 国家予算において多額の借金をつくった1つの大きな原因は、決算を軽視してきたことにあるとも考えられています。日本のこうした行政体質の弱点は、政策評価を行ってこなかった点にあり、これが予算消化の組織風土を生み出しました。しかし、こうした時代は終わり、現在では計画やプロジェクトの見直し、廃止、予算の減額など、聖域なき改革の議論が高まってきております。決算審査は、次年度以降の財政方針の決定、予算配分、そして未来の健全な財政運営を図る上では最も重要で、私たちのこれからの生活に係る大切な審査と言えます。 
 このような視点に基づいて、平成17年度決算につきまして私なりの視点から評価をし、意見を述べさせていただきます。 
 それではまず、平成17年度決算の総論について申し上げます。平成17年度の決算収支を見てみますと、一般会計の決算規模は、16年度の減税補てん債の借りかえから歳入歳出ともに減額となっております。しかし、実質収支は前年度に比べ4億5,000万円ふえ、38億7,000万円となり、17年度でも実質収支比率における適正水準を確保しており、また、特別会計や病院事業会計でも黒字決算としたところであります。 
 次に、一般会計の歳入について申し上げます。一般会計の歳入は、市税が税制改正や景気回復を反映して3%を超える伸びとなったことなどから、自主財源全体では3.5%の増加となりました。一方で、依存財源は借換債を考慮しても減額となっています。この依存財源については、自主財源の大きな伸びが期待できない中で、市民サービスを維持拡充していくためには必要な財源となります。依存財源の確保として、平成17年度では国のまちづくり交付金制度、地域住宅交付金制度などを活用した都市基盤整備を開始し、国の補助金や市債などの確保に向けた積極的な動きが見られました。しかし、ここで重要なことは、本市にとって本当に必要と考えられる交付金は着実に確保する必要がありますが、逆に市民ニーズ等が得られないような箱物、将来的に維持することが負担となるものについては、しっかりと見きわめ、安易に国の交付金等の制度に乗るようなことは避けなければなりません。本市のニーズに合致するものだけを取捨選択し、将来性、計画性のもとに的確に判断していく必要があります。 
 次に、市債については、平成17年度はミニ市場公募債を初め、新たな市債が発行されました。したがいまして、今後は新たな財政負担が見込まれることから、市債については事業内容、世代間負担の公平性、後年度負担への配慮を総合的に判断し、計画的な活用に努めていただきたいと思います。 
 次に、収入未済額について申し上げます。17年度の収入未済額は、全会計で132億3,000万円となり、前年度に比べますと3億円の増加となっております。10年度から取り組んできた収納体制の強化により収納率は向上し、17年度においても、市税の収入未済額は減少しておりますが、国民健康保険税などの収入未済額の増加により、全会計では収入未済額が増加しております。この収入未済額が増加するということは、収納対策による人件費、旅費の増額など、歳出予算にも影響を与えることになります。収入未済額の増加は、税負担の公平性、また納税意欲という観点から見過ごすことのできる事由ではありませんが、収納率のアップが収納に係る歳出経費を増大させるというような非効率は、避けなければなりません。 
 他の地方公共団体では、この分野において積極的なアウトソーシングを行っております。収納率の向上と経費のバランスを勘案し、さらに体制を整え、効率的な事務による税負担の公平性の確保が図られるよう要望いたします。 
 以上、歳入につきましては、引き続き自主財源の着実な確保、依存財源の適切な選択、そして長期的な財源見通しの上での市債の活用、これらを適正に図っていただきたいと思います。 
 かわりまして、歳出について申し上げます。総じては、執行率が前年度並みの96.3%で、おおむね適正な執行が行われたものと考えております。しかし、予算計上したものが執行できずに全額不用額となったものも見受けられます。これら不用額については、速やかな減額補正を行うなどの措置を引き続き徹底していただきたいと思います。また、不用額を安易に流用できないような財政統制をきちんと行い、予算目的に反するような流用、執行がされないよう、さらに適正な予算執行を図っていただきたいと思います。 
 続きまして、平成17年度の一般会計歳出につきまして、総合計画の基本目標の中から幾つかの主な施策を見てまいります。 
 まず、「真の豊かさを感じるまち」を目指す施策についてですが、高齢者施策では、介護予防事業のいきいき健康教室及び地域ケアシステムの拠点を充実し、新たにコミュニティーワーカーを配置するなど、地域活動の支援体制を強化しています。ほかにも、民間が建設する高齢者向けの優良賃貸住宅に対する支援を決めるなど、高齢化社会に向けた施策の拡充が図られています。障害者施策では、4月にこども発達センターを開設し、子供の発達に関する窓口を一本化して、早期相談、早期支援を基本に、専門家による支援の充実を図ったほか、養護学校の卒業生を受け入れる通所施設を整備しています。昨年は、障害者自立支援法が成立し、障害者施策は大きな制度改革が行われています。今後も障害者の意見によく耳を傾け、実態を見きわめて、本市の障害者施策に反映するよう要望いたします。 
 少子化対策、子育て支援に関する施策では、保育園の建設費の補助、保育クラブやビーイングの増設と施設整備を進めるとともに、育児支援サービスを開始し、さらに乳幼児医療費の助成対象年齢を拡大するなど、少子化、子育て支援の施策を行っております。今後も施策の方向性をしっかりと認識し、市民ニーズにこたえた施策の展開を期待するところでございます。 
 次に、教育に関する施策でありますが、児童数の増加に対応するために、新井小学校の校舎の増築をしております。また、健康教育の分野では、小児性生活習慣病検診において成果がありました。このように、教育に関する施策について、総じて評価をしているところでございます。 
 次に、「安全で快適な魅力あるまち」を目指す施策について申し上げます。17年度では、災害対策関係の事業を実施しております。市内の現地活動拠点における防災資機材の充実、防災倉庫の整備などがあります。消防に係る施策でも、救急救命士の5名増員、携帯電話からも119番通報ができるようなシステムの改修を行っており、評価できるところでございます。しかし、災害対策については十分過ぎるということはありません。避難所自体の整備も重要ですが、家屋の倒壊等により避難所まで行かれる状況にない被災者の方の迅速な人命救助体制や、被災後の物的、財的な復興支援に充てる財源の確保、そして予防的措置である家屋の耐震化についても重点課題であります。このようなことについても、今後取り組んでいただくことを強く要望するところでございます。 
 また、浸水常襲地域への対策では、国分、中国分、柏井地区での水路改良工事、稲越地区での水路新設、妙典排水機場のポンプ増設、このほかにも真間、市川南、高谷、相之川の各地区での排水施設の整備など、浸水対策に対する取り組みがあり、評価しているところでございます。台風や集中的な大雨等による都市型浸水対策については、国土交通省を初め、他の地方公共団体でさまざまな方法による取り組みが行われております。本市においても積極的に他市等の動向を踏まえ、政策を実現していただきたいと思います。 
 次に、道路に関する施策では、市内の主要駅周辺の歩道のバリアフリー化、道路照明等の新増設を進めており、道路の維持補修経費は前年度を上回る決算としています。この道路の維持補修経費は、市としての投資事業であることから、耐用年数、使用頻度、目的等を勘案し、適正な設計を行うことを要望いたします。 
 先ほどの都市型浸水対策とリンクいたしますが、都市型浸水は、雨水の浸透によりある程度防げます。浸水対策は、水と緑の部が所管であり、道路維持は道路交通部というように所管する部署が異なりますが、引き続き調整を図って、浸透率のよい舗装材を使うなど設計面で工夫をしていただきたいと思います。 
 このような市民の生活環境や安全の向上に直結する事業は、世代間負担の公平性等を考慮し、今後も計画的な予算配分を行うよう要望いたすところでございます。また、本市のまちづくりの進捗には欠かせない都市計画道路3・4・18号は、用地買収と並行して北部の橋梁建設に着手し、事業が大きく動き出しました。開通までにはまだまだ関係者の理解と協力を得ていく必要がありますが、引き続き早期開通に向けた努力をお願いするところでございます。 
 そして、安全、安心の分野では、防犯対策も忘れてはならない課題であります。17年度では、犯罪抑止のために自治会やボランティアによる自主的なパトロール活動への支援、自治会等の防犯灯の新設や照度アップのための補助などを行っており、評価できるところでございます。 
 以上、総合計画の基本目標のうち、主な施策についておおむね評価をしているところでございます。ただ、施策としては評価しておりますが、その目的を達成する手段において、合法性、経済性、効率性、有効性の観点から、再度業績評価をしっかり行っていただきたいと思います。例えば、「彩り豊かな文化と芸術を育むまち」を目指す施策において、昨年10月下旬にメディアパークに文学プラザがオープンいたしましたが、当該施設についての条例が制定されておりません。合法性について問題はないのか、再検討していただきたいと思います。 
 このように、平成17年度施策において、総じてその方法、執行が合法的であったのか、経済性、効率性が図られた執行であったのか、予算投入額に見合った有効的な結果が得られたのかについて厳しく検証を行い、次年度以降の運営につなげていただきたいと思います。 
 次に、特別会計及び公営企業会計について申し上げます。 
 まず、国民健康保険特別会計でございますが、収納体制の強化や職権で、一般被保険者から退職被保険者に切りかえる資格適正化対策により、保険税や療養給付費等交付金の確保が図られました。しかし、保険給付費の増加から、一般会計からの繰入金は30億円から36億5,000万円に増加し、依然として厳しい財政状況が続いています。財政基盤が脆弱であることに加えて、加入者の高齢化等に伴う医療費の増加など、やむを得ない面もありますが、保険者として引き続き保険普及事業の拡充や制度のPRに努め、事業運営の安定化を図られるよう要望するところでございます。 
 次に、下水道事業特別会計でございますが、下水道普及率は0.3%引き上げられ、62.8%となっています。健康都市市川として、市民生活の衛生基盤である下水道の普及及び災害に耐えられる下水道の整備のために、一層の努力を続けていただきたいと思います。このような下水道サービスの向上のためには、市川幹線区域の整備促進や松戸幹線区域の整備に向けた国、県との協議を進めるとともに、公共下水道整備区域内の未接続世帯に対する対策もしっかりと行っていただきたいと思います。 
 次に、介護保険特別会計でございます。制度創設後6年目となり、利用実態や団塊の世代の高齢化を見据え、予防重視と地域密着型サービスの転換とともに、在宅介護と施設介護の負担の公平化など、大きな制度改正が行われました。負担の公平化に当たっては、保険料や利用料に関して、低所得者に対する減免や激変緩和の措置など、一定の配慮が見られました。 
 次に、市川駅南口地区市街地再開発事業特別会計ですが、再開発ビルの建設には多くの困難があり、予定より4カ月おくれて8月の着工となりました。着工後においても、幾つかの課題が待ち構えています。これからも協力をいただいた権利者の生活再建への支援に努めながら、計画どおりに事業を完成させていただきたいと思います。 
 次に、病院事業特別会計ですが、開院以来の経営努力により、収支は改善しております。しかし、平成18年度は診療報酬の大幅な改定があったことから、さらなる経営努力が必要となります。サービスの維持と経営改善という難しいかじ取りが必要となりますが、引き続き努力を行っていただきたいと思います。 
 これら特別会計全体につきましては、各特別会計における独立採算性の推進を行い、一般会計への依存度を縮小させるよう、さらなる努力を期待するところでございます。 
 以上、平成17年度の市川市一般会計、特別会計、公営企業会計決算の中から主な事業につきまして、評価や要望等を申し上げさせていただきました。本市の財政状況は、各種の財政指数等から総合的に判断しますと、改善されてきました。しかし、今後バブル期のような税収の伸びも期待できず、一方で、都市基盤の整備や機能維持を初めとして、市民ニーズからの行政課題が山積しています。したがいまして、今後も財政運営の厳しさは変わらないものと認識をしているところでございます。平成17年度は、都市基盤整備が多くありました。本市は、新たに施設をつくることは得意でありますが、既に建っている施設の長期修繕計画については見通しが立っておりません。経常収支比率がまだまだ高い状況にある中で、将来予測される大型修繕の見通しがないというのは危惧されるべきところでございます。新規施設の建設計画の際には、当然のことではありますが、必ず修繕、ランニングコストを踏まえ検討していただきたいと思います。 
 また、冒頭で述べましたが、健全化計画の達成ができない状況において、シーリング一律カットという手法だけでは限界があります。他の地方公共団体では、シーリングを撤廃してトータルコスト予算を導入しているところもあります。本市においても、ゼロベースで事業を抜本的に見直し、本当にどの事業が必要なのかを見きわめ、必要であれば効率性、有効性について総合的に検証していかなくてはなりません。そして、効率的な予算積算ができた場合、一律カット方式ではなく、その事業にかかる必要経費をしっかり見込んで、着実な市民サービスを提供していかなくてはなりません。また、事業の効率化により得られた財源は、少子・高齢化政策等の将来に向けた備えとして確保し、市民の方が将来にわたって公平なサービスの提供を受けられるよう、財政的措置を講じていく必要があります。 
 決算を一過性のものとしてとらえるのではなく、将来の市川市のあるべき姿を描き、今現在の決算状況からして何をやらなければならないのかということをしっかり見きわめて、長期的に安定した財政運営を行っていただきたいと思います。 
 平成18年度から、地方債の発行管理が許可制から協議制に移行されました。この制度変更の影響を正しく分析し、自治体のマネジメントに生かせるよう決算審査を重く受けとめていただきたいと思います。 
 最後になりましたが、平成17年度決算に対しては、今私が申し上げました以外に監査委員の意見、9月の定例市議会、10月の決算審査特別委員会において、多くの有益な議論や指摘がなされています。理事者におかれましては、これらを真摯に受けとめ、現在進められている新年度予算編成に反映させていただくとともに、第二次総合3カ年計画の円滑な進捗に努めていただくことを最後に要望いたしまして、平成17年度決算の認定に対する賛成討論とさせていただきます。まことにありがとうございました。

発言者:佐藤義一議長
 以上で通告による討論を終わります。 
 これをもって討論を終結いたします。 
 これより認定第1号について採決いたします。 
 本決算に対する委員長の報告は認定すべきであるとするものです。本決算は委員長の報告のとおり認定することに賛成の方の起立を求めます。 
〔賛成者起立〕

発言者:佐藤義一議長
 起立者多数であります。よって本決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。