2005年(平成17年)12月議会 議案質疑

2005年(平成17年)12月議会 議案質疑
第2日目 2005年12月1日
発言者:井上義勝議長
これより質疑に入ります。 
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。 
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
おはようございます。新政クラブの坂下しげきでございます。 
 議案第44号を通告に従いまして順次質疑をさせていただきます。 
 今回、条例を議会に提案するに当たって、規則の大綱を用意されたことは大きな成果であると思います。迅速かつ適切な審議に資するものと感謝するわけであります。 
 では第1の、条例制定目的を最大限発揮させる契約方法についてお伺いいたします。役務の提供については、随意契約が多いことを指摘しております。長期継続契約条例の制定の趣旨といたしまして、事務の効率化、経費の削減があると思います。この事務の効率化と経費削減のどちらに重点を置くかによって運用方針が大きく変わるとも考えられます。長期継続契約が安易に多用されれば、随意契約の隠れみの的契約方法となりかねません。長期継続契約に関する契約方法の選択によっては、大きな観点からすれば、行財政改革の一環である行政コストの削減につながります。そこで、役務の提供のうち、長期継続契約が可能とされる契約は入札をすることを要件とするのか、お答えください。 
 

 次に、条例第2条の規定の方法についてお伺いいたします。地方自治法改正前の第234条の3において、電気、ガス等の提供を受ける契約などについて、債務負担行為の例外として長期継続契約を認めておりました。つまり、制限列挙によって予算の単年度主義の例外として、限定的に債務負担行為を要しない翌年度以降にわたる契約を認めていたものであります。今回、この条が改正され、条例で定める契約も長期継続契約が可能となりました。改正前の法律の趣旨を考えれば、法が制限列挙を行っていたので、条例も長期継続契約の対象について制限列挙を行うという議論もできるはずであります。長期継続契約は債務負担行為の必要はありませんが、実質的に見て、将来の債務を負担するものと言っても過言ではありません。このような観点からすると、長期継続契約が乱用されれば、表にあらわれない、将来における義務的経費に準じた財政的負担が増大します。そこで、条例に対象範囲を制限列挙もしくはそれに準じる規定をしなかった理由についてお答えください。 
 次に、長期継続契約の対象となるものを予算書で調べますと、特に物品の借り入れで懸念されることですが、契約期間が長期になると、契約金額の総額が10億円を超えるような高額なものがあります。その1つであるホスト電子計算機器賃借料は4年間で約12億円であります。後ほど債務負担行為との関係を伺いますが、地方自治法の改正により、このような高額の、しかも長期に及ぶ契約であっても、債務負担行為の例外として扱われます。しかし、実質的には、将来に何らかの財政的な拘束が生じるものであります。 
 工事等の契約が高額になる場合は、議会に契約議案を提出します。これらに倣って一定金額以上の契約を行い、将来にわたって債務を負担する性質の契約は、議会、監査に報告する必要があると考えますが、どのように考えているのか、お答えください。 
 また、他市では一定の金額を超えたものについては、法第234条の3によらず、債務負担行為を設定するというところもあります。本市ではどのように考えているのか、お答えください。 
 次に、第3条の契約の期間の設定についてお伺いいたします。まず、物品の借り入れについては契約の期間の上限が8年となっておりますが、例えば予算書を見ますと、建物借り上げ料について債務負担行為を設定し、契約期間が8年を超えています。今後も8年を超えたものについては債務負担行為を設定して、長期継続契約を締結していくお考えなのか、お答えください。 
 次に、契約期間中の契約解除によるリスクについてお伺いいたします。契約期間を長期にするほど中途解約、解除または変更のリスクが高まります。解除等に及ぶ可能性として、相手方の倒産等による場合、市の事業が改廃されたとき、予算が議会で承認されなかったときなどが考えられます。まず、相手方の倒産等による解除リスクの回避手段についてお答えください。 
 次に、市の事業の見直しや制度改革による事業の改廃が行われるときに解除リスクを負いますが、長期継続契約期間中であることを理由として、必要とされる事業の見直しが遅延することは望ましくありません。そして、現在は構造改革が促進され、新たな行政運営の方法が次々と新設される時局であります。したがって、契約期間を3年もしくは5年というのはリスクがあると思いますが、長期継続契約の対象となる要件を満たしている案件であっても、このような観点から長期継続契約は避けるべきと判断されるものがあると思います。このようなリスクをどのように回避していくのか、お答えください。また、それはどのような契約を想定しているのか、お答えください。 
 次に、地方自治法第214条との関係についてお伺いいたします。先ほども申し上げましたが、この商慣習はきのう、きょう始まったことではありません。本市では借り上げ料で債務負担行為がありますが、賃借料では平成14年度以降の予算書からは探せませんでした。前議会で庁内LAN機器は賃借料が適当であるとのご答弁をいただきましたが、これは複数年にわたった事業であり、実際毎年契約をしており、本来であれば法改正以前の契約ですから、債務負担行為の設定をして、長期に安定した契約をする必要がありました。ちなみに、この賃借料は4年間で4億です。先ほど例に挙げたホスト電子計算機器は4年で12億です。そこで、これらのことに関して4点質疑をいたします。 
 1点目といたしまして、長期継続契約が適用されるようになった場合、債務負担行為による契約とこの条例による契約をどのように区別するのか、お答えください。 
 2点目といたしまして、物品の借り入れなどの商慣習は今日に始まったことではありません。現行の入札及び契約をどのように行っていたのか、他市では債務負担行為を設定しているような庁内LAN事業、その他物品の借り入れについて債務負担行為としてこなかった理由についてお答えください。 
 3点目といたしまして、長期継続契約は解除することを留保した契約とはいえ、実質的には将来にわたる債務の負担を約束するものであります。したがいまして、条例が適用されることによる将来債務への影響及び比重についてお答えください。 
 4点目といたしまして、このような財政的負担を考えて、他市では予算要求の際、新たに長期継続契約とするものについては、債務負担行為と同様の申告手続を行うようにして財政的な管理を行っているところがあるようです。本市の予算的管理はどのように行うのか、お答えください。 
 以上、1回目の質疑とさせていただきます。ご答弁により再質疑させていただきます。

発言者:井上義勝議長
答弁を求めます。 
 管財部長。

発言者:中台久之管財部長
長期継続契約を締結することができる契約に関する条例案に関しまして、大きく4点のご質問にお答えをいたします。 
 第1点目の、条例第1条に関します、長期継続契約が可能となる契約につきましては、入札することを要件としないのかというご質問であります。長期継続契約制度を導入することによりまして、地方自治体は事務の合理化、効率化が図られるものと期待されております。あわせまして、さらなる経費の削減や良質なサービスを提供することも期待されていることにかんがみまして、契約に当たりましては、原則といたしまして入札等の競争性を高めた方法により締結する必要があると考えているところであります。 
 大きな2点目の、条例第2条第2項の長期継続契約を締結することができる契約の規定方法についてのご質問でありますが、庁舎の管理、一般廃棄物の収集及び運搬、機械警備など規則に掲げる役務の提供を受ける契約を前提としておりますが、規則に掲げている役務の提供であれば、そのまま長期継続契約を締結するものではなく、規則に掲げる役務の提供のうち、翌年度以降も継続的に当該役務の提供を受ける必要があり、かつ当該契約の相手方がその履行のために使用する機材もしくは備品の調達、または人材の確保を必要とするものという2つの要件を満たすものを長期継続契約とすることができるという意味で規定したものであります。あくまで条例におきましては、長期継続契約の締結できる契約の要件を示したものでございます。 
 次に、条例第2条関係の2点目の議会及び監査への報告についてのご質問でありますが、長期継続契約につきましては、締結することができる契約と期間の上限を盛り込んだ条例案を議会にお諮りしております。ご審議いただき、ご承認をいただければ、その後は予算の審議と決算の審議がございますので、そういうふうな中で十分ご審議をいただけるものと考えております。 
 次に、条例第2条関係の3点目のご質問でありますが、役務の提供や物品の借り入れを長期継続契約とする場合の債務負担行為の考え方につきましてお答えいたします。一定金額以上の長期継続契約につきましては、債務負担行為を組んでいくという考えもありますが、本市におきましては、これまで基礎を設ける不動産の扱いを受ける仮設建物――いわゆるプレハブでございますが――や空調設備、舞台照明、立体駐車場等の機械設備等の据えつけ型のものを借り入れる際は債務負担行為を組んでまいりました。今後もこの考えのもとに債務負担行為を組むかどうかを判断してまいりたいと考えております。 
 次に、大きな3点目の条例第3条に関します何点かのご質問にお答えをいたします。まず、8年という契約期間の上限についてのご質問でありますが、仮設建物につきましては、本市では不動産として公有財産管理を行っておりますので物品に当たらないと考えておりますことから、提案しております条例の適用は受けないものと考えております。本市におきましては、現に借り入れている物品の大蔵省令で定める耐用年数から算定した適正リース期間の最長期間が8年でありますことから、契約期間の上限を8年としたものであります。現状で借り入れております物品から判断しますと、最適リース期間が8年を超えるものについては想定できませんので、上限を8年としております。 
 次に、条例第3条関係の2点目のご質問の倒産等によります契約解除リスクの回避手段についてお答えをいたします。契約のリスク回避をする手段といたしましては、地方自治法第234条の2の第2項の規定によりまして、契約金額の100分の10以上の契約保証金を納付させ、契約上の義務を履行しないときは違約金としてこれを自治体に帰属させる方法があります。また、業務の内容によりましては、契約に当たりまして連帯保証人を求めるなどの対応を考えております。さらに契約金額が高額になる場合などについては、事業者の信用調査もあわせて検討してまいります。なお、施設の清掃などは長期継続契約の対象となり得るものでありますが、指定管理者に移行する予定の施設につきましては、契約解除のリスクがありますので、単年度契約を結ぶ予定としております。 
 大きな4点目のご質問の債務負担行為との関係についてお答えいたします。その中の1点目の長期継続契約と地方自治法第214条による契約を締結する場合の区分についてのご質問でありますが、地方自治体の予算は単年度主義であり、その例外的な措置として地方自治法第234条の3の定めがあるところであります。この長期継続契約制度に新たに加わった役務の提供と物品の借り入れにつきましては、条例の要件等を満たしているものにつきましては、原則として長期継続契約で対応していくように考えておりますことから、先ほども申し上げましたように、仮設建物と機械設備の借り上げ等につきましては、これまでどおり債務負担行為を組んでいく予定であります。 
 債務負担行為との関係に関しまして、2点目の現行の契約方法及び契約との整合性についてでありますが、パソコン、ファクス類のOA機器などの物品の借り入れや庁舎の清掃など、役務の提供にかかわります契約につきましては長期継続契約の制度がなかったこと、また、債務負担行為を設定しない限り契約することができないとなると、導入時期が制約され、また事務が複雑なものとなることなどから、総合的に判断し、本市におきましては、単年度を基本に契約を結んできたものであります。 
 このたび、長期継続契約制度の改正によりまして、契約の対象としまして、役務の提供と物品の借り入れが追加されましたので、今後はこの制度を活用していくべきものと判断し、条例化したものでございます。 
 債務負担行為に係ります3点目の条例が適用されることによる将来債務への影響についてお答えをいたします。翌年度以降における地方自治体の債務を法律上負担する内容を持つような契約につきまして、地方自治法第214条の規定による債務負担行為を設定しておかなければならないものとされております。一方、長期継続契約につきましては、長期継続契約に基づいてなされる翌年度以降における相手方からの給付は、各年度において、これらの経費の予算の範囲内において給付を受けるべきものとされています。このことから申し上げますと、長期継続契約を締結したということだけをもちまして、この契約に基づいてなされる予定の翌年度以降における地方自治体の債務は発生しないものと考えております。 
 参考までに申し上げますと、長期継続契約の対象となり得る契約につきましては、ことし7月に全庁調査を行いましたところ、物品の借り入れにつきましては251件の9億1,159万円で、役務の提供につきましては666件の81億7,346万円でありましたが、しかしながら1件1件精査を行いますと、特に役務の提供につきましては、4月1日から3月31日まで必ずしも切れ目なく業務を進めなくてもよいものも多く、また入札を原則としていきますと、平成18年度の数字はかなり減るものと考えております。参考に、平成18年度の見込みでは、物品の借り入れでは241件の7億5,904万円、役務の提供については168件の10億1,388万円であると思います。 
 債務負担行為にかかわります4点目のご質問につきまして、これまで申し上げてきましたように、長期継続契約につきましては、契約が複数年度にわたって締結することができるように改正されたものであり、予算につきましては、あくまでも単年度で計上していくものであります。このような経費につきましては、経常経費としてとらえ、今後必要があれば統計的に集計を図ってまいりたいと考えております。 
 以上でございます。

発言者:井上義勝議長
坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。 
 この条例で重要なことは、1点目といたしまして、債務負担行為を設定することなく長期の契約を行うことによる将来的財政負担の把握についての懸念、2点目は、例えば随意契約において、長期継続契約制度を多用した場合の契約事務の適正にかかわる懸念、3点目は、工事や物品の場合、一定金額以上についてはその契約を締結するために議会の議決を得ることになりますが、当該条例は今回の条例制定の議決を得れば、10億円以上の賃貸借契約についても事前に議会を通ることはありません。次年度以降の契約は、契約をした後に予算審議という形になり、債務負担行為ではないといっても、実質的に将来債務を負うような形に近いもので、議会の関与がないという点であります。したがって再質疑をさせていただくわけでありますが、まず、将来債務への懸念という課題に対して再質疑させていただきたいと思います。 
 ご答弁で、現行の契約では、商慣習上複数年とされているものを本市では単年度契約しているというこでしたが、他市では債務負担行為を設定し、複数年で契約しているところがあると聞いております。財政的なことを考えれば、将来の政策経費を確定していくためにも、何らかの管理が必要であることは当然であると考えます。精査する前の金額でありますが、今回90億円を上回る数字を伺っております。 
 そこで、再質疑1点目といたしまして、他市では高額な契約になるものについては、現行どおり債務負担行為を設定していく考えを持っているところがあると聞いておりますが、本市ではその考えがないようですが、10億円を超えるような契約についても、条例の要件を満たしていれば将来的な予算について特別の審査をすることもなく契約を締結していくつもりなのか、お答えください。 
 続きまして、2点目といたしまして、長期継続契約を締結した次年度以降の予算は枠配分に入るのか入らないのか、お答えください。 
 そして3点目といたしまして、毎議会、資料として工事等の発注状況一覧を提出しておりますが、長期継続契約については同様の措置をとることはないのか、お答えください。 
 以上でございます。

発言者:井上義勝議長
答弁を求めます。 
 管財部長。
発言者:中台久之管財部長
再質問の1点目の10億円を超えているものも要件を満たせば長期継続契約の対象にしていくのかというご質問でございますが、先ほども答弁させていただきましたように、基本的に要件を満たしていれば対象にしていくというふうに考えております。 
 次に、2点目の長期継続契約をしたものについて、次年度以降の予算は枠配分に入るのかというご質問でございますが、経常経費となることから、そういうふうな意味からしますと、枠配分の中に入るものと考えております。 
 それと、長期継続契約について、工事と同様に発注状況一覧を議会に提出する予定があるのかというご質問でございますが、この長期継続契約についても、なるべく公表する方向で検討してまいりたいと考えております。 
 以上でございます。

発言者:井上義勝議長
坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。ぜひとも公表するようにお願いしたいと思います。 
 それから、この長期継続契約は、非常に財政とも密接な条例であります。他市では財政課で議案を提出しているところもありました。長期継続契約の締結について、決算時に資料を提出することについては委員会でも審議をしていただきたいと思いますが、また、本市の将来債務との関係についても委員会の方で十分ご審議いただきたいと思います。 
 そして、ただいま枠配分について管財部長さんからご答弁をいただいたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、この条例は財政とも非常に密接なものだということで、他市では財政課が所管するところもあるようであります。したがって、財政部においてこのような観点について検討がなされなかったのかが気になるところであります。枠配分に入るということは、マイナスシーリングがかけられる可能性が大きいということであります。つまり、契約額が翌年減額される可能性があるということになります。幾ら債務負担行為を設定しないとはいえ、それこそ商慣習に反するわけであります。とはいっても、それはできないから、結局は枠の中で調整し、他の事業費を落とせばよいというお考えになるのかなと思います。単年度契約であれば、シーリングに合わせて契約内容を毎年見直して仕様を変えて対応することもできますが、長期であれば見直しはきかず、他の事業を削減するしかなく、市民ニーズに対応した新規業務を遅滞させることも予想できるわけであります。このような懸念もあることから、10億円など高額なものは債務負担行為を設定して行っていくという考えの自治体もあるわけですし、条例が適用できる契約範囲を限定的にして、契約数、契約金額を抑えていくという財政的視点を重視するところが多いわけであります。 
 財政部でも課題意識を持ってきちんと整理していただきたいわけでありますが、そこで、本市において、財政部で当該条例について検討したことは何か、また、枠配分に入れることについてはどのような判断なのかを財政部長からお答えいただきたいと思います。

発言者:井上義勝議長
財政部長。

発言者:永池一秀財政部長
まず初めにお断りしておきますが、長期継続契約と債務負担行為の決定的な違いというのは、翌年度義務費になるかならないか、ここが一番重要なポイントであります。今回、この債務負担行為につきましては、当然債務が翌年度以降発生をするという、ここが一番大事なところであります。長期継続契約につきましては、基本的にそういうことはないというご理解をまずしていただきたいということがあります。 
 また、この契約に当たっては当然財政部としても十分検討させていただきました。特にこの契約の中身につきましても、例えば翌年度以降において、歳入歳出予算の金額について、減額または削除があった場合は当該契約は解除する旨の条項を盛り込んでおこうと、こういう契約の内容も実は検討してございます。 
 それからもう1つ、枠配分の関係でありますが、この枠配分につきましては、かつての枠配分の仕方、いわゆる一律何%シーリングという、そういう方法につきましては、平成17年度の予算編成から方法を改めまして、必ず一般財源ベースで、例えば決算の状況、それから予算編成の前の年の増減の状況、そういったものを勘案しまして各部に枠配分をしてございます。したがいまして、長期継続契約にかかわる対象となる費用につきましても、枠配分の中では十分考慮した中で枠配分しているということをご理解いただければと思います。 
 以上でございます。