2010年(平成22年)6月議会 議案質疑

2010年(平成22年)6月議会 議案質疑
第2日目 2010年6月7日
発言者:笹浪 保議長
起立者多数であります。よって、報告第1号から報告第3号について、提案理由の説明を省略することは可決いたしました。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。
市民の声、坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
おはようございます。会派市民の声の坂下しげきでございます。通告の順番を変えて質疑をさせていただきます。
まず、報告第6号から第9号の公社及び出資法人等の決算及び事業計画の報告についてをお尋ねいたします。
市の出資団体、外郭団体については関係する法令改正が相次ぎ、また、経営状況等に関する市民の方の関心が高まっております。市の職員の人事交流や天下り式人事、民間事業で展開しているサービスとの違いが少なくなるなど、外郭団体の存在意義についても活発に議論されるに至っております。さらに、団体を支える母体である本市の財政状況が大変厳しいものになっております。本市では、平成22年度以降、経常収支比率が100%を超えることも予想され、市民サービスに影響を及ぼす可能性さえある厳しい状況であります。
このような深刻な諸事情を踏まえまして、報告第6号から第9号までの全体にかかわる事項について伺ってまいります。
まず、決算報告全体の賃金についてお尋ねをいたします。市の職員が派遣されている外郭団体では、当該派遣職員の人件費である身分給は市川市の一般会計予算で賄われており、外郭団体の収支には直接あらわれません。つまり、市から外郭団体に派遣されている職員の賃金を外郭団体の収支に入れると、経営状況は悪化します。しかし、これが現実の経営状況であります。同じく市からの派遣職員の人件費のうち職務給は、市の委託料で賄われているわけであります。市が委託料として外郭団体に支出し、外郭団体から職務給として職員に支払われる形であります。
市から外郭団体へ派遣される職員全体の人件費の総額は、平成18年度から21年度の4年間で計3億5,000万円に上ります。このことは、外郭団体が自主性を発揮して事業を行うに当たっても矛盾が生じますし、市財政への依存を引き起こすわけでございます。また、多額の税金が外郭団体に流れることから、市民の方からのコンセンサスも得にくい状況であると思います。そして、昨年の議会でも質疑をさせていただきましたが、市から外郭団体に派遣する職員の給与の支払いに係る事案について、神戸地方裁判所及び大阪高等裁判所の判決で注意すべきものがありました。平成21年1月20日、神戸市の外郭団体への補助金返還請求訴訟において、大阪高裁は派遣職員の給与が含まれた当該補助金は違法であると判決しました。そして、神戸市において市長個人と外郭団体に総額48億円の返還を請求するように命じました。
本市は委託料でありますが、この職務給は判決の主旨からすると見直しを検討する必要があると思います。大阪府では、この判決の主旨を踏まえ、委託料による負担を廃止いたしました。委託料での職務給による支払いについても神戸市同様の訴訟が起こされており、敗訴すると市長個人が多額の損害賠償の責めを負うことになります。さらに、市川市では財政的な負担の問題もあります。大阪府では、この派遣職員等に関する人件費負担の議論の過程について広く公表されておりますが、本市ではどのような議論、整理をして職務給を委託料として支払っているのかお答えください。
次に、外郭団体の経営状況、活動内容については、法に定められた定期的な報告を年に1回議会で行うだけではなく、客観的な経営状況を示す評価、例えば事業目標や自主自立性、効率性、公共性、人件費比率など、評価の公表が必要であると過去の議会で繰り返し指摘をしてまいりました。本市では、昨年ようやく外郭団体経営状況シートが公表されましたが、シートの内容については昨年の議会で大幅な改善を求めたところでもあります。今年度はご努力をいただいたようでありまして、昨年以上の内容のシートになっております。
そこで、決算状況の報告と、これに基づく当該外郭団体経営状況シート、事業計画からお尋ねをしてまいります。外郭団体の今後の課題としては、天下り式人事や財政的課題の多い市の職員の引き上げの問題、さらには市からの補助金比率や委託料比率の高い団体の自立性の問題があると思います。また、本市の財政状況は悪化し、今後市民サービスに影響するおそれもあります。このような状況をかんがみると、外郭団体におけるこれらの問題の整理は避けて通れないと思います。他の地方公共団体では活発な議論が行われ、その過程が公表されております。本市においては議事がありません。これらの課題をどのように整理し改善していくのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:笹浪 保議長
総務部長。

発言者:髙橋憲秀総務部長
1つ目の賃金に関するご質疑にお答えします。外郭団体への職員の派遣は、現在4団体、8名を派遣しております。そのうち、今回決算報告を行っている団体の中では土地開発公社に3名、文化振興財団に2名を派遣しているわけであります。この派遣につきましては、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、いわゆる派遣法に基づき行っているところでありまして、派遣職員の給与につきましても、同法に基づく条例の規定によりまして、ご指摘のとおり職員の身分給部分は市で、そして職務給の部分は法人サイドで支払うということになっております。
ご指摘の派遣先団体が支払うこととなります職務給部分について、市が支払う委託料にその職務給部分の額が含まれているということについてのご指摘であります。その認識でありますけれども、そもそも委託料といいますのは、受託した事業を適切に遂行するために必要な経費から積算するわけであります。したがいまして、物件費のほかに、その業務を行う人の人件費も当然に必要となる、そういうことから、派遣先で市の委託業務に従事する職員、派遣職員の職務給相当額を含めて委託料を支給することはできる、こういうように判断して支払ってきたわけであります。仮に支払わないということであれば、派遣先団体の財政を圧迫する、そういうこともあるということであります。
ご指摘のありました神戸地裁、大阪高裁における判決の内容でありますけれども、神戸市の事例といいますのは、市川市と同じように国の準則に沿った条例を制定しているにもかかわらず、この条例を使わずに、身分給と職務給を合わせた全額を補助金または委託料という形で支払ったことが違法な公金支出であるというふうに訴えられたわけでありまして、1審、2審とも敗訴しているということであります。大阪高裁での判決要旨でありますけれども、かいつまんで言いますと、派遣法の目的に合致する派遣につきましては、同法の派遣制度によるべきであり、6条2項以外の方法、6条2項というのは、派遣法では6条1項で派遣職員の給与の支給を禁止しておりまして、2項で一定の場合に例外的に給与が支給できるとしているわけでありますけれども、その6条2項以外の方法による派遣元による給与支給は許されない。補助金の交付決定時あるいは委託契約の締結時点で派遣職員人件費相当部分が具体的金額として特定されているような場合は、その部分は違法であると、このような判決が示されたわけであります。
神戸市の場合には、今申しましたように派遣法の目的に合致する派遣でありながら、派遣法の規定によらないで職員を派遣して、結果として敗訴したというものでありまして、この点で市川市の場合は派遣法に基づいた派遣を行っておりまして、職員の給与につきましても条例準則どおりの条例によりまして、身分給は市で払い、職務給相当部分だけは法人に支払わせた上で委託料で補てんするという形をとっておりますので、実態的には神戸とは異なっているというわけであります。判決は事例ごとに判断されるものでございまして、神戸市における判決をそのまま市川市の実態に適用されるというものではないというふうに思います。しかしながら、その判決の意図するところというものは、これは真摯に受けとめる必要があると思います。大阪市のような取り組み事例もご紹介されましたけれども、本市としましても派遣先の業務の実態ですとか、あるいはそれにかかわる派遣職員の勤務実態、他の地方公共団体の状況等を勘案した中で対応を図ってまいる必要があるというふうに考えております。
以上であります。

発言者:笹浪 保議長
企画部長。

発言者:笠原 智企画部長
本市の外郭団体の経営改善に係る取り組みについてお答えをいたします。本市における外郭団体は、これまで行政を補完、代替する組織として重要な役割を果たしてまいりました。また、その観点から、本市では必要に応じて人的あるいは財政的な側面から関与を行ってきたところでございます。
一方で、地方公共団体は、近年の厳しい財政状況の中でしっかりとした公共サービスを提供していくために、官民の役割を見直すなど簡素で効率的な行政運営の実現を目指すことが求められているところでございます。これは、市と密接に関係のある外郭団体においても同様でございまして、厳しさを増す市の財政状況のほか、指定管理者制度の創設、公益法人制度改革の施行等々、外郭団体を取り巻く環境も大きく変化してございます。団体そのもののあり方を初め、市と団体とのかかわり方の見直し、事業を展開していくための経営体質の強化等が外郭団体に現在求められているものと考えております。
このようなことから、市といたしまして、外郭団体に対する人的支援あるいは財的支援のあり方を見直し、外郭団体の自立性を促し、改善、改革に積極的に取り組むことで、効果的で効率的な経営体制を確立していくことができるよう外郭団体の見直しを進めているところでございます。具体的には、平成20年度より一層の説明責任の確立と透明性の向上を目指すとともに、外郭団体みずからが改善改革に積極的に取り組むことができるよう、組織状況、財務情報、自立性、効率性などの評価手法などを内容といたしました外郭団体経営状況シートを作成いたしまして、市の公式ウエブサイト上で現在公開をしているところでございます。また、21年度には市の所管部長と団体の代表者級による代表者会議を開催いたしております。また、これに伴う所管課長と団体の実務者による連絡会議を設置いたしまして、市と団体の双方による協議を進めているところでございます。
このような双方の協議のもとで、市川市における団体への関与のあり方について、所管部署の意識改革と指導助言の徹底、市が団体に委託している事業や市の補助金で実施している事業の内容についての点検、つまり、事務事業の見直しでございますが、また、補助金と委託料の区分を明確にするなどの財政支出の見直し、外郭団体に対する市の職員の派遣は、団体の自立を促すため廃止縮小を検討するなどの人的支援の見直し、以上の4項目を、また、外郭団体の経営見直しに向けた基本的な考え方といたしましては、公共性の視点、効率性の視点、自主自立の視点、安定性の視点、こういった4点の視点を盛り込んだ外郭団体見直し指針を策定いたしました。この指針では、新しい公益法人への移行最終年度に当たる平成25年度までを集中取り組み期間といたしまして、市は外郭団体に平成25年度までに経営改善計画を作成させ、外郭団体の経営改善に取り組むこととしてございます。今後につきましても、外郭団体見直し指針に基づきまして情報公開に努め、市として各団体に対する人的支援、財政的支援等の組織的見直しを行います。また、団体みずからも積極的に改善改革の取り組みが進みますよう、助言や必要な調整支援を行っていきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。

発言者:笹浪 保議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
それぞれご答弁ありがとうございました。
先ほど総務部長の答弁の中で大阪市とおっしゃっていましたけれども、私が申し上げたのは大阪府でございますので、よろしくお願いします。
職務給となる委託料の支払いは、各団体の事業の遂行に必要であるということなわけですよね。外郭団体は、本来独立して収益を上げるべき団体であるはずだと思います。実際に、そこに多額の税金が投入されているわけで、また、事業の遂行の維持という観点から申し上げると、例えば文化振興財団には、委託料のほかに補助金も1,600万円入っているわけです。市の職員を引き上げた場合のリスクを真剣にシミュレーションした上で、市民目線に立ってご答弁をいただいているのでしょうか。大阪高裁判決の後、他の地方公共団体においては真剣な議論がされているわけであります。本市から1つの団体に対し補助金、委託料、人件費で年間6億円もの支出がされているわけであります。財政難の折、市民サービスへの影響も懸念される中、昨年の質疑から市として何を議論してきたのか、端的にお答えをいただきたい。
あと、事業遂行に当たっては当然人件費が必要になる、それは当然でありますが、その金額の妥当性はどうでしょうか。市が民間に発注する業務は、財政難の影響でシーリングカットにより人件費も圧縮されていますよね。一方随意契約、一団体選定の外郭団体では、過分の人件費を充てるという考えは理解できないわけでございます。外郭団体の自主性を尊重する観点からも、適当と言えないと思います。団体の今後の事業計画にもかかわることですので、委託料に人件費を含む場合、その金額の算定について民間へ委託する場合と、外郭団体へ委託する場合の違いをお聞かせください。

発言者:笹浪 保議長
総務部長。

発言者:髙橋憲秀総務部長
失礼しました。大阪市と言ってしまいましたけれども、大阪府の誤りであります。訂正をさせてください。

発言者:笹浪 保議長
訂正を許可いたします。

発言者:髙橋憲秀総務部長
これまでの間何を議論してきたのかということであります。神戸市の事件は、市川市とは実態が少し異なるわけでございますけれども、複数の訴訟というものが提起されておりまして、いまだ係争中のものもある、そういった中で本市においても議論をしてきたわけであります。これは大変大きな問題でありまして、市川市だけに限らず、ほぼ全国の団体にとって共通の課題ということになるわけであります。
具体的な議論で端的にということでありますけれども、例えば、総務省の判断というのが昨年の3月に示されています。この判断では、一連の神戸における裁判所の判断とは異なっているという部分、これを一体どう理解すればいいのかということですね。それから細かな文言の解釈、例えば、人件費の支出が契約時点で予定されていた場合、すなわち支出額が締結時点で具体的金額として特定されていたような場合は違法、こう言っているわけですけれども、これは具体的にどのように理解すればいいのか。そういった裁判結果をさまざまな角度で分析、検討してきたという、そういう議論をしております。
また、その一方で大阪府のようにそれらのすべてが認められないということになりますと、職務給相当額は派遣先で負担していただこう、そういう案ですとか、あるいは派遣職員を引き上げてしまうという案、それから神戸市のように条例を改正して全額を条例で支給するようにできるようにしてしまう、こういった案などについてもさまざま議論してきたわけでありますけれども、結論に至っていないというのが現状であります。
2点目でございますけれども、人件費の積算について、民間委託の場合と派遣職員がいる外郭団体での積算がどう違うのかということであります。民間委託の場合ですと、通常は業種や従事者の技術水準別にその単価などを記載しました月間積算資料ですとか、月間物価資料、そういった書籍を参考に委託業務の内容やその作業量をあわせて人件費を積算しているわけであります。したがいまして、民間委託の場合については、同業、同種の職の単価をもととしておりまして、一般的な額で算出するということであります。
一方、派遣職員がおるところの外郭団体との契約におきまして、この人件費の積算につきましては、その職務給相当額を委託料に含めておりますので、具体的な積算でいけば、派遣先での職員の職務や役職等を勘案しまして、派遣職員の職位を決めまして、当該職員について年間の人件費を算出した上で、市が払う身分給部分を除いた額を算出しまして、そして年度が終わったときに清算をする、こういう事務処理をしております。
違いということでありますけれども、そもそも派遣法による派遣といいますのは、派遣先の業務の円滑な実施の確保等を通じて、地方公共団体の諸施策の推進を図ることを目的としているわけであります。したがいまして、派遣職員は市の施策を推進するための人的支援が必要とされる団体で、市の施策の推進に資する業務に従事することとされているわけであります。給与におきましても、派遣先で市の職務に従事するのと同様の効果がある業務に従事することとされておるわけでありまして、通常の民間委託とはその前提ですとか枠組みが異なるということであります。実際に、身分給は市で、そして職務給は法人負担というスキームになっている中で、法人が支払います職務給部分を圧縮するということは現実的には難しい。例えば、職務給の主な時間外勤務手当ですとか、それからボーナスのときの勤勉手当、これらは市が払います職員の給料部分をベースにして算定するわけでありますので、民間委託における人件費の積算とはおのずと異なるだろう、同一に議論することは少し難しいのではないかというふうに考えております。
以上であります。

発言者:笹浪 保議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
答弁ありがとうございました。くどいようですけれども、現に大阪府では委託料を廃止しているわけであります。廃止に至る議論の中で、もし違法判決が出た場合、知事個人に対して、市川市であれば市川市長個人に対して多額の賠償責任がかかるというリスクも議論されているわけであります。そのリスクを、市川であれば市川市長個人が負うのではなく、幹部職員全員が負っていくという、そういう共通の危機意識、そういう認識を持ってやっていただきたい。大阪府においては、そういう認識のもとに出された結果なんです。ぜひそういう議論を、危機意識を持ってやっていただきたいと思います。そして、それはやはり本市において違法性がないこと、それがどうなのか徹底的に検証し、議論の過程を公表して、市民に不利益な支出とならないような措置をとっていただきたいと思います。
人件費の積算のところでありますが、今の話を聞いていると、委託事業というのは本来市がやらなきゃいけないものをほかの方にやっていただくという意味では、外郭団体だろうが民間だろうが同じなわけですよ。だって、本来市がやらなきゃいけないことでしょう。ですよね。例えば、人命を預かる急病診の委託があります。その人件費は、市の保健師さんなど医療従事者の給与分を見込んでいますか。そうじゃないと思いますよ。また、通常の業務委託は事業者が競合するとおっしゃっていました。外郭団体の本質の議論では、外郭団体の業務そのものが民間業務と差異がなくなってきている、こういった議論もされているわけですよね。ですから、外郭団体の委託料の人件費だけ例外とするというのは、やはり説明責任が果たせないと思います。多額の税金が外郭団体に流れることから、市民の方からのコンセンサスも得にくいと思いますので、引き続き改善に向け努力をしていただきたいと思います。
続きまして、議案第1号市川市市政戦略会議条例の制定についてを質疑させていただきます。
まず1点目といたしまして、この条例の制定目的と任務、その効果についてお尋ねをいたします。条例の制定の目的は、会議の任務の達成にあると思います。戦略会議の任務は、本市の重要施策に関する事項と行政改革の推進に関する事項についての調査審議と建議であります。このような審議をこれまで担ってきた附属機関に、市川市行財政改革審議会があります。今回、この行革審を廃止して別の諮問機関として戦略会議をつくるものであります。目的及び任務は行革審と重なる部分が多く、継続性も必要であると思います。新たな附属機関として戦略会議を制定する目的とその効果について、簡潔にお答えをいただきたいと思います。また、専門部会はどのような場合を想定しているのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:笹浪 保議長
企画部長。

発言者:笠原 智企画部長
まず、戦略会議条例を制定する目的と任務についてお答えいたします。市政戦略会議は、近年の厳しい財政事情に対応し、市政に対して市民の満足が得られるように、限られた財源を効率的かつ効果的に配分をして、より有効性のある施策を展開していく必要があることから、この市政戦略会議を設置しようとするものであります。その任務といたしましては、行財政改革審議会が所掌しておりました行財政改革について、より一層推進をしていくとともに、重要施策に関する事項についても所掌をしていこうとするもので、例えば、施策や事業についても行財政改革の視点を持ってご審議をいただこうとするものでございます。
次に、戦略会議の効果でございますが、行財政改革審議会との比較で申し上げますと、第1に、任務の範囲が拡大したことであります。これまで以上に幅広い分野について行財政改革という視点からご審議をいただくことが可能となってくると考えております。第2に、第2条第2項にありますように、諮問、答申とは別に意見を述べるといった規定を設けたこと、また、第3条第2項で臨時委員の配置を可能としたことでございます。これらによって、会議運営の柔軟性や迅速性を高めたいと考えております。
こうした新たな任務や機能によって、行財政改革等の諸施策の検討に当たり、これまで以上にスピーディーに第三者のご意見をいただけるようになるとともに、効率的な行政運営の実施につなげていけるのではないかと考えているところでございます。
次に、専門部会についてでございます。専門部会は、諮問事項のうちテーマごとに分けて調査研究をしたほうが効率よく審議が進められるような場合、また、事業の評価を実施する場合等において設置することを考えております。例といたしますと、テーマごとに分けて調査研究する場合につきましては、現在の行財政改革審議会におきまして、平成14年度に1度実施をしております。その内容といたしましては、人事給与部会、業務効率化部会、補助金部会、こういったものを平成14年度に行革審で立ち上げてございます。このような内容が考えられます。また、事業の評価を実施する場合につきましては、事業仕分けが具体的なものであるというふうに考えております。
以上でございます。

発言者:笹浪 保議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。戦略会議は、行革審を継続していくということで伺っているわけでありますが、しかし、この条例は前の行革審を廃止して新たに戦略会議を制定するという条例の廃止制定方式をとっているわけでございます。行革審を継続し、拡大、充実するのであれば、私は廃止制定方式ではなく、行革審条例の全部改正が適当であったかと思います。制定廃止方式と全部改正方式のいずれの方式をとるべきかについては、廃止制定方式は、既存の制度と新しい制度とが質的に変更され、継続性が弱い場合に採用されることが多く、全部改正方式は、既存の制度の基本を維持しつつ、その内容を全面的に改めようとする場合に採用されるものと思います。
戦略会議は、既存の制度である行革審の基本を維持しながら、その機能を高めるために全面的な制度の見直しを図るものということであれば、条例の全部改正のほうがより近いと思います。なぜ条例の全部改正ではなく、廃止制定方式をとったのか、お答えをいただきたいと思います。
また、テーマごとや専門部会、事業仕分け等々行うというふうに伺っているわけでありますが、本市では事業ごとにまとめた予算データ、事業評価がないわけでございます。そのような準備不足の状況で公正な事業仕分けができるのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:笹浪 保議長
企画部長。

発言者:笠原 智企画部長
まず、全部改正についてお答えをいたします。戦略会議は、行財政改革審議会の延長線上にあるものの、次の3点について大きな違いがあるものと考えております。
その3点の1点目といたしましては、行財政改革と政策をすり合わせるということを行おうとしております。これまでの行革審の中では、既存のシステムの中で特に財政改革をメーンに、また、行政改革では組織手続の改革を行ってきたわけですが、さらに、他の政策をすり合わせることによって、より政策の実現性を高めていこう、こういう意味合いもあるということでございます。2点目といたしましては、臨時委員の配置や専門部会で事業仕分けを行うなど、柔軟性を持たせた機能を追加したということでございます。3点目は、会議から意見を述べることができるという規定を設けまして、より迅速性を追加したというふうに考えております。このようなことから、戦略会議として新たな附属機関として条例制定をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
次に、事業仕分けについて準備不足はないのかというご指摘かと思います。実は、昨年度におきまして企画財政部門におきまして、内部仕分けを内々的に実施をしてございます。この昨年の内部仕分けで事業ごとの概要調書を使いまして、既に目的が達成しているのではないかというものや、他に類似、重複しているものがあるのではないかといったような事業、また、市民が本当に望んでいる事業なのかどうか、あるいは極端な費用対効果の問題があるような事業ではないか、こういったさまざまな観点から事業を調査し、問題点があると思われるものを抽出し、対応方針をまとめているところでございます。
これらをベースにいたしまして、本年度の事業仕分けに進めていきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。

発言者:笹浪 保議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。条例の全部改正であれば、今までご協力をいただいた行革審の委員の方を戦略会議に引き継ぐことができます。しかし、条例の廃止制定方式を選んだということは、前の条例、行革審を完全に終わらせるということになるので、行革審の委員の方の任期満了前に会議を終わらせる必要があったかのようにも受け取れるわけでございます。
ご答弁の内容では、全部改正のほうがやはり適当のように受け取れますが、廃止制定する最大の理由は何か、お答えをいただきたいと思います。
また、本市の最大の弱点、これは、今まで事業ごとにまとめた資料がないということだと思います。財政と企画で事業ごとに概要調書を作成しているとのことですが、これはすべての事業についてですか。今では、どこの自治体でも当然のようにすべての事業の調書や評価が公表されております。本市では、公表されてないんです。そして、市が任意の事業をピックアップして見繕うのが妥当かどうか再考していただきたいと思います。準備不足の段階で会議に諮問しても、有効な結論を導き出すことは難しいと言えます。早急に事業ごとの評価表等を作成し、公表していただきたいと思います。
事業仕分けについては、民間の方が行う場合、その責任と権限の整理についてどのように行っていくのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:笹浪 保議長
企画部長。

発言者:笠原 智企画部長
まず、廃止制定の明確な理由ということでございます。やはり、平成14年度に行革審ができてまいりまして、おおむね10年間機能していただきましたが、ここで大きく刷新というような意味もありまして廃止制定というところを選択させていただいたところでございます。
それから、すべての事業について内部の仕分けをしたのかということでございますが、予算事務事業におきましては大きく3つに分かれておりまして、経常的な経費、それから通常の政策にあります政策Aという経費、非常に政策的な政策Bという経費、この3点に分かれておりますが、昨年度はこの中の政策A事業、本数でいきますと539事業について内部の見直しを図ったところでございます。これらの中で何らかの課題があるものであったり、あるいは見直しを検討したほうがいいであろうという一定の絞り込みができてございますので、それをベースに行っていきたいというふうに考えております。
それから、事業仕分けにつきましては、委員はもちろんでございますけれども、臨時委員におきましても委員と同じ権限が与えられてまいりますので、長の附属機関としての責任と権限の中で仕分けを行っていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。

 

発言者:笹浪 保議長
坂下議員に申し上げますが、事業仕分けにつきましては質疑の通告の範囲を超えておりますので、通告に従っての発言をお願いしたいと思います。
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
質疑の通告の範囲を超えていると言われても、さきの議運でできるようになっている、そういった中で通告をさせていただいて認められているわけでありますので、そういうふうに言われても困るんではないかなと。それは、ご指摘を議運のときもさせていただいていたかと思います。
専門部会は、内部機関や審査会、私的諮問機関の懇談会等と重複するものがあると思います。例えば、行財政改革推進会議は事実上廃止とのことでした。しかし、例規では存在しており、委任事項、廃止事項の規定はありません。これはしっかりと整理をしていただきたいと思います。内部機関、附属機関、私的諮問機関等が重複している場合の整理をお願いしたいわけでございます。そして、事業仕分けについてでございますが、抽出の問題、資料の問題、責任の問題、課題が多いと思います。本来であれば、決算審査特別委員会において事業ごとの詳細な資料を提出し、議会が責任を持って審査すべきものであると思います。決算において資料が不足していることは何度も指摘しているところであります。戦略会議において情報操作に陥らないよう審議するのに十分な資料を用意していただくようよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、条例制定にかかわる問題点についてお尋ねをします。
戦略会議は、条例第1条に定める地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく附属機関であります。附属機関制度の本来の趣旨は、行政の民主化にあります。しかし、附属機関の弊害も多く指摘されているところであります。附属機関に自主性、独立性がないと、単に行政を正当化するための追認機関になったり、諮問内容を権威づけるための機関であったり、行政の隠れみのになるという事態もあります。また、諮問機関の存在が行政の非効率、停滞、遅延を招くという批判もあります。
このような附属機関が持つ弊害、問題点を排除するため、どのような体制づくりを行うのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:笹浪 保議長
企画部長。

発言者:笠原 智企画部長
条例制定に係る問題点についてお答えをいたします。
戦略会議の自主性、独立性、また活性化、これらの問題につきましては、その確保について2点の配慮を考えてございます。まず第1点目でございますが、活発な議論が行われるように、委員の選定については十分な配慮が必要であるというふうに考えております。まず、市民委員の選出におきましては、市政に積極的に参加する意欲をお持ちの方を公募により選定してまいりたいというふうに考えております。次に学識経験者につきましては、幅広い見識を有する方を選定したい。また、関係団体の推薦につきましては、分野分野で偏りの生じないような形で各分野の団体からご推薦をいただきたいというふうに考えております。
2点目は、臨時委員の活用でございます。審議の活性化のため、臨時委員を活用していきたいということでございます。臨時委員が加わることによりまして、既存の委員にはない別の立場からの意見が出されたり、それが新たな刺激となって審議によい効果を与えることもあるのではないかというふうに考えております。このように、臨時委員の活用によって審議そのものを活性化させることができるのではないかというふうに考えているところでございます。
以上でございます。

発言者:笹浪 保議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
附属機関が行政の隠れみのとならないためには、会議の活発性が重要であります。そのためには、会議への情報の提供が重要になります。会議直前に膨大な資料を提供しても、活発な、本質的な議論はできないわけであります。あるいは、行政側において審議に必要な情報、資料を十分に提供しない限り、委員にどんな有識者がそろっても審議を尽くすことは不可能であります。一方、膨大な資料作成は事務局の事務負担になり、行政の非効率を生みます。また、行革審の開催回数は大体年間8回程度で建議、答申を行っているわけであります。原則は月1回開催のはずだと思います。そういった8回程度の開催で十分なのかどうか、そういったことも含めて市民目線での会議運営を強く望みまして、我が会派、宮田かつみ議員へバトンタッチをしてまいりたいと思います。