2009年(平成21年)9月議会 議案質疑

2009年(平成21年)9月議会 議案質疑
第2日目 2009年9月7日
発言者:戸村節子副議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ニューガバナンスの坂下しげきでございます。認定第1号平成20年度市川市一般会計、特別会計及び公営企業会計決算の認定についてを質疑させていただきます。 
福祉施策の根幹を成す経費、扶助費等の執行状況についてお尋ねをいたします。社会保障政策の実施は、市民の安心感を確保し、社会経済の安定化を図るため大きな役割を果たすものであります。経済不況が深刻化する中で、平成20年度における本市の事業の実施状況を見きわめる必要があります。各種扶助政策は、予算では扶助費、補助費などが相当しますが、これらは申請主義による受給になります。申請主義では、市民の方が手当てなどの内容を知ったときに、みずから申請し、受給するものであります。つまり必要な方に制度が広く周知されないと申請ができず、手当て等が行き届かないことになります。このような施策の予算執行状況を見ると、社会状況が緊迫してきたにもかかわらず、予算自体が平成19年度より減額になって、その上で執行率も70%、80%という事業もあります。執行率56%という事業もあります。継続して受給している方は制度をご存じなので、引き続きの申請がしやすい状況にありますが、新規で手当てを受けたい方は、その制度を知るきっかけが必要になります。決算状況、執行率などから、制度の周知、新規申請者の増減などについてどのような検証を得ているのかお答えをいただきたいと思います。

発言者:戸村節子副議長
福祉部長。

発言者:松本マキ子福祉部長
扶助費の決算に関する質疑にお答えいたします。 

福祉部が所管する扶助費のうち、一部の事業において執行率が低いものがあることは認識をしているところでございます。扶助費などの事業に係る予算の積算に当たりましては、その年度の利用状況や過去の実績、経済状況、国や県の動向等を考慮し、来年度の見込みを立て慎重に予算計上しておりますが、執行段階におきまして、予測よりも対象者が伸びなかった、または当初予算段階では想定できなかった経済状況の変化や制度の改正、あるいは感染症の流行などの理由により利用者等が減少し、その結果、執行率が低下するといったこともございます。福祉サービスにつきましては、高齢者や低所得者、あるいは障害をお持ちの方の市民生活の安定に直接にかかわるものでありますことから、対象となっている方に制度を十分お知らせし、必要とするすべての方々に利用していただきたいと考えているところでございます。これまでも広報やホームページを初め公共施設へパンフレットを配置したり、市のイベントを活用した周知、あるいは高齢者や障害者などの団体や民生委員、地域包括支援センターなどの協力関係機関を通じてきめ細かくPRを行っているところではございますが、いずれにいたしましても、制度を知らないことで本来受けることができるサービスが受けられないということがないように、ご指摘を踏まえまして、今後とも制度の周知方法や周知内容等について、なお一層工夫するなどして周知を徹底してまいりたいと考えております。 
以上でございます。

発言者:戸村節子副議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。 
まず、扶助費等の申請主義による場合の執行率から見る本市の施策について伺いました。先ほど申し上げましたように、申請主義による手当て等の受給は、市民の方がその制度自体を知らないと受給できないわけでございます。福祉部からご答弁をいただきましたが、こども部、そして教育委員会も同じようなことが言えるわけでございます。遺児手当、教育の就学援助など、たくさんあるわけでございます。現在、既にある制度でありますから、これらを最大限活用して市民生活に寄与できるようにしていただきたいと思います。 
また、ご答弁にもありましたが、周知はされていると思いますが、完全に行き渡っていない部分は否めません。庁内でうまく連携をとっていただいて、ぜひ前進をしていただきたいと思います。 
これにつきましては以上でございます。 
続きまして、決算審査意見書についてお尋ねをいたします。情報システム費については、この9年間でほぼ毎年のように予算の増加を繰り返し、その増加は予算額で約13億円、250%アップになっております。自然増が見込まれる民生費でさえ1.6倍ですから、比較すると一層情報システム費の増加率が際立つわけでございます。決算審査意見書において、「情報関連の事業については、自動交付機設置事業をはじめ各事業において常にコスト意識を持ち、効率性や有効性の面から評価・検証を行い」とあります。具体的にこのような意見に至った要因は何かお答えをいただきたいと思います。 
また、決算審査意見書には、「今後の財政運営にあたっては、選択と集中による事業の重点化を進め、徹底した歳出の削減に取り組み」とありました。本市の財政状況、事業状況を推察する中で重要な指摘であると思います。具体的にこのような意見に至った要因は何かお答えをいただきたいと思います。

発言者:戸村節子副議長
答弁を求めます。 
代表監査委員。

発言者:谷本久生代表監査委員
決算審査意見書についてのお尋ねにお答えいたします。 
決算審査につきましては、毎会計年度、会計管理者が調整した決算につきまして、市長から私ども監査委員に対し審査依頼がありまして、決算等の関係諸表の係数を確認するとともに、予算の執行が効率的かつ有効なものとなっているかなどを、関係課から提出された資料や関係職員の説明を聴取し監査を行い、市長に意見を提出しているところでございます。また、この意見については、それぞれ4人の監査委員の合議によってまとめているところでございます。 
お尋ねの1点目の情報関係の件でございますが、情報関連事業につきましては、現事業の事務改善的なものと将来を見据えた先行投資的なものがあります。一概に即費用対効果を判断することは難しい面もございます。このような中で意見書をまとめるに当たりまして、必要に応じて関係課に資料の提出を求め、事業内容を聴取させていただいていますが、情報政策部につきましても、自動交付機設置事業等の内容を聴取し、監査を行ったところでございます。その事情聴取におきまして、自動交付機による証明書等の交付総件数が年々大幅に増加している反面、場所によっては、まだ発行枚数が非常に少ない場所もあることが判明いたしました。また、運用コストについてもまだまだ大きいことから、効率性や有効性の面から適正な配置を検討していただくよう要望させていただきました。自動交付機の有効活用につきましては、住民基本台帳カードの普及や自動交付機のサービスメニューの拡大などでより有効的に活用され、費用対効果は当然高くなると考えているところでございます。また、今議会にも予算の要求がなされておりますが、今後、コンビニ店における証明書交付サービスの運用が開始されるとの予定でありますことから、その運用等、自動交付機の設置のあり方を調整し、より効率的に事業を推進していただきたいと考えているところでございます。なお、現在、担当部において、そのような検討がなされていると伺っているところでございます。 
次に、2点目の今後の財政運営の件でございますが、このような意見に至った要因としましては、決算審査意見書にも述べさせていただきましたが、平成20年度決算における財政状況については、財政力指数を初め各種財政指数等が健全な数値にあり、評価しているところでございます。しかしながら、本市においても、昨年秋からの景気の悪化の影響から、20年度の法人市民税の決算額も19年度と比較しますと大きく減となっております。また、今後についても、本市の歳入の根幹をなす市税は、景気低迷による個人所得の落ち込み等により減、あるいはまた、将来的には団塊世代の大量退職に伴う労働者人口の減少などによる減収が見込まれる面がございます。また一方では、歳出面では少子・高齢化の進行などにより、扶助費を初め保健医療に要する経費の増大が避けられないなど、厳しい状況が見込まれます。厳しい状況にあるということにつきましては、21年度の当初予算におきましても、市民税の予算額は前年に比べ大幅に減額しており、財政部でも十分認識しているところと推察されるところであります。今後の財政運営では、事業の選択に当たりましては、限られた財源の有効活用を図っていただくよう要望させていただいたところでございます。 
以上でございます。

発言者:戸村節子副議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。情報システム費については、先ほども申し上げましたが、その予算規模、増加率は目をみはるものがあるわけでございます。また、外部発注がその大多数を占めるわけでもあります。内容も専門的になり、内部での検証が難しい事業であると思います。そして、費用対効果、市民満足度を直接的に得がたい事業でもあります。監査で指摘のあったように、厳正な評価、検証を行い、しっかりと公表し、市民の方々へ説明責任を果たしていただきたいと思います。 
次に、選択と集中による事業の重点化についてでありますが、これは重要な指摘であると思います。本市では、選択と集中を行える評価体制が整っているとは言えないわけでございます。事業数を999事業に削減したとのことですが、私が伺ったところでは、どの事業が、何の理由で、予算全体でどのぐらいが削減されて、財政効果としてこれぐらいでしたというような総括がされていないとのことであります。事業の選択は恣意的であってはならないので、説明責任の観点からも、この指摘を真摯に受けとめていただきたいと思っております。これを受けて総合計画を策定し、行政評価を担当している企画部は見直しを行っていただきたいと思います。 
また、財政部では新年度予算の編成において、各歳出分野に一律の削減枠、シーリングを当てはめて機械的に歳出を削る現在の方法では、予算にめり張りがつかないわけでございます。監査委員会ご指摘の選択と集中による事業の重点化をしっかり踏まえて、決算内容を生かした予算編成に取り組まれるよう期待するわけでございます。 
続きまして、議案第19号平成21年度市川市一般会計補正予算(第1号)について質疑をさせていただきます。 
まず、住基カード普及活動訪問推進事業の戸籍住民基本台帳費についてお尋ねをいたします。当該事業は緊急雇用創出事業の中で行うということであります。しかし、雇用創出事業の目的は、要件の範囲内で市が独自に決めるものであります。つまり住基カード普及活動に限定されるものではないということでございます。また、先ほどの質疑で決算における扶助費等の状況についてお尋ねをいたしました。この経済状況の中で社会保障的支援を求めている方は多いと思います。しかし、申請主義のため制度を知らず、受給要件を満たしていても申請をしていない方がいると思います。市民生活の安定を第一に考え、守っていくことを考えると、市川市全体の政策順位の中で住基カードの普及が優先課題と言えるのかどうか。まだ周知が行き届いていない国や県、そして市川市独自の扶助的政策、社会サービスは多々あるわけでございます。これらの制度の普及こそ、今一番求められていることであると思うわけでもあります。 
このような観点から、この住基カード普及活動訪問推進事業を実施することについて、他の事業、施策との均衡性は図れるのか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:戸村節子副議長
答弁を求めます。 
市民経済部長。

発言者:石川喜庸市民経済部長
お尋ねの件でございます。 
まず、住基カード普及活動訪問推進事業につきましては、臨時職員と職員数名から成る住基カード訪問推進班を組織しまして、この推進班が市内の各事業所や自治会、商店会、工業会等、関係機関のご理解、ご協力のもと、集会や会合等を通じての普及活動を行いながら文化施設等の利用者への普及活動、さらに各種イベントを通したPR活動を展開することで新たな住基カード利用者の拡大に取り組んでいくものでございます。この住基カードは、自動交付機で土日、祝日、夜間も住民票、あるいは印鑑登録証明書、納税証明書等が取得でき、さらに公的な身分証明書としても利用できるなど、大変便利なカードでございます。今後、コンビニでも住基カードが利用できるようになることから、住基カードの利便性がますます高まるというところで期待しているところでございます。この住基カード普及活動訪問推進事業が、より多くの市民にこのカードを取得してもらうことにつながる事業でございまして、また、住基カードの普及促進が市の主要施策として取り組む事業の1つとして位置づけられていること。さらには、今回、緊急雇用創出事業について事業採択が見込める等から補正予算に計上させていただいたものでございます。市民サービスの向上を図るため、この住基カードは必要なものであります。今後ともこのカードの普及促進に努めていきたいと、このように考えているところでございます。 
以上でございます。

発言者:戸村節子副議長
坂下議員にお聞きしますが、再質疑なさいますか。 
〔坂下しげき議員「します」と呼ぶ〕

発言者:戸村節子副議長
それでは、再質疑のところから休憩後にお願いしたいと思います。 
この際、暫時休憩いたします。 
午後2時56分休憩 
―――――――――――――――――――― 
午後3時33分開議

発言者:竹内清海議長
休憩前に引き続き、会議を開きます。 
日程第1議案第12号から日程第24報告第12号までの議事を継続いたします。 
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
先ほど中断しまして、ご答弁ありがとうございました。先ほども申し上げたところでございますが、雇用創出事業の目的は、要件の範囲内で市が独自に決めるものであります。つまり住基カード普及活動に限定されるものではないということでありまして、また社会保障的な事業など、普及推進が必要な事業はほかにもまだまだあるわけでございます。決算のところの質疑では、社会保障施策の申請主義において、その周知が行き届かない部分があって、本来、受給資格があるにもかかわらず援助が受けられない場合があることを申し上げました。子供の手当て、教育費関係、高齢者の方、障害をお持ちの方など、たくさんいらっしゃると思います。この住基カードの事業のように、市内各所、公共施設、自治会、イベント会場等で周知を行うこともできると思います。市の政策における優先順位をどのように考えて当該事業が選択されたのか。本市の重点施策ということはよくわかるわけでありますが、しかし、経済状況の変化を受けて実施されたのが雇用創出事業補助金であります。この状況に臨機応変に対応して、重点施策にとらわれずに事業選択を行ってもよいと思います。 
そこで、どのような選考過程で住基カード普及活動が選択されたのかお答えをいただきたいと思います。

発言者:竹内清海議長
市民経済部長。

発言者:石川喜庸市民経済部長
まず、プロセスというんでしょうか、そのお話をさせていただきますけれども、この事業につきましては、千葉県から緊急雇用創出事業とふるさと再生特別交付金事業の追加実施の希望調査があったところでございます。この事業の中身、いわゆる項目を提出する場合については当然予算計上も必要だというところから、今回、財政部と市民経済部、こちらのほうで協議しながら、全庁的に各部に事業の掘り起こしをしていただきたいというところでメール、あるいは説明会等を行って依頼してきたところでございます。その結果、関係各課より、この事業の応募がございまして、再度、財政部と市民経済部、こちらのほうが、今回の両事業の趣旨である雇用創出というような観点から協議の上、結果、今回の事業を選定したというような次第でございます。このようなプロセスの中で、重要施策であるところの住基カードの推進事業については優先順位がついたというようなところでございます。 
以上でございます。

発言者:竹内清海議長
坂下議員。
発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。事業決定のイニシアチブをとったのは雇用創出事業の担当課と財政部ということでございました。政策決定権が少し不明瞭かなと思うわけでございます。限られた予算の中で効果を上げるための庁内でのオーソライズ、選択と集中による事業の重点化が不十分であるような気がするわけでございます。財政部長にお尋ねをしたいところでございますが、政策事業間において検討していただきたいと思います。 
続きまして、住民票等コンビニ交付事業委託料について伺ってまいりたいと思います。先ほど決算審査意見書の中で、情報関連の事業については常にコスト意識を持ち、効率性や有効性の面から評価、検証を行いという指摘があったことを申し上げたわけでございます。今回の補正予算でも……。

発言者:竹内清海議長
坂下議員に申し上げます。(2)の15ページ、ISOの関係なんですけれども、よろしいんですか。

発言者:坂下しげき議員
ごめんなさい、そっちが先だった。失礼しました。そしたら、順番を変えさせていただいてよろしいですか。

発言者:竹内清海議長
はい、どうぞ。許可します。

発言者:坂下しげき議員
済みません、失礼しました。今回の補正予算でも約3,300万円に上るものであります。事業目的は、住基カードによる自動交付機と重複したサービス内容になります。国の補助は初期経費にかかるものであり、システムの保守、賃借料など、後年度負担、将来債務が確実にかさむわけでございます。国の事業であっても、限られた本市の歳出予算の中で必要なもの、不必要なものを市民の目線で選択しなければなりません。費用対効果の検証は行っているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

発言者:竹内清海議長
情報政策部長。

発言者:横谷 薫情報政策部長
お尋ねのコンビニ交付の事業につきまして、費用対効果についてお答えをさせていただきたいと思います。 
諸証明書発行のランニングコスト、あるいは発行枚数との比較による証明書1枚当たりの発行単価というようなものを検討してきておるわけでございますが、平成20年度の決算額、また、その発行実績から、これまでも何回か答弁させていただいているとおり、窓口単価は約725円、自動交付機におけますと2,988円、こういうふうな状況になっていることは既にご承知のとおりでございます。これに対しましてコンビニ交付の発行単価は、平成20年度の自動交付機から発行された住民票、印鑑証明書の枚数等の実績から、その約半数がこちらのコンビニ交付のほうに回るのではないかと、このように仮定をいたしまして、その試算によりますと450円というふうに想定しているところでございます。このように単純なコスト比較におきましては、従来の窓口交付、あるいは自動交付機の交付と比較いたしまして、大変高いコストパフォーマンスを発揮するものということで期待しておるところでございます。 
さらに、平成18年度に実施いたしました市民ニーズ調査においても、コンビニでの証明書発行サービスを望む声が非常に高かったこと。平成12年にスタートいたしました別システムでございますが、施設予約システム360+5のサービスにおきまして、東京23区を中心とした市外のコンビニ店での利用が大変に多かったこと。また、今後さらに多くのその他コンビニチェーン店が事業参入する見通しであること。こうしたことを考えますと、その飛躍的な利便性向上というものはコスト計算値以上に市民満足度を高めるものと期待しているところでございます。 
また、本事業はシステム構築に係るイニシャルコストを国が負担すること、システムの運用管理を総務省管轄であります証明書発行センターで一括して行うこと、そして証明書交付のためのネットワーク、あるいはキオスク端末を、民間事業者でありますコンビニエンス側で負担をし調達をすること、全国のコンビニ店で早朝から夜間までのサービスを行えること。こうしたことから、今後の費用負担面においても大きな利点が期待できる事業であると、このように考えておるところでございます。 
なお、本事業の実施に伴いまして、既存の自動交付機の取り扱いにつきましては、窓口の軽減効果、事務の軽減効果、税証明、福祉サービス券、新たに機能を追加する予定としてございます戸籍証明の発行等、コンビニ交付にはない多くの機能を持っていること。こうしたことから、これを電子市役所、こうした位置づけをいたしまして、今後のコンビニ交付の利用実績を考慮しつつ、新たな配置基準のもとに一部削減も含めた適正配置に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。 
以上でございます。

発言者:竹内清海議長
坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。今回のこの導入については、現実的な数字でかなり慎重に検討されているようであります。その点については理解をするわけでございます。しかし、監査でも指摘があったとおり、自動交付機では、例えば住民票1枚に2,988円、物すごいコストが現在の運用で発生しているわけであります。裏を返すと、だれかが住民票を自動交付機で1枚とると、皆さんの税金が約2,750円充てられるということになり、全体では約5万6,000通でありますから、1億5,560万円もの税金が補てんされていることになります。これは保育園に例えると、1園分の運営費以上の経費になる。そして、自動交付機を設置する際の当時の井堀部長のご答弁では、3年程度の期間をめどに、自動交付機から50%の証明書を交付、約30万件を見込んでコストを計算すると1枚328円のコスト減になるとのことでありましたが、現実には3年以上経過しました現在で1枚約3,000円のコストである。市民ニーズという側面から、他の施策との均衡を図っていただきたい。 
コンビニ交付はそれだけで便利なサービスであります。受益者負担の観点から450円のコストがかかるのであれば、限られた財源の中で他の事業を圧迫しないように、手数料を厳密に設定していただきたいと思います。今後、実用段階に入る前に手数料の改正があろうかと思います。慎重に検討していただきたい。そして情報関連の事業については、自動交付機設置事業を初め各事業について常にコスト意識を持って行っていただきたいと申し上げておきます。 
続きまして、ISO9001関連事業費について質疑をさせていただきます。先ほども先順位の田中幸太郎議員からありましたように、本市では、今までに事務事業評価、ABC評価、BSC、第2次アクションプランなど、さまざまな行政経営改善、行政評価を提唱しているわけであります。しかし、何度も議会で指摘をさせていただきましたが、事務事業評価については5年以上公表がないわけでございます。行政評価は行政運営にとって重要なものであります。市民の方が本当に望んでいる事業は何か、不必要な事業、削減する事業は何か、これを正確に公平に客観的に見きわめる必要があります。そして、必要な事業については最少の経費で最大の効果を上げるために事務の効率性を図るための評価も行い、質を上げる努力も必要であります。このことから、常に行政経営において、プラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAサイクルとその過程の公表、説明責任が必要であると何度も申し上げてきました。 
ISO9001はこのような検証を行うものでありますが、あえて今回、予算を補強し、行政コストを増加させてまで必要なものなのでしょうか。今まで本市が提唱してきました行政評価をきちんと整理して見直して実行していけばよいのではないでしょうか。行政評価を行うには基礎資料の作成など、職員にも負担がかかります。負担がかかるということは、本来業務である市民サービスの低下につながるという懸念があります。さまざまな評価を雑多に用いるのではなく、精度の高い実用性のある評価の仕組みを自力でつくり、行っていくのが本来の姿ではないでしょうか。他市のホームページを見ますと、日本全国的に行政評価が定着しており、公表の数も相当数あるわけでございます。本市の行政評価のあり方はどのようになっているのか。当初予算額を約3倍にする、増額補正をしてまで行う意義についてお答えをいただきたいと思います。

発言者:竹内清海議長
総務部長。

発言者:春日幹雄総務部長
まず、今回の補正で計上した理由でございますけれども、ISO9001を導入する目的につきましては、先順位者にもお答え申し上げましたとおり、行政サービスの水準の確保と向上、そして市民ニーズを反映した事業ケースのあり方、さらには組織体制の整備等々、自己責任、自己決定権、組織運営など、さまざまな効果が期待されているところでございます。これらのことによりまして業務のワンランクアップを目指すことによりまして、市民の満足度の向上、さらには効率的な行政運営につなげていくことをねらいとしまして、21年度において当初予算を計上させていただいたところでございます。 
また、今回の補正の計上につきましては、システム構築の手法を検討する中におきまして、プラン・ドゥー・チェック・アクション、いわゆるPDCAのマネジメントサイクルに基づく業務改善の具体的な手法のあり方、あるいは行政サービスの水準の確保と向上を図ることの視点、市民ニーズを反映した事業形成のあり方、さらには業務改善の具体的手法やその住民サービスに対する満足度を図るための手法等々、さまざまな点におきまして検討を重ねていく中でISO9001との整合性の検証など、課題を整理してまいりました。本市のようにISO9001システムを業務改善手法に応用した事例につきましては、他の自治体においてはございませんので、その妥当性の検証や効果的運用手法について専門的知識を有したコンサルティングを受ける必要性があると、そういう認識のもとで今回の補正を計上させていただいたところでございます。 
それから、2点目のISO9001を活用した中での行政評価のあり方とは何なのかということでございますが、ISO9001につきましては、品質管理において国際標準と言えますけれども、自治体がこの認証を取得しようとする場合、ご指摘のとおり、最少の経費で最大の効果を得ることはもちろんのことでございますが、PDCAサイクルを回す仕組みが確立されているかが重要な要素となってまいります。ISO9001の認証に当たりましては、業務改善、事務改善という視点でPDCAサイクルの運用を検討しているところでございまして、この運用過程の中で効率性や必要性を判断し、業務改善に結びつけていくものでございます。そこで、見直しの中で生じましたマンパワー、あるいは財源を市民ニーズに合わせて再配分することを検討してまいりたいと考えております。本市では、システムを業務改善ツールとして運用することを検討しておりますので、ある部分におきましては行政評価とも連携できるシステム体系を目指したいと思っているところでございます。 
3点目の認証を取得する意義の問題でございます。ご説明申し上げましたように、業務改善手法に応用した手法といたしましては、先順位の質疑者にもお答え申し上げましたが、本市は各課で行っている業務に視点を当てた形で検討を行っておりまして、その業務、事務にかかわる人的配分の数値につきましては、他の調査により明らかにされておりますので、この業務の人的配分をもとに主要な施策体系であるのか、社会情勢や緊急性、効率性、あるいは公平性等々、さまざまな観点をもとに事業の評価を行いまして、PDCAサイクルを展開する中で事業の効率性、必要性を判断してまいりたいと思っているところでございます。 
各課におけるさまざまな業務につきましては、このような作業を行う中で事業についての見直しを行い、事業について改善できる部分や無駄な部分など、個々の事業について改めて注目する視点で確認を行いまして業務改善を図ることを検討してまいりたいと考えております。この中には、検討した結果としましては、業務改善はもちろんのことでございますけれども、事業の選択を含め、事業検証の必要性があるものも出てくるのではないかと思っているところでございます。この結果、業務改善などにより生じます人的、あるいは財政的な余裕につきましては、市民ニーズの高い事業に再転換することでさらなる市民サービスの向上につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。 
以上でございます。

発言者:竹内清海議長
坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。ご答弁を伺っておりますと、ますます、現在既にある行政評価が目指しているものと方向性は全く同じであると思うのであります。事務事業評価、ABC分析などをしっかりやって事業をチェックし、公表し、改善していくのと何が違うのでありましょうか。同時に行うのであれば、評価自体が二重コストになるわけでございます。今までの評価を改善して一本化するのか、現行の評価をやめてISO9001に変えるのか、どちらかであると思います。実効性のある評価を行うためには非常に大きな事務コスト、負担が発生いたしますので、市民サービスの低下が懸念されるわけでございます。つまり雑多な評価を行うと、行政評価自体が行政コストになるわけでございます。しっかり整理をしていただき、評価体制をつくっていただきたいと思います。 
そこでISO9001について説明がありましたが、その結果について目的がなければ事務量をふやして、ただやっただけになります。今回、ISO9001では政策評価、施策評価、事務事業評価、どのレベルで行っていくのか、端的にお答えをいただきたいと思います。 
それと、他の評価は企画部でやっているわけですよね。ISO9001は総務部ということで担当が異なりますが、重複評価を避けるなど一貫性を持たせるのが難しいと思います。そこで、なぜ総務部が担当するのか、端的にお答えをいただきたいと思います。

発言者:竹内清海議長
総務部長。

発言者:春日幹雄総務部長
まず、行政活動を階層化いたしますと、大まかには、質疑者もおっしゃっていましたが、政策、施策、それから事務事業の階層といいますか、構造ととらえることができるところでございます。ご案内のとおり、具体的には、政策とは大局的な見地から市が目指す方向や目的を示すものでございまして、基本構想に当たる部分だと思われます。それから、施策につきましては、政策目的を達成するための具体的な方策を指しておりまして、基本計画に当たる部分であると思われます。さらに事務事業につきましては、政策目的を達成するための具体的な手段を指しまして、本市の総合3カ年計画実施計画に当たる部分であると認識はさせていただいているところでございます。本市の目指しておりますISO9001につきましては、PDCAマネジメントシステムに基づく業務改善に着目してのシステムの構築を行おうという検討をしておりまして、各課の事業を対象にPDCAのサイクルを展開していくことを考えております。したがいまして、行政活動の分類におきましては、事務事業を対象とする考え方に近く、この分野でもPDCAサイクルを展開することになると考えているところでございます。 
続きまして、なぜ推進体制を総務部で行っているのかという点でございます。今回のISO9001を推進する手法につきましては、事業について改めて見詰め直し、業務改善を推進していこうということで、実際に事業に携わっている職員1人1人が自発的にどこをどう工夫すれば業務の無駄が省け、効果が上がり、ひいては行政サービスの向上につながるのかということを、より一層各事業に向き合い、真剣に考えることが重要だと思っております。そこでISO9001につきましては、自分たちの日々行っている事業を点検し、見詰め直すためのツールとしてシステムを検討していますことから、職員1人1人の意識向上を図ることが必要となってまいりますので、職員の意識改革、あるいはスキルアップ、ひいては人材育成にもつながることを考え、現在、総務部で推進体制をとっているところでございます。 
なお、企画部門との連携を図ることは重要なことと考えております。今後とも密に連絡調整を図りながらシステム構築を進めてまいりたいというふうに考えております。 
以上でございます。

発言者:竹内清海議長
坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。市民の方が本当に望んでいる事業は何か、不必要なもの、削減するものは何かを正確に、そして公平に客観的に見きわめる必要があるわけでございます。このままでいくと事務量をふやすだけで、その評価自体が行政コストになるおそれがあります。目的をはっきりさせて、今までの行政評価のあり方を検証してから着手していただきたいと考えます。今までの評価体制等の整合性も勘案し、メリットが見える形をつくっていただきたいと思います。 
議案第13号につきましては取り下げをさせていただきます。 
以上です。