2007年(平成19年)9月議会 議案質疑

第3日目 2007年9月7日
発言者:松井 努議長
 日程第1議案第25号市川市第三庁舎耐震補強工事請負契約についてを議題とし、昨日の議事を継続いたします。 
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
 新政クラブの坂下しげきでございます。通告に従いまして、議案第25号市川市第三庁舎耐震補強工事請負契約について、大きく5点の質疑を行います。 
 通告第1の契約方法についてお尋ねをいたします。 
  前議会でも当該議案と同様の契約方法であるプロポーザル・デザインビルドについて質疑が行われており、今議会においても先順位者が質疑しております。改めて整理しますと、技術提案型の発注としては大きく2種類の契約方法があります。随意契約であるこのプロポーザル・デザインビルドと、入札である総合評価競争入札方式であります。一方は随意契約、一方は入札という大きな違いがあります。入札である総合評価が勝っているところは、評価の客観性、入札金額の評価にあると思います。本市では、総合評価競争入札方式を既に実施しております。しかし、これまでに市川市が行っている総合評価競争入札は、高度技術提案型の総合評価ではありません。私は、総合評価において一番市民利益を引き出せるものは、高度技術提案型であると思っております。高度技術提案型は、設計から工事、そしてでき上がった建造物の管理、維持に至るまで、性能、品質、施工管理、運営、維持コストなどを入札価格と同時に評価し、落札者を決定することになるので、経済性や品質の確保が長期間にわたって最大限発揮できる手法であると思っております。 

 簡易型の総合評価では、談合の防止などには効果は期待できますが、事務コスト等を考えると、高度技術提案型に比べ市民利益への還元は微小であると思います。本市の工事請負はほとんどが設計と工事が分割発注であることから、高度技術提案型の総合評価を行ったことはなく、総合評価のメリットを最大限引き出した例はありません。議案第23号及び24号も同様であります。しかし、今回随意契約で行った当該議案の市川市第三庁舎耐震補強工事は、設計と施工を一括して発注していることから高度技術提案型の総合評価競争入札を行うことが可能であり、総合評価のメリットを最大限引き出せるチャンスでありました。したがいまして、高度技術提案型の市川市第三庁舎耐震補強工事において、総合評価競争入札を採用しなかった理由についてお答えください。 
 次に、本市では設計と施工を一括して発注する場合は、本件のように総合評価競争入札を採用しないでプロポーザル・デザインビルドを採用するのか、お答えください。 
 変わって第2の予定価格の設定についてお尋ねいたします。 
 今回、提案書を提出した2社からの見積もりを見ると、契約の相手方は予定価格と同額であり、もう1社は予定価格の4倍から5倍の見積額になっております。また、随意契約であるので落札率100%という表現は適当ではないかもしれませんが、提案額イコール予定価格イコール契約金額となっていると思われます。この結果を受けてお尋ねいたします。 
 予定価格は、プロポーザル・デザインビルドの事務手順上どの段階で設定しているのか、お答えください。また、設計金額の事前公表をしていたのか、お答えください。 
 次に、技術提案型の本件の場合、予定価格の設定はどのように行うのか、お答えください。 
 続きまして、提案額及び評価についてお尋ねをいたします。 
 見積もりに応じた2社の提案額について、四、五倍の開きがあります。このことは、提案のボリュームと価格は通常比例すると考えられますので、提案内容にも大きく開きがあったと推測されますし、ご答弁でもあったかと思います。 
 そこでまず、提案についての評価は予定価格を上回っている場合についても行うのか、お答えいただきたいと思います。 
 次に、予定価格を四、五倍も上回る提案をされたことから、昨日も議論の中にあったと思いますが、本市の工事分もしくは説明書において、提案の範囲もしくは求める水準が理解されていなかった可能性があります。同じ提案の範囲、水準で競争性を発揮させなければ、今回のように2社が提案に応じながら、実際には競争になっていないような形で終わってしまいます。したがいまして、提案の範囲、要求水準等を工事説明書で明らかにしていたと判断しているのか、お答えください。 
 続きまして、第4の共同企業体の入札参加についてお尋ねをいたします。 
 本件は、共同企業体と単独企業が混在して入札に参加しております。そもそも共同企業体による発注は、建設事業者の施工能力、経営力の向上及び受注機会の拡大のため行うものと理解しております。当該工事についてこの要件に合致しているなら、すべての参加者は共同企業体になるものと考えます。つまり、単独企業との混在はおかしいと思います。また、市川市の共同企業体発注基準においては、3億円以上が原則共同企業体での発注となっていることから、本件は原則要件を満たしません。つまり、市長が共同企業体による共同施工を特に認める場合例外でありますが、であれば、参加資格は共同企業体のみとなり、逆に原則を適用すれば、3億円未満の工事であることから共同企業体への発注は行えないことになります。 
 このことについて、どのような整理を行って単独企業と共同企業体の混在する参加資格を設けたのか、お答えください。 
 変わって第5の仮契約の締結の時期についてお尋ねをいたします。 
 本件は、設計と施工を一括発注する方法で請負者を募集し、契約の相手方を特定しております。このため、平成18年度に債務負担行為を設定し、これに基づき平成18年度中に予約書を交わしております。私は、この予約書の段階で市に契約義務が生じることから、予約書にかえて仮契約を締結し、議会に付すべきであると思います。このことに関してお伺いをいたします。 
 まず、予約書の内容及びなぜ予約書という形式をとるのか、お答えください。 
 次に、予約書を交わした時点で議会に付すことはできなかったのか、お答えください。 
 以上、1回目の質疑とさせていただきまして、ご答弁によりまして再質疑させていただきます。

発言者:松井 努議長
 答弁を求めます。 
 管財部長。

発言者:中台久之管財部長
 大きく5点のご質疑にお答えをいたします。 
 初めに、総合評価入札を採用しなかった理由についてでありますが、ご質疑者も言われますように、プロポーザル・デザインビルド方式と総合評価競争入札方式の高度技術提案型は類似するものでありますが、高度技術提案型は、入札による設計施工一括契約であるのに対しまして、PDB方式では、技術審査選定委員会で特定された事業者と設計と施工をおのおの契約をするところに違いがございます。総合評価競争入札方式の概要については、先順位者のご質疑と重複いたしますが、この方式は価格のみの競争ではなく、価格と価格以外の要素を評価し、最も評価の高い者を落札者とするものでありますが、この方式は、大きく簡易型、標準型、高度技術提案型に分類されておりますが、現在本市で採用しておりますのは、簡易型もしくは標準型と言われるものであります。施工上の技術的な提案に対しての評価を行うものであります。 
 これに対しまして高度技術提案型は、構造上の工夫や特殊な施工方法等を含む高度な技術提案を求めることによりまして、民間企業のすぐれた技術力を活用し、公共工事の品質をより高めることを期待する場合に適用するものであり、この高度技術提案型の採用では、発注者が標準案を作成することができない場合や、複数の候補者があり、標準案を作成せずに幅広い提案を求めることが適切な場合について、施工設計一括発注方式を適用し、技術提案の評価に価格の評価を加えて落札者を決定するものでございます。 
 この高度技術提案型の採用は、国土交通省でもまだ実施例が少なく、ダム工事や橋梁等の高度な技術力を要求される大規模な事業に採用されているにすぎませんし、地方自治体ではほとんど実施されていないのが現状だと思われます。なお、総合評価競争入札方式は、平成17年4月に施行されました公共工事の品質確保の促進に関する法律をもとに、総合評価方式活用検討委員会が設置されまして、平成17年9月に公共工事における総合評価方式活用ガイドラインが取りまとめられております。また、高度技術提案型につきましては、平成18年4月に高度技術提案型総合評価方式の手続についてが取りまとめられ、平成19年3月に高度技術提案型の詳細なガイドラインが定められたばかりであり、まだ新しい手法でございます。 
 次に、総合評価方式とプロポーザル・デザインビルド方式との採用方針についてでありますが、両方式は、評価方法に違いがございます。総合評価方式は、発注者側で評価基準の作成と評価点の採点を行い、外部、学識経験者の意見聴取を行い決定するのに対しまして、プロポーザル・デザインビルド方式では、評価基準は発注者で作成しますが、市が設置しました外部学識経験者を交えました技術審査選定委員会で検討し決定しており、評価点は委員会に所属する委員が採点して決定するところに総合評価方式との違いがございます。 
 プロポーザル方式は、技術提案の内容以外に技術審査選定委員会でヒアリングを実施して、技術者の能力も評価した中で決定していこうとするものですが、耐震補強は建物の安全を確保することが最優先すべき事項でありますので、構造設計者の能力をはかることが重要と考えて採用しております。 
 このように、総合評価競争入札方式とプロポーザル・デザインビルド方式ではそれぞれの特徴がございますので、総合評価競争入札方式による高度技術提案型の研究と、プロポーザル・デザインビルド方式についてもさらなる研究を重ねてまいりたいというふうに考えております。 
 次に、プロポーザル・デザインビルドの事務の手続上の予定価格の設定時期についてのお尋ねでございますが、本事業は、設計業務委託契約をしようとするときと、設計業務委託完了後、工事請負契約をしようとするときに予定価格を作成いたします。なお、設計金額の事前公表はしてございません。 
 次に、予定価格の設定はどのように行うのかについてでございますが、予定価格の決定につきましては、市川市財務規則98条第2項で、入札に付する事項の取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多少、履行期間等を考慮して公正に決定しなければならないと定められておりますので、本事業では、特定された事業から提案された設計数量を精査し、また、見積単価は本市で採用しております工事標準単価と比較、精査し、その妥当性を確認した上で、この見積額を予定価格としております。 
 続きまして、予定価格を上回っている場合の評価についてでございますが、事業者を決定するための評価につきましては、技術提案の評価に価格の評価を加え決定いたしますが、事業者から見積もりを聴取する時点では技術提案の評価が済んでおりますので、予定価格を上回った場合でも評価はされております。 
 続きまして、要求水準についての公示、説明についてでありますが、本事業の公示に際しましては、参加事業者に求める提案内容の条件は、発注仕様書で当該建築物の安全確保を前提として、市庁舎としての特殊性を考慮した補強材の配置計画及び現状建物の機能維持、景観、環境への配慮にも留意した設計をすることの総括的な事項と、具体的な内容といたしましては、安全性の確保について、阪神・淡路クラスの地震を基準といたしております構造耐震指標値の1.5倍以上の安全性を確保すること、本建物への採用工法の条件として、施設を利用しながら施工が可能なものであり、内部改修が極力伴わない、外側から施工する耐震補強を原則とし、例外的に部分的な内部補強も認める等の記述をしております。事業参加者に比較的自由な発想で提案できる内容としております。これは、プロポーザル・デザインビルド方式が民間の保有する最新の技術力の有効活用を図ることを目的としているため、各建設業者やメーカーが種々独自に開発しております工法の採用を主眼といたしまして、さまざまな技術提案を求めようとするものでございます。 
 続きまして、共同企業体の入札参加についてでございますが、本事業は、耐震補強について設計と工事を一括して請け負わせるプロポーザル・デザインビルド方式としたため、参加事業者は特殊工法を持っている事業者が単独で参加することを想定しておりましたが、このような工法を持っている事業者は全国の中堅クラス以上が多く、市内業者が参加するには難しい状況にございます。工事実績、技術の習熟、移転など、市内業者育成の観点から共同企業体の参加も可能としたものでございます。 
 ご質疑者がご指摘のように、市川市特定建設工事共同企業体発注基準によりますと、原則としまして建築工事は3億円以上の技術的難易度の高い工事となっておりますが、耐震補強は今後も継続的に行われるため、経験を積むことで市内業者も単独で参加できるよう、同基準第3項第2号を適用して今回参加させたものでございます。 
 続きまして、予約という形式についてでございますが、プロポーザル・デザインビルド方式は、設計と施工をおのおの契約することとしているため、事業者の特定後、設計業務委託契約を締結し、設計業務委託完了後に工事請負契約を締結するわけですが、その間空白期間が生じることになります。その空白期間を担保するため、予約書を取り交わします。これは、空白期間中に事業者に不測の事態が生じるなど、万一のときに市が不利益をこうむらないよう考えて予約書を締結するものでございます。 
 最後に、予約書を交わした時点で議会に付することができないかについてでございますが、まず、予約書の有効期間についてご説明いたしますと、設計業務委託の完了検査合格通知のあった日に効力が発生しまして、工事請負締結をした日に効力を失います。このため、予約書の取り交わす時期は設計業務委託完了前に行うこととしており、本事業では平成19年7月24日に取り交わしておりますので、直近の議会に提案することから、今回の議会の提案となったものでございます。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。前議会の質疑においても得心できなかったのは、同じ市川市の発注でありながら、総合評価競争入札方式とプロポーザル・デザインビルドという2つの契約方法を採用しているという点であります。そして、プロポーザル・デザインビルドを肯定すればするほど、総合評価を否定しているように感じることであります。さらに、市川市は工事請負について全件入札に移行する旨の報道をしている一方で、随意契約を行っているということなんです。PDBは、随意契約でも競争性、透明性を高めている点はありますが、これは総合評価をまだ採用していないときの話であります。初めの質疑で申し上げたように、総合評価の一番よいところが発揮される高度技術提案型の工事案件において総合評価を行っていないことも、市としての発注スタンスが確立していない状況をあらわしていると思うわけであります。 
 プロポーザル・デザインビルドにおいて、価格に関する評価も理解に苦しむ部分であります。予定価格の設定、提案の範囲についてご答弁がありましたが、疑問が残るところであります。そして、随意契約なので見積価格は評価の一部分にすぎないということが公共工事の調達としてベストであるのかどうか、判断に迷うところであります。このようなことを踏まえて、契約方法を提案、評価、予定価格等について再質疑をさせていただきます。 
 プロポーザル・デザインビルドを採用した理由として、構造設計者の能力をはかることが重要と考えて採用したということでありますが、しかし、総合評価でもより客観的に技術者の能力を評価することができます。このことについて、総合評価の技術者の評価と異なる点は何か、お答えください。 
 また、構造設計者の能力をはかることがプロポーザル・デザインビルドを採用する要因とすると、技術者の能力が市の要求水準を満たさない場合には失格にするなどの資格要件もしくは評価基準が必要になると思いますが、そのような基準は設定しているのか、お答えください。 
 設計と施工をおのおの契約することにプロポーザル・デザインビルドの特徴があるとのことでありますが、設計施工一括発注の本件請負契約の目的物は、設計書ではなく耐震工事そのものであります。つまり、一括発注における設計は、工事という最終成果物をつくるための過程にすぎないと思います。設計と施行を契約上も予算上も分けないで、1本で行ったほうがむしろ効率的であると思います。なぜ設計と施行部分を分離しなければならないのか、お答えください。 
 それから、設計及び施工について、本件で言うと平成18年度に設計の契約をしたときに、予約書ではなく一括して仮契約を締結することができないのか、お答えをいただきたいと思います。 
 そして、先順位者も質疑されておりましたが、水準についてですが、技術提案を競えるように要求水準の明確化または目安となる予算額等を事前に公表するなどの工夫を行っていただきたい、これは要望とさせていただきます。 
 今後、プロポーザル・デザインビルドでの工事、これは何件あと発注するのか、お答えいただきたいと思います。 
 以上です。

発言者:松井 努議長
 管財部長。

発言者:中台久之管財部長
 何点かのご質疑にお答えいたします。 
 初めに、総合評価方式の技術者の評価と、プロポーザルの技術者の評価の違いについてでございますが、構造設計者の能力につきましては、客観的に評価するものとして、総合評価方式では設計者の経験、実績や資格等により評価することになろうかと思いますが、本方式においてもこの客観的評価は取り入れております。しかしながら、構造設計者の能力は、客観的評価でははかれないところがございますので、技術提案に対しての構造設計者の考え方が重要な要素となっておりますので、技術審査選定委員会でヒアリングを行った中で、構造設計者の能力をはかることとしております。 
 次に、要求水準を満たさない場合の取り扱いについてでございますが、評価基準に基づきということですが、さきにご説明いたしましたように、構造設計者の能力は技術審査選定委員会のヒアリングにおいて審査することとなりますが、市が公示する際に定める発注仕様書の要求水準では、建築物の安全確保、補強材の配置計画等、要求水準を満たさない場合は失格とするとしており、技術提案や構造設計者の考え方が要求水準を満たしていないと技術審査選定委員会で判断した場合は改善を求め、その改善がなされない場合は失格となるものでございます。 
 続きまして、設計と施行を分離発注しなければならないかについてでありますが、事業者を決定する際に提出させる設計図面や見積書は詳細なものでないため、この時点に設計と施工を一括で契約しようとしますと、詳細な工事費を確定し得ない段階での契約となるため、施工部分の契約は初めから変更を前提とした契約となってしまうというふうになります。 
 続きまして、次に、仮契約の時期についてのご質疑ですが、予約書締結時点での仮契約は、設計完了時に提出される詳細見積もりの積算金額を予定価格としておりますので、設計業務が完了し、完了検査を受け、合格とならなければ、工事請負契約の手続に入ることができないため、仮契約要件である工事請負金額が確定できないので、仮契約の締結は難しいものと考えております。 
 続きまして、プロポーザル・デザインビルドの今後の発注件数についてでございますが、プロポーザル・デザインビルド方式のメリットを生かせると判断した場合には、件数にこだわらず採用を視野に入れたいと考えますが、既にご質疑にあったように、総合評価競争入札についても研究を重ね、最少の経費で最大の効果が期待できる手法を選択してまいりたいというふうに考えております。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。 
 設計と施工にかかわる一括契約についてご答弁をいただきましたが、設計委託による成果物、市が取得したいものは何でしょうか。耐震補強については、特許等に係る部分が大きいと思われるので、設計の成果物として設計図書をもらっても、設計に書かれている権限自体を譲渡されないと余り意味がないと思います。通常の設計委託は工事を別業者が行うことから、委託によって得た設計書をもとに別の発注をするので、設計書という成果物を目的とするわけであります。今回の案件の請負目的は設計図書を取得することではなく、設計図書をもとにつくられた工事目的物、つまり補強後の建物自体にあるわけであります。これが市が請負契約において成果物として望んでいると思われるわけでありますが、いかがでしょうか。ということから、契約を分ける必要性について、再度端的にお答えいただきたいと思います。
発言者:松井 努議長
 答弁求めます。 
 管財部長。

発言者:中台久之管財部長
 プロポーザル・デザインビルド方式の性格上、当初に設計と施工を一括で募集して決定する、その段階ではまだはっきり詳細設計ができていませんので、最終的な価格を幾らにするかということは決められないわけです。先ほど申し上げましたように、変更契約を前提とするのであれば、そういうことも可能と思います。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 以上で通告による質疑は終わりました。 
 これをもって質疑を終結いたします。

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発言者:松井 努議長
 これより質疑に入ります。 
 質疑の通告がありますので、発言を許します。 
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
 続きまして、新政クラブの坂下しげきでございます。通告に従いまして、議案第26号美術資料の取得について、大きく4点質疑をさせていただきます。 
 まず、当該美術資料の取得に至った経緯についてお答えください。 
 次に、契約の相手方についてお尋ねをいたします。 
 契約の相手方は清算人となっております。つまり、清算会社の代表者であります。このことについて、現在当該法人は会社の解散に向けてどのような段階にあるのか、お答えください。 
 次に、設計金額及び予定価格の積算または契約金額の妥当性についてお尋ねいたします。 
 当該美術資料の取得に係る設計金額及び予定価格についてお答えください。また、積算についてはどのような方法がとられているのか、お答えください。 
 次に、契約内容についてお尋ねいたします。 
 当該売買契約によって本市に帰属する権利はどのようなものがあるのか、お答えをください。 
 以上、1回目の質疑とさせていただきまして、ご答弁によりまして再質疑させていただきます。

発言者:松井 努議長
 答弁を求めます。 
 文化国際部長。

発言者:能村研三文化国際部長
 美術資料の取得についてのご質疑にお答えいたします。 
 まず、取得に至った経緯についてでございます。東山魁夷記念館では、展示用収蔵作品をふやしていくために、本年度当初予算において画伯の作品購入費を措置させていただきました。東山画伯の作品は、ほとんどが美術館や企業、個人収集家などおさまるところにおさまっており、代表的な作品が市場に出回ることは非常にまれな状況にあります。特に、大型の作品は既に美術館に収蔵されております。当初、取得を予定しておりました作品は、化粧品会社のカネボウ株式会社が所有しているものであり、17年10月の東山魁夷記念館開設当初から本市に寄託され、これまで記念館の通常展や企画展で公開し、広く市民の皆様に鑑賞していただいておりましたことから、この寄託作品の購入を予定しておりました。 
 相手方と作品の取得に向けて具体的な交渉を進めている中で、先方より、当社が所有している東山作品の中で一番大切にしている作品、「緑映」を手放すことになった。この作品は、特にカネボウ株式会社が画伯に依頼して製作していただいたもので、社内でも思い入れがあることから、オークション等の競売で第三者に譲るのではなく、ぜひ公立の美術館におさめて広く一般の方に見ていただきたいと考えている。ついては、条件が折り合えば、画伯との縁が深い東山魁夷記念館で購入していただけないかとの申し出がありました。 
 この「緑映」は、カネボウ株式会社が研修施設の落成記念に特に画伯に製作を依頼し、1988年に製作され、長野県の蓼科高原の御射鹿池を描いた風景画です。大きさは、縦85.2㎝、横130.3㎝で、60号の作品で、画伯の代表的な色彩である青の世界で描かれており、大きな魅力が感じられる作品であります。収集するに当たり、市川市美術収集審査会を開催し、日本画の評価を専門とする審査会委員の方からご意見をいただき、購入することにしたものでございます。 
 次に、契約の相手方の海岸ベルマネジメント株式会社についてでございます。今回購入する「緑映」を所有していたカネボウ株式会社は、ご承知のように6月30日に会社を解散し、7月1日に社名を海岸ベルマネジメント株式会社に変更して清算手続を進めることになりました。旧カネボウ株式会社が所有していた美術品を含む財産管理、処分等につきましては、今後同社が行うことになります。このため、今回契約の相手も同社となったものでございます。現在、同社は清算手続を進めているところですが、清算の事務が残っているため、まだ相当の期間がかかると伺っております。 
 次に、設計金額、予定金額の積算及び契約金額の妥当性についてでございます。絵画作品には、そもそも定価というものはありませんので、相対契約、これはつまり売り手と買い手の合意の中で、譲渡価格の合意をもって成立することになります。今回の予定価格算出に当たっては、市川市物品購入予定価格算出事務取扱要領により、指名業者から示された事前見積価格を基本としたもので、すなわち相手から示された価格を予定価格としたものでございます。 
 また、提示額は高いのか安いのかということで、美術資料の適正化、公平化を図るためには、こういった第三者機関による、専門家による市川市美術収集審査会というものをつくっておりますが、ここで各委員のご意見をいただき、この審査会で記念館にふさわしい美術品であるか、また、芸術性及び真贋を審査していただくものでございます。 
 次に、契約の内容についてでございます。この契約により市に帰属する権利といたしましては、所有権は市に帰属いたしますが、他の美術館と同様に、著作権につきましては今後とも作家本人、つまり東山家に帰属することになります。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。 
 美術資料の取得に係る契約の特殊性はよくわかったわけであります。しかし、特殊な美術資料の取得とはいえ、地方公共団体の物件の調達は、地方自治法財務規則等の関係法令に基づいて行うことは当然であります。これに法令上例外はありません。また、美術資料の取得であっても公共の調達であることから、公正、透明性を発揮し、市民利益の最大化を図るために、最少の経費で最大の効果を上げるように努める必要があります。特殊なものであれば、その許す状況の範囲内で最少の経費となるよう努めるということであります。 
 美術資料の取得価格については、社会状況などにより大きく変動し、契約の相手方も特定されることから、適正価格を一概に論じることも難しく、判断も難しいと思います。しかし、適正価格の判断が難しいからこそ、一層の説明責任を果たしていかなければならないと思います。 
 そこで、何点か再質疑をさせていただきます。 
 取得に至るまでの経緯についてご答弁をいただきましたが、契約のポイントとなる相手からの美術品の譲渡に関する申し入れの時期及び美術品収集審査会の開催の時期についてお答えいただきたいと思います。 
 ご答弁にありました美術品収集審査会は、どのような機関であるのかお答えください。 
 また、その審査会での意見についてお答えください。 
 当該美術資料については、臨時株主総会等で財産目録にあるものまたは清算事務報告書の承認を受けたものであるのかどうか、お答えをください。 
 また、ご答弁にありました予定価格算定要領について、詳しくお答えください。特に、相手方の提示価格を予定価格とすることの基準部分についてお答えをいただきたいと思います。 
 また、絵画購入には定価はなく、相対で契約が成立するものであるとのことでしたが、公共調達において予定価格は作成する必要があります。そして、このような調達であっても、市場等の状況を勘案して市としての予定価格、つまり提示価格と比較する予定価格を作成するべきであると思います。このことについてどのようにお考えなのか、お答えください。 
 そして、著作権が東山家に帰属するということでしたが、このことによって美術品の利用に関してさまざまな制限が加わると思います。したがいまして、市としては当該美術資料を展示するほか、どのような用途で利用することを考えているのか、お答えをいただきたいと思います。 
 以上、再質疑とさせていただきます。

発言者:松井 努議長
 文化国際部長。

発言者:能村研三文化国際部長
 大きく4点のご質疑だと思いますが、私の方から3点ご質疑にお答えさせていただきます。 
 まず最初の美術収集審査会についてでございますが、この審査会というのは、市の美術館等に収蔵する美術資料の収集に関して必要な事項を検討する組織であります。検討していただく内容は、取得の予定作品の評価並びに価格の評価、また、さらには東山魁夷記念館にとってふさわしい作品であるかどうかの適合性、それからまた芸術性及び真贋性を公正な判断のもとに審査していただくものでございます。 
 次に、ご質疑の審査での各委員から出たご意見の主なものをご紹介しますと、まず、作品の評価につきましては、この作品は自然を讃歌していた画伯の心をよくあらわし、この作品を通じて自然を大切にするという気持ちを次世代に伝えることができる、市川市ならではの作品として代表的な作品になるでしょう、また、この図柄はほかにもないもので、どこにも発表されていないからこそ、この作品を文化資源として記念館に収蔵することは大いに意義があるというご意見をいただきました。また、価格につきましては、画伯の絵画の特徴である群青を中心とした自然を描いた作品を手に入れる機会が少なく、ほとんど市場に出回らない、この機会を大切にするべきだ、価格も、近年の落札価格から見ても破格の値段であるとのご意見をいただきました。 
 次に、この美術資料が仮契約先の海岸ベルマネジメント株式会社の財産目録にあるかというご質疑でございますが、確認しましたところ、同社に登録されているということでございます。また、清算にはまだかなりの時間を要するということでございます。また、予定価格の算定につきましては、管財部のほうでお答えさせていただきます。お願いいたします。 
 また、次に、この美術品資料の展示以外の用途の利用でございますが、著作権者である東山家の承諾を得て、絵はがき、クリアファイル、額絵など、記念館のオリジナルグッズを制作し、ミュージアムショップで販売が可能となります。また、美術館の展覧会を開催する際、手持ちの収蔵品だけではなく、他の美術館と作品を相互に貸し借りを行いながら実施することが日常的に行われております。記念館でも、今まで収蔵しております「夏に入る」「ツェレの家」などを貸し出すことによって、国立近代美術館や、長野にあります信濃美術館などから作品を借用して特別展を開催したところでございます。今回、著名な作品を入手することで、より市民の要望に沿った展覧会を開催することができると考えております。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 管財部長。

発言者:中台久之管財部長
 私のほうから、ご質疑の提示価格を予定価格とすることの基準についてと、市としての予定価格を作成すべきではないかというご質疑にお答えさせていただきます。 
 予定価格の設定につきましては、一般競争入札に関しまして、財務規則第98条と100条に規定がございます。これを受けまして、第110条の指名競争入札、第113条の随意契約におきます予定価格に関しては、一般競争入札の規定を準用するというふうになっております。物品購入についても、公共調達でありますことから、ただいま申し上げました財務規則に基づいているところでありますが、物品の場合には多種多様なため、さらに物品購入予定価格算出事務取扱要領を定めまして、購入物品の類型を実例のある物品か実例のない物品、また定価設定のある物品か定価設定のない物品に分けまして、それぞれの類型に応じて予定価格の算出が適切に行えるようにしております。本件のように、定価設定もなく非常に特殊な物品の購入に当たりましては、過去に同一の物品の購入実例がなく、仕様も違うため、購入価格の目安となるものはほかの作品における取引実例や美術年鑑の参考価格、専門家の鑑定評価価格などを考慮しまして予定価格を定めるものでございます。 
 そこで、画伯の作品につきましては、最近の取引実例価格としましては、30号作品が7,200万円であったこと、美術年鑑での参考価格は、10号で8,500万円ということでありました。このようなことから、市場等の状況を勘案しまして、予定価格を作成するには、本件の場合取引実例を用いたとしましても予定価格算出の客観的な根拠が乏しく、売却申し出者からの提示価格と大きく乖離することから、事務取扱要領に基づき指名予定業者――いわゆる売却申し出者ですけれども――からの事前見積価格を予定価格として設定したものでございます。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 文化国際部長。

発言者:能村研三文化国際部長
 先ほどちょっと漏れがありましたので、答弁させていただきます。 
 カネボウからの申し入れの時期ということでございますが、これは本年の5月25日でございます。 
 それから、審査会の開催期日でございますが、これは7月18日でございます。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 それぞれご答弁ありがとうございました。何点か伺ってまいりたいと思います。 
 この美術品収集審査会について、附属機関と位置づけていないようですが、その理由についてお答えください。そして、その審査会のメンバーをお答えいただきたいと思います。 
 それから、相手方からの申し入れ時期が5月25日及び美術品収集審査会の開催の時期が7月18日ということでありましたが、平成19年度に入ってからであります。予算要求は平成18年度中になっているわけであります。いわゆる申し入れ前に予算要求をしていたことになりますが、予算額の設定はどのように行ったのか、お答えください。 
 それから、財産目録等の当該美術品の価格がわかれば教えてください。また、カネボウが取得したときの価格がわかれば、お答えいただきたいと思います。 
 そして、今適正価格、むしろ市場価格と比べ有利な価格での取得というような説明がありましたが、契約の相手方は清算会社であり、少しでも多くの換金、処分価格にするかと思われます。今後、清算事務報告も株主等に行うわけでありますが、清算会社のさまざまな状況を踏まえた上で提案された価格についてはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 答弁を求めます。 
 文化国際部長。

発言者:能村研三文化国際部長
 この附属機関に位置づけていないかということでございますけれども、この審査会については要綱がございまして、要綱に基づいてやっております。メンバーについては、中島宏さんという方で、この方は、先ほども申し上げました横浜市立美術館、福井県立美術館、東京国立博物館等の美術評価委員もなさっておりまして、この東山魁夷画伯の絵に非常に造詣の深い方でございます。もう一方は、市川市美術収集委員会の委員として川口直宜さんという方で、泉屋博古美術館の分館の館長さんを務めていらっしゃる方で、非常に東山魁夷作品に精通している方でございます。もう1人は、私、文化国際部長が務めましたが、私のほうは専門的な知識はございませんので、いろいろそういった意見を拝聴するという立場で参加をさせていただきました。 
 また、清算人であるからいろんな処分に対して、非常に価格について向こうがシビアであるのではないかということでご質疑がありましたけれども、私のほうは、そういったたまたまいろいろカネボウのほうが海岸ベルマネジメントに変わったということでございますので、それについては私のほうも信頼を置いた交渉ができたというふうに認識しております。 
 以上でございます。

発言者:松井 努議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 答弁漏れなんですが、財産目録等の当該美術品の価格がわかればお答えいただきたい。それから、カネボウが取得したときの価格がわかればお答えいただきたい、この2点について答弁漏れがありますので、まずそれを伺いたいと思います。

発言者:松井 努議長
 答えられますか。 
 部長。

発言者:能村研三文化国際部長
 申しわけございませんが、財産目録についてはちょっと不明でございます。手持ちがございません。また、カネボウが最初に購入した価格についても、ちょっと不明でございます。申しわけございません。

発言者:松井 努議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 わかりました。絵画のような特殊な調達であっても、守るべき公共調達のスタンスというものを外してはいけないと思います。美術品の取得については、今後もあることだと思います。今回、設計金額もしくは予定価格の設定について幾つか質疑をさせていただきましたが、このようなさまざまな情報やルールの中でしっかり設計していただきたいと思うわけであります。 
 また、美術品収集審査会という機関もあります。美術品取得の際の設計金額の基本的なつくり方など、契約の一定ルールをつくり進めていただきたいと思うわけであります。 
 また、審査会などで著作権の制限を一部緩和できるような契約方法を検討し、取得した美術品を最大限利用できるようにしていただきたいと思います。 
 以上でございます。

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発言者:小林妙子副議長
 日程第4認定第1号の議事を継続いたします。 
 坂下しげき議員。

発言者:坂下しげき議員
 新政クラブの坂下しげきでございます。通告に従いまして、認定第1号平成18年度市川市一般会計、特別会計及び公営企業会計決算の認定について質疑をいたします。 
 通告第1の自主財源についてお尋ねをいたします。 
 平成18年度の自主財源は856億395万4,172円で、前年度比3.6%増になっています。中でも、市税が前年度比で23.2%増加しています。今後、市が政策的に事業を展開するに当たっては、より一層の自主財源の確保が必要になると思います。自主財源の確保についての姿勢、依存財源とのバランスをどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。 
 次に、不納欠損及び収入未済額についてお尋ねをいたします。 
 不納欠損額は4億円以上という多額に上り、増加の傾向にあります。不納欠損処理は、本来市の収入となるべきものが損なわれるという重大な処分であります。また、時効については、大半の納税義務者が納税している中で、一部の納税義務者が長期にわたって支払いを滞らせ、さらには時効等による不納欠損処理により支払わなくても済むというのでは、著しく公平性を欠くと言えます。したがいまして、法の適正な適用が望まれるところであります。 
 そこで、地方税法第15条の7第4項同条第5項における滞納処分の停止の要件を満たしているかどうかの事務手続について、不納欠損調書の記載内容等の精査をどのように行っているのか、お答えください。また、今後の取り組みについてお答えをください。 
 次に、将来不納欠損処理される可能性がある滞納は、未然に防ぐことが肝要であります。そのための取り組みについて、大変ご努力されていると思います。決算審査意見書では、収入未済について、マルチペイメントネットワークの活用が挙げられておりますが、この取り組みによる効果は実数としてどれぐらいあるのか、お答えください。また、今後について、収納率の向上のために取り組むことはあるのか、お答えください。 
 次に、自主財源に係る今後の推移、見通しについてお答えください。 
 続きまして、通告第2の将来にわたる財政負担についてお尋ねをいたします。 
 本市の財政状況は、平成18年度決算の各種指数または数字を見ると、良好であると言えます。しかし、将来に対する財源の確保には不安があります。したがいまして、将来の借金となる市債の発行等は慎重に判断する必要があります。そこで、本市では財政健全化計画に基づき公債費の縮減に努めておりますが、今後の公債費の考え方についてお答えください。 
 次に、債務負担行為の設定についてお尋ねをいたします。 
 将来の財政負担を把握する上では、政策上もしくは事業運営上必要なものについてはきっちり債務負担行為を設定して、将来にわたる財政負担を明確にする必要があると思います。補正予算の情報関連予算で質疑させていただきましたが、債務負担を設定しても問題ないものについて単年度予算で行っているように見受けられます。このように、複数年度継続する事業について債務負担行為を設定するなど、将来の財政負担を明確化することについてどのようにお考えであるのか、お答えください。 
 次に、世代間負担の公平性についてお尋ねいたします。 
 公債費は、借金として将来に負担を残します。しかし、公債費を削減し過ぎると、かえって将来に負担をつくることになります。例えば、道路、下水道などのライフラインは、将来にわたって継続的に提供されるものであり、これらの維持改修などは現在から将来に向けて計画的に行っていかないと、将来に莫大な維持費を押しつけることになります。したがいまして、将来の基盤整備と将来の公債費に係る収支のバランスを考えた政策及び財政運営が重要となります。 
 このような世代間負担の公平性についてどのような計画で臨むのか、お答えください。 
 続きまして、通告第3の経常収支比率についてお尋ねをいたします。 
 平成18年度決算においても85%を超え、86.4%と依然として高い水準にあり、財政の硬直化が懸念されます。昨日も債務負担行為の設定について質疑いたしましたが、債務負担行為を設定していない予算であっても、実態としては将来の予算を拘束するケースがあります。実際に政策的経費に充てられる予算は、かなり余裕がない状況と言えます。このような中でも、将来に備えた財源の確保を行い、また、多様な市民ニーズにこたえ、必要な都市基盤整備等を順次政策的に行っていく必要があります。 
 そこで、これまでの本市の経常収支比率を踏まえ、今後の多様な市民ニーズや普通建設事業に与える影響についてどのように考えているのか、お答えください。また、今後の目標についてお答えください。 
 続きまして、通告第4の一般会計からの繰入金についてお尋ねをいたします。 
 下水道事業及び地方卸売市場特別会計を除き、各特別会計の繰入額は増加の傾向にあります。特別会計は、法令や国の繰り出し基準に基づいて一般会計で負担する部分を除いては原則的に独立採算であり、一般会計を圧迫しないように努めなければなりません。そこで、平成18年度決算において赤字補てん的な基準外の繰入金の規模と、平成19年度以後見込まれる繰り入れの想定についてお答えください。 
 次に、第5の補助金及び扶助費の見直しについてお尋ねをいたします。 
 平成17年度決算のときに補助金の見直しについて質疑をいたしました。補助金は、1度認められると既得権化し、恒常的な予算措置につながるおそれがあります。補助金もしくは扶助費は、その時々の市民ニーズにこたえられるように、不必要となったものは削減し、新たなニーズについては迅速に対応して予算化し、効果を上げるようにしなければなりません。このため、客観的な見直しを定期的に行う必要があります。 
 そこで、補助金及び扶助費の見直しについてどのように行っているのか、お答えください。 
 続きまして、第6の執行率及び不用額についてお尋ねいたします。 
 執行率は、前年度と同じ96.3%とおおむね良好であります。しかし、流用や予算消化的な執行により執行率が下げどまっているおそれがあります。本市として各目の執行率をどのように評価しているのか、お答えください。 
 次に、不用額の扱いについてお尋ねをいたします。 
 平成18年度決算における事業等の未執行による不用額についてお答えください。財政課における不用額の把握についてお答えください。 
 続きまして、基金についてお尋ねをいたします。 
 将来の負担に備えて計画的に基金を活用することが、財政の健全運営上重要なことであると考えます。そこで、将来大きな負担が生じる可能性がある財政調整基金、職員退職手当基金、国民健康保険事業財政調整基金、介護保険事業財政調整基金について、どのような運用を考えているのか、お答えください。 
 次に、決算剰余金との関係についてお尋ねをいたします。 
 平成17年度決算において、基金の財源を確保するために決算剰余金の一部を基金に繰り入れすることを質疑いたしました。このことについて、平成18年度決算ではどのような措置が行われたのか、お答えください。 
 次に、基金の有効な運用方法についてどのように進めているのか、お答えください。 
 続きまして、予備費の考え方についてお尋ねをいたします。 
 平成18年度では20件について充用されております。緊急に必要となった経費は、迅速に予備費を充用すべきことは言うまでもありません。しかし、計画的に予算化し、未然に防げる改修等は、市民の方の安全を考えれば予備費を充用するまでもなく当初予算等で措置し、適切に行う必要があります。したがいまして、予備費を充用したものについて緊急対応になった理由についてお答えください。 
 また、本市の施設はほとんど老朽化しており、修繕計画も定まっておりません。このような状況で予備費が毎年度1億円は適当であるのか、お答えください。 
 以上、1回目の質疑とさせていただきまして、ご答弁によりまして再質疑をさせていただきます。

発言者:小林妙子副議長
 財政部長。

発言者:遠峰正徳財政部長
 決算に関係するご質疑にお答えをいたします。ご質疑が多岐にわたっておりますので、できるだけ簡潔にお答えさせていただきたいと思います。だけれども、若干時間はいただくようになると思いますので、その辺、ご了解いただきたいというふうに思います。 
 初めに、自主財源の確保についての姿勢また依存財源とのバランスをどのように考えているかということのお尋ねでございます。自主財源の確保につきましては、その多くを占めます市税の収納率向上は当然のことといたしまして、寄附金や広告料収入などの確保にも引き続き積極的に努めてまいりたいというふうに考えております。 
 また、依存財源とのバランスにつきましては、過去の決算及び19年度の予算を見てみますと、15年度の依存財源は28.3%、16年度は36.2%、17年度27.3%、18年度27.4%となっておりまして、19年度の当初予算では24.9%と大きく減少しているところでございます。これにつきましては、国の税源移譲に伴い生じたものでございますが、今後におきましても基本的に19年度と同様な率で推移していくものと考えているところでございます。いずれにいたしましても、自主財源の確保を図り、さらに依存財源の確保も積極的に行いながら、市民要望にこたえられる財政運営を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。 
 次に、不納欠損にかかわる執行停止及び即時欠損処分の精査をどのように行っているかということについてのお尋ねでございます。ご質疑の滞納処分の要件の判断とその事務手続についてでございますが、15条の7第4項の要件は、生活保護受給及びこれに準ずる生活状況の方や行方不明などでございまして、その状況が3年間変わらない場合に納付義務の消滅をするものでございます。また、同条第5項におきましては、死亡し、財産もなく、相続人もいない場合に徴収できる見込みがないことから、即時に納付義務の消滅を行うものでございます。これらの事務手続につきましては、滞納整理を進める過程で納税者との面談を十分に行った上で納付ができるか否かの判断や財産の有無などの調査を行っておるところでございます。また、今後の取り組みでございますが、滞納とならないよう早期の納税指導等を行い、税負担の公平公正性を確保してまいりたいと考えております。 
 次に、マルチペイメントネットワークによる成果でございますが、18年度における実績といたしましては、窓口納付件数では全体で115万件で、そのうちATMですとかインターネットバンキング、モバイルバンキングでの納付件数は2万件で、全体の2%となっているところでございます。また、前年度と比較いたしました納期内納付件数では、4%程度の向上が見られたところでございます。今後の取り組みにつきましては、マルチペイメントの拡大を図るとともに、口座振替の促進、収納嘱託員の活用、水曜、夜間、日曜日における電話連絡及び個別納税指導、個別出張徴収などに努めてまいりたいと考えているところでございます。 
 次に、自主財源に係る今後の推移、見通しについてでございますが、平成19年度当初予算では、景気の回復や国の税源移譲などによりまして市税の高い伸びがあり、自主財源比率は75.1%となっております。20年度以降につきましても、国は真の地方分権の確立として税源における地方の自立性を高めるため、税源移譲を含めた税源配分の見直しの検討を行うとしておりますので、制度的要因といたしましては、今後も自主財源の比重が高まるものと考えているところでございます。なお、現時点での市の中期財政計画上では、自主財源比率はおおむね75%前後で推移していくものと判断しているところでございます。 
 次に、今後の公債費についての考え方でございます。市債の活用につきましては、計画的な財政運営というものと世代間の負担の公平という2点からその活用を考えてまいりまして、将来にわたって維持しなければならない道路や学校、公民館などの社会資源の整備などについては、むしろ積極的に活用し、財政負担の平準化と世代間負担の公平性を確保してきたところでございます。なお、市債の発行につきましては、後年度公債費として償還いたします元金、利子が義務的経費となりますことから、財政構造の硬直化を招くことのないよう、1件1件につきまして慎重に検討し、計画的に発行してまいりたいと考えております。 
 次に、複数年度継続する事業に対する債務負担行為の設定の件でございます。将来の財政負担を明確にすることについてどのように考えているかということでございますが、債務負担行為の財政上のメリットといたしましては、都市基盤整備にかかわります用地の取得などは一時に多額の財源を必要といたしますので、例えば、土地開発公社に先行取得を依頼いたしまして、数カ年に分けて買い戻すことで負担を平準化することができること、また、公社から買い戻しをするときに補助金が見込める場合があることなどが挙げられるところでございまして、これら債務負担行為の長所を活用することで財政運営を円滑に進めているところでございます。このようなことから、1件1件について慎重に検討し、将来債務が過大とならないよう設定しているところでございます。 
 次に、基盤整備と公債費に係る世代間負担の公平性についてのお尋ねでございます。本市では、これまで財政健全化計画を策定いたしまして、その目標の1つといたしまして、公債費比率10%以内という目標を設定し、市債の計画的な活用を図ってきたところでございます。道路や下水道、学校など長期にわたって使用する社会基盤整備事業につきましては、積極的に市債を活用し、世代間の公平な負担を計画的に進めているところでございます。今後も将来世代に負担のみを残すことがないように、中長期の視点から市債や債務負担行為などを活用した財政運営に努めてまいりたいと考えております。 
 次に、普通建設事業と経常収支比率についてのお尋ねでございます。経常収支比率につきましては、税源移譲などによる市税の伸びによりまして歳入面で0.2ポイント改善いたしましたが、退職手当や扶助費、物件費の増によりまして、歳出面で0.4%上昇いたしまして、平成18年度決算といたしましては86.4%となり、平成17年度決算より0.2ポイント上昇したところでございますが、第3次健全化計画の18年度の目標でございます87%以内は達成をしたところでございます。 
 多様な市民ニーズ、普通建設事業に与える影響はとのご質疑でございますが、経常収支比率の値につきましては、ほぼ適正な範囲内ととらえており、それらへの影響はないものと考えているところでございます。 
 次に、赤字補てん的な繰り入れの規模と平成19年度以降見込まれる繰り入れの想定についてでございます。平成18年度におきます一般会計から特別会計への繰出金の合計額は131億4,325万1,000円となっておりまして、お尋ねの赤字補てん的な繰り入れの規模につきましては、繰出金全体の50.3%となる66億1,153万3,000円となっているところでございます。また、平成19年度以降における基準外繰り出しの想定額につきましては、19年度70億円、20年度114億円と急激な増加が見込まれるものの、21年度以降につきましては21年度71億円、22年度70億円、23年度69億円と低減していくものと見込まれているところでございます。 
 次に、補助金、扶助費の見直しについてのお尋ねでございます。補助金の見直しにつきましては、平成15年度に制定いたしました市川市補助金の交付に関する基準において、同一の団体等への交付はすべて3年をもって見直すことと定められているところでございます。交付基準の制定から3年を経過したことから、全庁的な見直し状況の把握を行うため、平成19年度当初予算に予算計上を行った全補助金を対象とした全件調査に着手したところでございます。これらの結果を分析の上、問題点があれば平成20年度予算編成に向けて見直しを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。また、扶助費の見直しにつきましては、18年、19年度の2カ年間で見直しを行ったところでございます。 
 次に、各目の執行率をどう評価しているかということのご質疑でございます。予算科目の目レベルでのご説明をさせていただくことになりますと膨大な時間を要することになってしまいます。その点から、款レベルでのお答えをさせていただきたいと思います。土木費以外につきましては、おおむね例年並みの執行率かやや改善している結果というふうに理解をしているところでございます。土木費につきましては90.7%の執行率で、昨年の92.9%に対して2.2%低下しているところでございます。執行率が下がる要因になります事業の繰越額が昨年に比べまして6億6,000万円も増加したこと、また、平成18年度より1,000万円以上の入札案件につきましては、原則といたしまして一般競争入札としましたことから、競争原理が働き、落札率の低下が不用額の増につながったものと考えているところでございます。 
 次に、未執行による不用額の内容についてのお尋ねでございます。18年度決算における事業等の未執行による主な不用額の内容を申し上げますと、食の自立支援事業におきましては、配食サービスの対象となる特定高齢者がいなかったことなどによりまして、委託料及び通信運搬費で2,652万6,000円が、また、塩浜護岸整備事業におきましては、台風等による護岸への被害が生じなかったことによりまして改修工事費2,000万円が、障害者更生台帳イメージファイル化事業におきましては、他の実施事業との事業進捗の兼ね合いによりまして委託料、賃借料など1,092万円などがあるところでございます。また、財政課における不用額の把握につきましては、財政課の各款予算担当者が随時に各課予算担当者と情報交換等を行うとともに、各定例議会前に所管課に対しまして補正要因、決算見込み額の調査を行いまして、その把握に努めているところでございます。 
 次に、将来大きな負担が生じる可能性がある基金についてどのような運用を考えているかということでございます。これらの基金につきましては、年度間の財源の不均衡を調整するためのものでございまして、予期しない収入減や支出増加に備え、長期的な視野に立った計画的な財政運営を行うためにも積み立てを行うことが必要であるというふうに認識しているところでございます。 
 次に、決算剰余金の一部を基金に繰り入れることについてのお尋ねでございますが、平成18年度におきましては財政調整基金におきましては今後の財政状況に対応するために10億円、職員退職手当基金では将来的に増加する退職手当支給額を考慮して3億円、一般廃棄物処理施設建設等基金では、東京外郭環状道路建設用地にかかわる物件移転補償金1,784万5,000円、市川駅南口地区市街地再開発事業財政調整基金では13億7,754万2,859円をそれぞれ基金へ積み立てを行ったところでございます。 
 次に、基金の有効な運用方法についてということでございます。法令及び市の基準に従いまして、安全性、確実性を前提に、大口定期預金ですとか譲渡性預金や国債などの金融商品で運用を行っているところでございます。今後につきましても、利率の動向、各基金の取り崩し額、取り崩し時期などを勘案しながら計画的に運用し、運用益の増額に努めてまいりたいと考えているところでございます。 
 最後に、予備費の充用についてのお尋ねでございますが、平成18年度に一般会計において充用を行いました全20件の内容でございますが、市有車の交通事故、自転車転倒事故などにかかわる損害賠償金及び和解金関係で11件、係争事案にかかわる弁護士報酬で3件、その他6件でございまして、いずれも早急な対応が必要であったことにより充用を行ったものでございます。なお、18年度の充用金額は総額3,613万円余りとなっており、過去5年間の充用額を見てみましても、年度ごとのばらつきはございますが、平均5,000万円程度であることから、予備費の設定額につきましては適切なものと考えているところでございます。 
 以上でございます。

発言者:小林妙子副議長
 坂下議員。

発言者:坂下しげき議員
 ご答弁ありがとうございました。財政の健全化に向けた前向きなご答弁がいただけたんだと思います。 
 しかし、中期的な財政見通しを考えると、今後の財政運営、将来的な負担について厳しい認識を持たざるを得ません。また、重要なことですが、単年度収支は赤字でありました。今後も着実に財政健全化計画に沿った財政運営をしていただきたいと思います。 
 その中で重要と思うことは、本市の予算は毎年シーリング一律何%カットというように、ここ数年同じ手法を踏襲していますが、この手法は、新たな行政課題や市民ニーズ、そして老朽化した施設の修繕などを行っていく上で、行政目的の最大化を阻害する可能性もあります。シーリングカット方式は、財政が硬直している時期であれば緊急避難的に有用ですが、ある程度持ち直した今の状況では、別の視点から予算の削減、財源の確保を行う必要があると思います。したがいまして、厳しい認識を持って決算結果を最大限活用し、ゼロベースで事業を抜本的に見直し、本当にどの事業が必要なのかを見きわめ、必要であれば一律カット方式ではなく、経済性、効率性、有効性について総合的に検証し、その事業に係る必要経費をしっかり見込んで着実な市民サービスを提供していかなければなりません。 
 監査委員事務局においても積極的に行政監査等を行って、事業の精査、効率化を図っていただきたいと思います。そして、事業の効率化によって得られた余剰財源は、少子・高齢化対策等の将来に向けた備えとして確保し、市民の方が将来にわたって公平なサービスの提供を受けられるよう財政的措置を講じて、基金等の積み立てをふやし、活用していく必要があります。決算を一過性のものとしてとらえるのではなく、将来の市川市のあるべき姿を描き、今現在の決算状況からして何をやらなければならないのかということをしっかり見きわめて、長期的に安定した財政運営を行っていただきたいと思います。 
 そこで、何点か伺います。 
 中期財政計画上、自主財源比率を75%前後と想定したときの収納率はどれぐらいで想定しているのか。また、第3次財政健全化計画の目標数値で想定しているのか、お答えください。 
 それから、将来にわたる財政負担についてでありますが、市債の発行については元金利子が義務的経費となりますが、利子を抑えるために市債発行条件について入札等を推進していくのかお答えください。 
 以上、お願いします。

発言者:小林妙子副議長
 財政部長。

発言者:遠峰正徳財政部長
 中期財政計画上の収納率ということでございますが、中期財政計画の作成基準といたしました市税の収納率につきましては、具体的に申しますと19年度が93.5%でございます。20年度は93.8%、21年度は94.1%、22年度が94.3%となっておりまして、税部門の試算に基づく数値となっておるところでございます。この値につきましては、いずれも第3次財政健全化計画の目標値を上回る数値として計算をさせていただいているところでございます。 
 続きまして、公債費の入札ということでございます。公債費の入札につきましては、今現在も縁故債の関係につきましては当然のことながら銀行において入札に準じた見積もり合わせという形で行っているところでございます。今後におきましても、入札に準じた見積もり合わせを行いながら利子の軽減に努めていきたいというふうに考えております。 
 以上でございます。