2004年05月  中野区視察

中野区視察
 
1、   視察日  平成16513日(木)
2、   場 所   東京都中野区役所 
3、    説明者   子ども家庭部 保育サービス分野統括管理者
4、   視察議員 坂下しげき
5、     目 的   
この視察は、改正地方自治法により、新しくできた「指定管理者制度」の運用状況について、他市での実施内容について視察し、市川市と他市との違いを把握し良いものを市川市に取り入れるため行った。
指定管理者制度は、新しくできた制度であり、今後市川市でも97施設がこの制度に移行する大事業であり、同時に委託料として毎年莫大な予算が投入されるものである。しかし、市川市の同制度に関わる条例が他市とは異なるものであり、懸念されることが多かったので視察を行うこととした。また、この制度は、公の施設に民間事業者が参入するという新しいものなので、制度の適正な運用次第により、財政難においても質の高いサービスが提供できるという新たな行政手法にもなり得るし、反対に、当初の運用を誤ると、制度自体が新たな弊害を生む恐れもあるので、指定管理者制度運用の先駆けである同市を視察先に選んだ。(中野区は保育園における指定管理者制度の先駆けである。)
 
 


6、      結 果
 中野区では、本庁舎勤務の職員より出先機関(公民館・児童館・保育園など)勤務の職員が多い。その結果、人件費が23区内でも高いほうである。これには政治的背景がある。区長の政治的判断で身近にある区役所・公共サービスを区民に提供する為には、出先機関が多い方が良いということからそのようになってしまった。
確かに良いのであるが非常に財政負担にもなっている。現在、時代の変化の中にあってどうしても避けられない人件費の削減に踏み込まなければ、行政サービスが停滞してしまうことから、平成13年度から17年度の5カ年計画で中野区行財政5ヶ年計画作成された。
また、17年度を初年度として10ヶ年計画を策定中。そのために15年・16年で新しい基本構想である経営改革指針を昨年度作成した。その結果、様々なところで民間活用を行っていかなければならない。民間でできることは民間に任せると言うことになった。(民営化)
そこで、署名運動など保護者の反対はあったが、保育園5ヶ所を民営化に踏み切る。
15年度2ヶ所、16年度1ヶ所、17年度2ヶ所決定している。
公設民営化進めていた。それまでは、社会福祉法人に委託していた。職員の配置・経営状態が良い・内容が良いという基準をもとに良い提案が必要であるプロポーザルで社会福祉法人の募集を行った。
土地については、30年間無償貸与できる。また、建物については公益性のあるものについて・備品についても無償譲渡。厚生労働省の通知によると社会福祉法人のみである。
現在までは、社会福祉法人だけであった。
運営主体を社会福祉法人に限らず株式会社にも運営させるべきである。社会福祉法人にこだわる必要はないのではないか。
昨年、指定管理者制度の法改正があり、中野区では待ち望んでいた株式会社も参入できるようになった。首長の権限で株式会社にも行政行為をさせることができるようになった。
指定管理者制度導入は、中野区内の保育サービスのレベルアップをはかるため必要であった。
5ヶ年計画では、退職不補充を定めた。毎年12~13名が定年退職・普通退職している。1園15名で運営している小さい保育園では毎年1園分の職員がいなくなることになっている。
そして、2園で指定管理者制度に移行すると、職員が2園分余ってしまう。そうしたところ、約30名の職員が余ってしまった。ので、区内の保育園30園に1人ずつ職員を配置し、保育のレベルアップをはかった。延長保育についてあげれば、9ヶ所しか行っていなかったが6ヶ所増やし、計15ヶ所とした。2ヶ所が2時間延長・4ヶ所が1時間延長。少しずつだが保育のレベルアップができたと考えているとのことだった。
*指定管理者制度移行に当たっては、保育園だけではなく区民全体に説明を区長が行った。なぜなら、区長の意思を内外に示すと共に区民から預かっている税金を有効に使わなくてはならず、担当者レベルに押し付けるのではなく、初めから区長自らが示すことが必要である。とのことだった。


指定管理者制度視察
 
<質問事項>
1手続き条例と設置管理条例についてどのようなタイミングで制定したか
1、手続き条例は検討中。
各施設で違うので保育所条例(設置管理条例)できめ細かに定め、対応した。
 
2対象となる公の施設(3年経過後の施設より新規のもの)
2、保育園で早急に行う必要があったのでとにかく先に行った。
 
3公募までの手順
   市川では設置管理条例を改正若しくは制定する前に公募している
1、 手続き条例制定(議決)2、規則の制定3、選定審査会要綱4、公募
3、設置管理条例がないのに行うことができるのかなと思います。
市長の政策ですから・・・。どうやってやるのかわからない。
       
4業者選定の方法、評価方法について(公表?)
   財政面を重視するのか、質を重視するのか
4、募集要項は、ホームページで公表。
      保育所条例7条 
 
①質の高いサービス
 常勤職員の配置・経験者の数・既存の保育園を3園以上
経営していること。
提案ばかり良くても困るので、チームを作り、実態調査・現場調査を行う。
区立保育園の園長(保育士)5人(当該園園長2名)・栄養士1
・看護士1人の専門職7名と市職(事務方)2人の9名で構成され、代表者(経営者)にヒアリングを行う。
②経費の縮減をはかる。
          区民から預かっている大切な税を有効に使わなければならない。
          ちなみに区で100人程度の保育園を運営するのに2億円かかる。
          そこで、15000万円を下回る計上なら良しとした。
         15000万円の基準
         決め方 私立保育園が15000万円で経営している。
             他区で、保育園を委託しているところが15000万円。
保育士の給与 42歳で900万円・32歳で740万円
         区立保育園の2億円の9割が人件費。
私立保育園の15000万円の8割が人件費。         
         ③管理運営を安定して行うことができる。
          税理士に委託する。過去3年間の経営診断。
          きちんとした会社か?資本金が少ない・借り入れが多いなどをチェック。
これらの①③を重視し一覧表を作り議会に報告。
3段階評価で4点・5点・6
調査結果を公表。事前に議会に報告しながら、こういう方法で調べているよとご意見を頂いて、修正を入れながら、基準を作っていった。
 
外部のものは税理士以外に、いない。(守秘義務があるので)
5選定期間の考え方
指定期間が長くなると、サービスの停滞、透明性の確保が難しくなることが考えられるが、受託先業者にとっては長期のほうが雇用の安定などが考えられコストダウンに繋がるがどのように設定したか。
510年間の考え方
     30年貸与している土地
     30年任せるにはいかないので、シゲキを与える必要がある。そこで、議会の監視・チェックを入れることが必要となる。また、6年保育なので、6年と言うことも考えられたが6年では短いということなので、10年が妥当ではないか。
10年間を途中でやめる場合
 中野区からの都合で指定管理を解除する場合
     他の事業者に変えたいとき一方的に解除すれば、損害賠償が発生するだろう
     8年目・9年目で正当な理由があり話し合えば問題ないと考える。
 事業者からやめたい場合
     経営困難の為と申し出があった場合は、損害賠償は発生しない。が正当な理由がない場合は、損害賠償が発生するのは、当然。
 
 
6管理面について
1        損害賠償の考え方、協定への盛り込み方
2        軽微な備品の破損について業者の責任の範囲
3        公民館や保育園など新規の施設ではなく今ある施設を指定管理にした場合他の施設と差が付くこともあるが平準化しなくて良いのか。
6、 
1、 特に盛り込んでいない。22条に取り消し。裁判になれば中野区議会で議決したもの取り消されれば、社会的制裁になる。そういう事業者は、相手にされなくなるので。もちろん、求償する。     2、 協定書8条(2)②中野区にお伺いをたてずに事業者が勝手に行うことができる。
 100万円を保育園のために自由に使ってもらう。使わなかったら、区に返金することになっている。備品の所有権は、事業者となる。もちろん、その100万円は、予算内で行うこと。
1件の定義をなくし、100万円を自由に使用できるようにした。よって、1件で100万円使える
  3、 保護者からの不服申し立ては、総務省通知にもあるが中野区が受理する。
 
7協定書(基本協定と年間協定に分けているか。仕様書を協定書に添付しているのか。議会に提出したか。)
議会の議決を経て決定となるが、その後協定を結ぶまでの協議については主にどの点に注意が払われるのか。
7、基本協定は10年間変わらない。 第30条 経費については変えていく。
 
8予算の確保について
   複数年度にまたがる処分になるが、予算は単年度主義であり、継続費・債務負担行為とするには及ばない気もするが
  どのように予算の裏付けをしているのか。
8、 
園児の人数によって予算は変えない。
10年間にはコスト増が考えられるがどのようにかんがえるのか?の質問に対して、50万円以上の建築物については、区で執行する。
様々な変化が考えられるので、単年度主義とした。
 
9議決事項について
   (市川市は施設の名称・所在地・指定期間のみ)
9、回答通り
 
10市民・労働組合との調整について
10、組合は、働く場がなくなる。しかし、区長がはっきりと、保育園に限らず、民営化し
ていく旨を示している。
区民の要望、職員が一気に変わることにより子供たちが不安になるのでは?
民間になると給料が低いのでそれなりの保育士しかいなくなり、保育サービスにバラ
ツキ出るのでは?
 
11モニタリングについて
11
運営協議会、保護者・指定管理者・区の3者で構成する。
要望の中身によってはきちんと区として責任をとる。もちろん、予算についても。
 
121件も申請がなかった場合の取扱について
12、事前にアンケートを行い、大体の感触を掴んだ。
駅に近い保育園が事業者にとっては人気になっている。通勤がしやすいためと思われる。
今までは、行政が事業者を選ぶという感覚があったが、ここ最近では、事業者が行政を選ぶようになってきている。
住所要件は、なるべく広くとっている。(埼玉・神奈川など)
選定委員会
区長室長・製作担当課長・地域センター部長・庶務担当課長・児童課長・保育担当・榎本さん