2003年9月定例市議会 第1日目 議案質疑

20039月定例市議会 第1日目 議案質疑
議案20
それでは、先順位者の方が質疑されたとおり、この議案は環境清掃部だと思っておりましたが市民生活部ということですので、これから質疑をさせていただきますが、私は総務委員会の委員でございますので、大綱にとどめて質疑をさせていただきたいと思います。
 まず第1の条例計画作業及び経緯についてお伺いいたします。
 


 この条例案は、市民のモラルにまで踏み込み、市民生活に強い影響力を与え、過料まで規定されているものであります。そのような重要な条例ですから、議案として提出されるまでには大変な準備作業があり、時間をかけて入念なチェックを行うことは当然であります。通常、今回の議案第20号に限らず、一般的条例制定作業にはさまざまな作業が必要になります。例えば、制度趣旨についての検証、問題発生の把握、現状の調査と原因の究明、解決方法の選択、規制の範囲の検証、予算の確保、コストの算出、人員の確保、市民、職員の合意などなど、策定作業には大変な時間と労力が必要になります。さまざまな角度からの検証がなされない条例は効果が低くなり、後々ふぐあいが生じてきます。
 第1の1点目としまして、この議案が提出されるまでの経緯と、どのような計画作業があり、どのぐらいの期間が費やされたか、お答えいただきたいと思います。そして、議案提出の時期、施行の時期について、補正予算を組んでまでこの時期に行わなければならなかった理由をあわせてお答えいただきたいと思います。
 第1の2点目としまして、パブリックコメントについてお尋ねいたします。この条例案は、市民のモラル及びマナーの規定でありますから、市民の合意と協力が条例の効果を高めることになります。市民の方の合意と協力を得るには、条例制定にかかわる内容や条例案を広く情報公開して、積極的に市民の方から意見の収集を行い、このような作業を通じて市民の皆様方の参加意識を高め、市川市全体の条例制定の機運を盛り上げなければ、この条例はただの行政からの押しつけになってしまいます。したがって、いわゆるパブリックコメントは、この条例制定に関しては重要不可欠な手続作業であったと言えます。このパブリックコメントについては、国において平成11年3月に閣議決定がされ、パブリックコメントの手続が定められております。
 このガイドラインによるパブリックコメントの手順は次のようになります。まず、案件に応じ1カ月程度を1つの目安として案を公表し、市民に明示し、さらに案本体の公表に加え、次の3つの資料を公表することになっています。第1に、当該案を作成した趣旨、目的、背景について。第2に、案に関係する資料、例えば設定、改廃によって生じると思われる影響の程度、範囲などについて。第3に、案の位置づけを公表することになります。次に、これらを公表した上で、広く市民からの意見、情報の募集を行い、その募集期間としては1カ月程度を目安とし、案の公表時に明示することになっております。最終的に、行政機関は提出された意見、情報を考慮して意思決定を行い、同時にパブリックコメントに対する行政機関の考え方を取りまとめ、提出された意見、情報とあわせて公表することになっております。この閣議決定は、直接地方自治体の意思決定を拘束するものではなく、議会の審議を得るものは対象ではありませんが、地方自治体にとりましても無視できない仕組みだとなっております。また、市川市の行財政改革審議会においても、市民からの意見を聞く仕組みやその処理過程を確認する仕組みについて審議され、答申されております。今回のこの条例案は、特定の事業者だけを対象とするものではなく、広く一般の市民生活を規定するものなので、市民の意見、情報の収集はとりわけ必要な作業であります。
 そこで、今回の条例案制定に当たり、市川市ではどのような考えで、どのような方法で、期間的にどのぐらいをかけて市民の方々の意見を取り入れ、その結果どのように条例案に反映させたのか、その詳細についてご回答いただきたいと思います。
 第2のコストと効果についてお尋ねいたします。
 まず、第2の1点目としまして、今回予算的に3,000万円が計上されていますが、今後この条例を運用し効果を上げるためには、毎年どれくらいの経費が必要なのか。例えば、生活環境条例の先駆けとも言える、先ほど来から出ております千代田区では、延べ400名が取り締まりに従事しております。警視庁退職者が非常勤職員として勤務しております。人件費、臨時職員等を含めたランニングコストについてお答えください。また、そのコストをかけることにより、どのぐらいの効果が望めるのかもお答えください。
 第3の周知キャンペーンについては、先順位者の方が詳しく質疑をしていただきましたので、私は、街頭キャンペーンは委託になっておりますが、委託内容には人件費は入るのでしょうか、入らないのでしょうか。また、キャンペーンに従事する人が市民から条例の内容等を尋ねられた場合、その対処方法などをどのようにお考えなのかをお尋ねいたします。
 よろしくお願いいたします。
市民生活部長。
お答えいたします。
 今回のいわゆるマナー条例につきましては、これまでも議会や市民の方からたびたびご指摘、ご提案をいただいていたことでございますが、昨年10月の千代田区での罰則つきの路上禁煙条例の制定がマスコミ等で大きく取り上げられたことから、各市でその声が一気に高まったということがございます。それ以前にも、このような規制を求める声は多く、例えば平成14年4月に行った市川市地域福祉計画策定のための基礎資料報告書においても、個別意見として、持ちたばこ禁止、ベビーカーや子供の顔に直接灰がかかった場合がある、ポイ捨てしたら罰金を取った方がよい、歩きながらたばこを吸うのはやめてほしい等々のご意見がございました。このような意識調査の個別意見は、1人が書いたということは同じような意見を持った方が100人はいると考えるべきであるとも言われておりますので、このように複数の方が同じように個別意見を書いているということは、かなりの方が同じような考えを持っていると解釈できるのではないかと思います。
 千代田区での罰則つきの禁煙条例が話題になり、また、健康増進法の施行により私鉄の駅などが全面禁煙になったこともあって、市民の方の関心も高まり、本市の電子メールによる市民ニーズにも禁煙条例やポイ捨て禁止の条例を定める要望が相次いでおりました。また、これは市内ということではございませんが、新聞社が行った世論調査では、日本人のマナーが悪くなったと感じることがあると、時々感じることがあるを含めると約90%を超えております。また、腹立たしい行為と感じるのは何かという問いには、たばこ、ガム、空き缶のポイ捨てが67.6%、電車やバスで携帯電話を使うが42%等々の結果となっておりまして、マナーの欠如が他人に多大な不快感を与えているのがわかります。このような世論の後押しもございまして、本市ではできるだけ早期にこれを条例化することが市民の方の期待にこたえることであるという判断のもと、条例化の作業を開始いたしました。
 その過程でパブリックコメントを行ったのかということでございますが、行っておりません。パブリックコメントは、本市では全庁的な制度として確立はしておりませんが、これまでに文化振興ビジョンの策定、行政改革大綱の策定、交通バリアフリー基本計画の策定等に際し実施いたしております。第一次総合5カ年計画ではパブリックコメントの確立を計画事業として挙げ、これを受け、ただいま策定中の新行革大綱のアクションプランの案においても、17年度を目標にパブリックコメントの確立を掲げているところでございます。このように、本市のパブリックコメントについては制度化に向けて検討の途上でございます。
 今回の条例につきましては、パブリックコメントの手続はとってまいりませんでしたが、その理由といたしましては、これまで本市で実施したパブリックコメントは、計画案を提示して意見をもらうものでしたが、条例案のパブリックコメントは前例がありませんでした。条例は議会でご審議いただく事項でございますが、それが議会よりも先に市民の方に案として出ていくことについては、市民による事前審議にもなりかねず、これはパブリックコメントの問題点として指摘される場合がございます。このようなことは、制度化の過程の中で議会のご理解をいただいていくべきものと考えており、その前に条例案のパブリックコメントが先行することは問題であるというふうに判断をさせていただいたものでございます。
 また、さきに挙げた過去のアンケート結果や市民メール、あるいは新聞社等による調査結果におきましても、市民の方の要望は一定方向を向いておりまして、また、議会でも条例化についてたびたび質問がなされておりまして、できるだけ早期に条例化を実現することが市民のニーズにこたえることと判断させていただいたなどが挙げられます。
 なお、これにかわる意見聴取といたしまして、8月に市内の各駅や市の庁舎内、行徳支所等々でアンケートを実施させていただきました。主に歩きたばこの規制などについてご意見をいただいたところでございます。また、過料の対象となる路上禁煙地区の指定に際しては、住民の方の意見を聞くということで協議会の設置もございます。この中でご意見も出てくることもあると思われます。したがって、市が一方的に指定するということではございませんので、ご理解をいただきたいと思います。
 次に、コストと効果についてでございますが、まずコストからご説明をさせていただきます。先順位者のご質問でもお答えさせていただいておりますが、この条例は市民の方のご理解やご協力がなければ徹底することはできないというふうに考えております。そこで、本条例を円滑に実施し徹底をしていくためには、条例の本施行前の周知や啓発活動が大切でありまして、そのための経費として、ご質問者もおっしゃられました今回の補正予算に3,000万円を計上させていただいているところでございます。
 この経費の主な内容といたしましては、全戸配布する周知啓発用パンフレットや街頭キャンペーン用のチラシなどの作成、路上禁煙地区などを周知するための看板や路上標示、街路灯などへ張るステッカーの作成費用などのほか、バスのボディーを啓発内容で表示し、市内を循環させるラッピングバスの運行や車内広告などのキャンペーンのための費用でございます。
 それから、条例本施行後となる16年度の経費につきましては、路上禁煙を毎回巡回する指導員の経費や引き続き実施する啓発活動のための経費、この事業を実施していく職員の人件費などが見込まれますが、詳細につきましては、今後実施していく今年度中の周知啓発活動の浸透状況や地域協議会の設置、路上禁止地区の指定状況なども考慮して検討してまいりますので、来年度の事業計画や予算の中で決定していきたいというふうに考えております。
 次に、この条例の効果についてでございますが、先ほどもご答弁させていただきました全国に先駆けて実施した千代田区の例でございますが、ポイ捨ての違反者から2,000円の過料を取り、巡回指導員が厳しく指導することによって、現在は路上喫煙などの違反行為を行う者もほとんどいなくなったということでございまして、条例の成果が上がっているとのことでございました。私どもも千代田区と同様に、巡回指導員により路上禁煙地区をパトロールし、違反者に対しては過料の徴収を含む指導を行ってまいります。こういうようなことで、路上禁煙地区での禁止行為の徹底は可能であるというふうに考えております。
 また、条例の周知啓発につきましても、千代田区の場合は昼間人口と夜間人口の差が25倍にもなると言われておりまして、条例を周知徹底するのは大変だったというお話でございますが、当市の場合、流入人口はそれほど多くないということから、千代田区ほどの困難さはないのかなというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、市民や事業者の方の協力がより得やすくなって、市民や事業者の方との協働によって、健康で安全で清潔な町をつくる取り組みに大きな成果を発揮するものと考えております。
 それから、街頭キャンペーンの中で人件費が入るかということでございますが、この街頭キャンペーンにつきましては、私どもで今考えておりますのは、イベント屋さんにお願いをする部分もございますので、それにつきましてはその中での人件費も入っているところでございます。
 以上でございます。
坂下議員。
お答えをいただきまして、ありがとうございました。
 私は、この条例自体、趣旨として疑義はないので、もう少し準備、検証期間、このようなものがあって施行される、そして効果とコストを考えるならば、少し短過ぎるのではないだろうか。確かにいろいろな議論はあったかもしれませんが、実際の条例策定に当たるに当たって非常に期間が短かったのではないか、そのように思うのであります。千代田区では、検討着手から丸1年間、議案提出まで費やしております。また、先ほど来パブリックコメントのお話をしておりますが、パブリックコメントも募集して、条例の骨子案を公表しております。できればそのような形をとって、だれもがわかってからの方がよろしいのではないでしょうか。
 次に、時期についてでありますが、非常に唐突な議案提出にも思えるのであります。市川市としては、何か急ぐ必要があったのでしょうか。またもや全国初、全国一にとらわれているのではないか、そのように思われてもいたし方ないのではないでしょうか。つまり、市民のメリットは一体どこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。そして、先ほども申しましたように、平成11年の閣議決定で国のガイドラインもできました。この閣議決定は地方自治体を拘束するものでもなく、また、議会の審議を得るものは対象ではない。今回の条例案のように、市民のモラルに関する規定は、市民の合意と協力が条例自体の効果を上げるものではないでしょうか。ですから、市民の方の意見収集がなければ、今後運用するに当たり非常に意味のないものになってしまうのではないでしょうか。
 この条例は、今回のアンケートに関しまして、一見すると、たばこに関する平凡な調査に感じられるわけであります。私も手元にございますが、そのように思えるアンケートであります。この条例は、たばこのほかにも、犬のふんや空き缶についての禁止規定もあるのです。そこで、今回の条例案制定に当たり、市川市ではどのような考えで、どのような方法で、どのぐらいの期間をかけて市民の方々の意見を取り入れていっていただけるのでしょうか。そしてまたその結果、どのように条例案に反映させたのか、お答えいただきたいと思います。
 また、さきの6月議会におきまして、企画部長の答弁によると、市は市民とのパートナーシップを築くために、市民の方々が市政に参加していただくことが必要であると考え、さまざまな取り組みをしていると言っておられました。また、その中で市長も、市民の市民による市民のための行政を理念しているとお答えいただいております。さらには、先ほど申し上げましたように、行財政改革審議会の答申にも同様の内容がありました。しかし、今回のように市民アンケートを議会の直前にとってつけに行っているように思える、非常に疑問を抱かざるを得ないアンケート調査にいきなり駆り出された職員の方々の労力も惜しまれるところであります。
 実際問題、周到な準備があったとは思えないと思うのであります。その辺、つまり、条例制定の手続の際の市民の意見の聞き取り調査は、市川市の基本理念に照らして、この議案に関しては十分だとお考えなのでしょうか。できればこれについては企画部長にお答えいただければと思うのですが。
 以上です。
市民生活部長。
まず、市として急ぐ必要があったのかということでございますが、先ほどもご答弁申し上げましたように、過去におきましても市議会の中でも条例制定のご提案があったり、また、市民の方からも条例制定の声が寄せられているところでございます。
 そこで、ただいま申し上げましたようなこの条例の制定につきましては、市民の方や議会での長年の要望もありまして、各所管部で他市の条例の研究や、本市で制定する場合の内容等を以前から検討しておったところでございます。それが、先ほどご答弁申し上げましたように、千代田区の条例施行後、世論や市民の要望がより明確になってきたということもございますし、千代田区での成果も明らかになってきたというようなことから、ことしの6月議会の後から条例制定の方針を明確にさせていただきまして、関係部の次長クラス、課長をメーンとした会議で条例案の内容を検討して、今回のご提案をさせていただいたものでございます。
 それから、市民のメリットはどこにあるということでございますが、この市民の方のメリットは、さきのアンケート等でも決してたばこの煙の害がよいと思っている方は――もちろん喫煙者の方でも悪いと思っている方もおられます。そういうようなことから、やはり特に路上禁煙地区を指定して、そこの区域内でのたばこの喫煙やポイ捨てをなくすことによりまして、市民の方が安心してそういう場所を通行できる、また、受動喫煙の害もないというようなことで、ポイ捨てもなくなってくるということを考えますと、市民の方のメリットというのは、急に目に見えてあらわれてはこないかと思いますが、きれいな町、健康な町をつくるという意味では市民の方にメリットがあるのではないかというふうに考えております。
 それから、市民の方の意見収集で、犬のふんとか空き缶、これを制定にどのような考えでということでございますが、こちらにつきましても、やはり以前から空き缶のポイ捨ての問題というのは非常に長い年月問題となっておりますし、また、小家族といいますか、そういうような意味からも、ペットを飼うご家庭がふえておりまして、犬、猫等を飼う方が非常に多くなってきたというようなことから、やはりその反動として、特に私どもには犬のふんにつきましては苦情が寄せられているというところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
企画部長。
先ほど市民生活部長からお答えをさせていただいておりますけれども、これまでも文化振興ビジョンの策定でありますとか、第一次総合5カ年計画、そういったものも市民参加という形でいろいろご意見をいただいております。
 以上でございます。
坂下議員。
お答えありがとうございます。
 パブリックコメントについては、今後の条例の制定のあり方について、しっかりと私も議会等を通じて議論したい。それで、しっかりとしたものをつくっていただきたいと思います。ありがとうございました。

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