2005年01月  秋田県庁

 

平成17年1月31日

市川市議会議長 鈴木 衛様
 

市川市議会議員
三橋 二三男
加藤 武央
坂下 しげき

 
地方自治法第100条第12項及び会議規則第159条第1項ただし書きの規定により下記のとおり派遣されたので、報告致します。
 
 

 
1 派遣場所  秋田県庁・男鹿水族館
2 派遣期間  平成17年1月27日(木)から1月28日(金)まで 
3 派遣目的
(1)行政改革(第三セクターの経営評価・包括外部監査等)について
秋田県では、平成11年度から行政改革の一環として、第三セクターの経営改革・外部包括監査に着手しており、その評価内容について、他の自治体では見られないような積極的な公表をインターネットを通じておこなっている。平成11年度から5年が経過し、事業として成熟してきていると考えられることから、当県の評価手法・公開方法・問題点等調査し、市川市の行政改革に資することを目的とする。
(2)政策評価について
   秋田県では、政策評価について条例を制定しており、本市や他の自治体よりも積極的、明確な評価を行っている。また県民が直接政策評価を付与できるシステムも構築され、公表も適切・明確におこなわれている。従って当県の評価の手法・公表について調査し、市川市の政策評価・財政改革に資することを目的とする。
(3)教育行政について
   秋田県では、平成16年2月に「あきた教育新時代創成プログラム」を策定し、教育分野の地方分権化、それに伴う財政負担の増や、各種教育問題について今後の方向性を示した。このプログラムについては現時点では、団体等からの反対意見があるが、今後の教育政策について一定の指針を示していることから、当県の政策意思や、今後の課題としての県民や団体等の意見の取入れなどを調査し、市川市の教育行政に資することを目的とする。
(4)新規の公の施設の管理運営方法について
   男鹿水族館は、平成16年7月に開館した新規の公の施設である。秋田県では行政改革の一環として、新規の施設を建設する際にランニングコストの算出等を綿密に行い客観的評価を行っており、条例制定の公の施設について「利用目標達成状況」や「利用目標」を設定し、その内容を公開して施設の管理運営状況を県民に周知している。また、当該施設は平成16年度新規施設なので、管理運営方法は地方自治法の改正により、直営若しくは指定管理者制度に限られることになっている。当該施設は、指定管理者制度を適用し、管理主体は第三セクターであることから、管理運営方法や指定管理者の指定の経緯についても調査の対象となる。従って当県における新規の公の施設の設置に関わるコスト意識や施設の評価手法及び公表について、並びに管理運営法に関わる事項について調査し、市川市の施設運営に資することを目的とする。
 

秋田県
 
1 派遣日時 平成17127日(木)午後100分~午後400
2 説明者及び場所  別紙1 
3 派遣議員 三橋 二三男・加藤 武央・坂下しげき
4 視察内容(以下のとおり)
 
1 行政改革について
(1)  第三セクターの経営評価について(質疑応答概要)
 
 ア 経営評価導入の契機は、「行政改革実施計画」の第三セクターの効率的・機動的運営の推進5つの事項に基づくものであるのか。
 
(秋田県)行政改革の一環である。第三セクターについては、監査や議会への決算報告がある以上、審議の基礎となる評価を行い、公表する必要があった。
 
  イ 経営評価における12指標を作成した機関は
 
(秋田県)外部委託しながら内部と調整した。外部としては、地元の公認会計士、税理士、経営コンサルタントである。内部は総務課。
  12指標は、公益性、行政補完的なものを組み入れている
 
 ウ 経営概要及び経営評価の公表に至った経緯と県民からの反応は
(公表内容が非常に分かりやすい)
 
(秋田県)情報公開条例に基づいて積極的に公表した。50%以上の出資法人については、法人自ら公表する義務を負わせ、25%以上については、努力目標とした。
  県民からのダイレクトな反応は無い。
 エ 経営評価の導入・公表について第三セクターからの反発は無かったのか
   (第三セクターの自主運営に県が関与しすぎるという懸念はなかったか)
 
(秋田県)当初はお互いに反発があった。しかし、25%以上の出資法人については監査の対象であり、県との関わりが非常に強い訳であるから理解してもらった。
  経営評価制度が定着してからは、第三セクター側も客観的なデータ内容が把握でき、改善点が明確化され、改革が行いやすくなったと歓迎している。
 
オ 「行政改革実施計画」の第三セクターの効率的・機動的運営の推進5つの事項について質問する
 (?)「秋田県第三セクター検討委員会」の概要について
  
(秋田県)設置は、行政改革大綱に基づくもの。構成員は、公認会計士等。
 
(?)法人の統廃合、株式処分等は経営評価を参考とするのか
 
(秋田県)経営評価と、平成14年度策定の「整理合理化指針」の2つに基づいて行っている。整理合理化指針では27法人の改善計画と方向付けを行っており、HPで公表している。
 
(?)適切な県関与の確立として県関係役員や職員の縮減を行っているが現在どれくらい達成されているのか
 
(秋田県)人数的な数値目標はない。組合交渉は関係ない。
 
(?)プロパー職員の積極的な登用は返って法人の統合等を行う場合問題化するのでは
 
(秋田県)県の関与を減らすためにプロパー職員の登用を考えているので、自立するためのプロパー職員の登用と考えてもらいたい。 
 


2)公益法人について
 
ア 県から委託を受けている公益法人のうち、公の施設の管理運営を行っている法人があるが、今後指定管理者制度に移行した場合にどのように扱うのか。
 
秋田県)原則公募である。民間事業者との区別はない。
 公募できないと考えているものは、市町村に管理させているものなどである。
 
イ 行財政改革の一環として補助金の見直しがあり、また、現在各種法制度改革により委託の手法が多様化されているなかで、公益法人に対する補助金の交付についてどのような取り組みをするのか。サンセット方式などを導入しているのか。
 
(秋田県)予算は枠配分を行っており、シーリングの中で各所管が行っているので具体的にはわからない。公益法人をねらった補助金のカットは考えていない。



3)包括外部監査について
 
  ア 積極的に行っていることについて
  (秋田県)地方自治法に沿ったものであり、特に積極的であると考えていない。
 
  イ 包括外部監査人の選任基準について
    委託料の予算額について
  
(秋田県)最初は地元の公認会計士に依頼していたが、公平性を期すため東京の公認会計士会依頼し外部包括監査人を推薦してもらっている。
  委託料は1,4175000円。因みに東京都は、3,000万円。
 
  ウ 監査テーマの選択について
 
  (秋田県)ヒアリングの中で、新しいテーマを外部包括監査人が選んで決めている。
 
 エ 包括外部監査の効果について
(?)包括外部監査を意識した経営改善への意欲的な取り組みが内部で期待でき
 か
 (秋田県)大変効果が高い。テーマについて客観的指標が得られ、行革のフォローとして機能している。
 
(?)包括外部監査人の意見はどのように反映させていくのか
  
 (秋田県)外部包括監査人の意見書は議会へ報告しているので、指摘事項は改善するよう指導している。
 
オ 県有施設の経営管理状況についてという監査があったが指定管理者制度の導入を考えると非常に興味深い。細かいところまで監査しており外部監査ならではと感じた。貴県では、行革で「さわやかサービス・公の施設について」も行っているが、指定管理者制度の導入を踏まえて、現に外郭団体に管理運営させている施設について今後の方針はどのように考えているのか。
 
秋田県)各種評価をクリアすることが最低の条件である。


2政策評価について
  
ア あきた県オリジナルの政策評価の導入について
 
(秋田県)厳しい財政状況や地方分権に備えて行った。
 
  イ 毎年度約4,000人の県民の皆さんにお願いする意識調査について
  (?)4,000人の選任方法
 
(秋田県)層化2段無作為抽出法で行っている。市町村単位で一定割合の人数割りを行い、住民基本台帳により抽出している。
 
(?)アンケートの回収率は。集計はどの機関でおこなうのか(委託しているのか)
 
秋田県)回収率は60%である。集計は調査会社に委託している。
 
ウ 政策評価・事業評価を予算に反映させる手法について
  (予算編成と各種評価の関係について)
 
(秋田県)評価結果を見ながら、枠配分を行っているが、具体的、直接的に事業レベルのものを予算に付加することはない。事業が遅れているということなら加味する。
 
エ 政策評価を条例にした理由(通常政策評価は、要綱や基本方針に留まっているが、法規範としての秋田県政策等の評価に関する条例を制定した理由)について
 
(秋田県)要綱で3年間政策評価を行ったが、要綱でできるのなら、きちんと条例を制定すれば責任の度合いも要綱とは異なり、政策評価の厳格な実施や評価に対する信頼性が増すと考えた。
  



3 あきた教育新時代創成プログラム
   県教育委員会の委員構成と委員会開催は例年何回か。プログラム作成に際して委員会は臨時に開かれたのか。(何回くらい)
 
  秋田県)委員は5人。民間の女性が2人と精神科医、弁護士、高校の退職教諭。昨年度の委員長は、女性委員。
定例会は月1回。平成16年度は18回。
 
  イ プログラム作成について委員から出た主な意見は
 
  (秋田県)住民から意見を聴くようにということ。
 
ウ 民間からの管理職登用とあるが、具体的にどのような民間人を採用するのか。
  若い民間人を採用するのか。
 
 (秋田県)慎重に検討している。以前養護教員について登用したことがある。
 
エ 教職員の採用年齢の引き下げについて、市川市では逆に年齢制限の撤廃を行ったが、職員の若返りを狙う最大の狙いは。(給与の引き下げが目的か)
 
(秋田県)担任の先生の若返りを期待している。
 
 


新規公の施設について(男鹿水族館)
 
1 派遣日時 平成17128日(金)午後1210分~午後1355
2 説明者及び場所  男鹿水族館館長 堀 幸夫氏  男鹿水族館内 
3 派遣議員 三橋 二三男・加藤 武央・坂下しげき
4        視察内容(以下のとおり)
 
1 管理運営形態について
  
(秋田県)指定管理者制度を適用している。
指定管理者 株式会社 男鹿水族館(第三セクター)
      指定期間 5年間
      指定管理者の指定方法 公募(当該1社のみ申請)
      委託料 8,000万円の予定
 
2        ランニングコストについて
 
(秋田県)ランニングコストは年間25,000万円。これを入館料と委託料でまかな
 う。採算ラインは年間入館者数約44.6万人である。
 
3        様々な利用料金が設定されているが利用料金の設定理由について
 
(秋田県)利用増を目的としているので、条例で定められた範囲内で工夫した。
 
4 経費削減・効率化の工夫は
 
 (秋田県)支出の大きな部分を占める、人件費、動力費、施設のメンテナンスに削減目標を置いた。
 
5 公の施設の利用目標は達成されそうか(入館者数24万人)
   利用目標設定の根拠について
 
 秋田県)今年度は、12月末で36万人。利用目標は採算ラインから計算した。利用料収入の黒字分は内部留保になる。
 
6 アクセスする交通機関の整備について
 
(秋田県)来館者は自家用車が殆どであると考える。あとは観光バス等である。