平成29年6月定例会 予算委員会(動画)

平成29年6月30日(予算委員会)

1.医療・介護に関する現状について
2.財政状況等について
3.財源の確保について
4.将来負担の抑制について
5.AED関係について
6.成田空港の利用促進について
7.市川市塩浜地区の砂浜について
8.契約について

下記のリンク(千葉県議会インターネット中継<録画>)からご覧ください。

https://www.gikaityukei.pref.chiba.lg.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=284

◯坂下しげき委員 おはようございます。自由民主党、市川市選出、政治に刺激、坂下しげきでございます。予算委員会で質疑の機会をいただくことができました。自由民主党の諸先輩、そして同僚議員の皆様方の御配慮に感謝を申し上げたいと思います。まことにありがとうございます。
 この予算委員会では、千葉県は予算をどのように使っているのか、全国と比較すると千葉県はどうなのか、そしてどこに課題があるのかといった点をできるだけわかりやすく捉えることができるように質疑をしていきたいと思っております。
 それでは、本県の社会保障関係の状況を把握するために、通告第1の医療、介護に関する現状についてお伺いをしたいと思います。
 まず、医療の現状について、人口10万人当たりの病院数、一般病床数、療養病床数、医師数、看護師数はどのぐらいで、全国順位はどうなっているのかお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(古元保健医療担当部長) 平成27年10月1日現在、人口10万人当たりの病院数は4.6病院で、全国順位は44位、一般病床数は566.5病床で44位、療養病床数は168.5病床で43位でございます。また、平成26年12月31日現在、人口10万人当たりの医師数は182.9人で45位、看護職員数は849.4人で45位となっております。
 以上でございます。

◯坂下しげき委員 いずれも全国で下から数えたほうが早いという現状でありました。
 続きまして、介護サービスに関する現状についてお尋ねをしたいと思います。65歳以上の高齢者人口10万人当たりにおける特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設の定員数、介護職員数はそれぞれどれぐらいで、全国順位はどうなっているんでしょうか。

◯説明者(飯田健康福祉部長) 平成28年10月1日現在、高齢者人口10万人当たりの特別養護老人ホームの定員数は1,512人で全国44位、主な入所対象である要介護3以上の人口10万人当たりでは2万7,265人で21位です。同様に介護老人保健施設の定員数は913人で42位、入所対象である要介護1以上では6,041人で31位です。また、高齢者人口10万人当たりの介護職員数は、平成25年度で4,492人と推計され、45位となっています。

◯坂下しげき委員 医療の現状同様に、介護サービスに関する現状についても決してよい順位ではありませんでした。本県では、今後急激に高齢者人口が増加するという大きな課題があります。現状でも医療・介護サービスが不足している状況にあり、さらに地域によっても需要が異なります。
 そこで、医療及び介護サービスの現状を踏まえた対策や地域による将来を見据えた特徴を捉えた対策について、どのように取り組んでいるのかお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(飯田健康福祉部長) 県では、必要な医療提供体制の整備を図るために、基準病床数をもとにした病床配分などを行うとともに、介護サービスの充実を図るために、特別養護老人ホームなどの施設整備を進めております。あわせて、医療・介護人材の確保について、養成力の強化、県内就業への誘導、離職防止、再就職の促進などに取り組んでおります。今後も、保健医療計画や高齢者保健福祉計画の改定を進める中で、市町村や地域の関係者の御意見も伺いながら、地域の実情を踏まえて医療と介護の提供体制の整備について検討してまいります。

◯坂下しげき委員 本県の医療、介護について、全国と比較しますと、決して満足できる状況ではないと思います。本県は人口が全国で6番目に多いなど、難しい課題等があると思いますが、納税者の意識といたしましては、全国の皆さんと同じように税負担をしているのに、全国に比べ給付されるサービス値が低いというのは複雑な心境であると思います。県民がこれからも安心して千葉県に住み、住んでいるところで医療、介護が受けられるよう課題を把握し、財源を確保し、制度を確立していくよう要望したいと思います。
 次に、財政状況等についてお伺いをいたします。
 医療や介護など、県民に行政サービスを提供するためには財源がなければできません。それでは、全国と比較して医療、介護が低い順位になっている本県の税収入、財源は多いのか少ないのか、全国と比較しながら伺いたいと思っております。
 まず、一般財源についてお尋ねをいたします。一般財源は使い道に指定がなく、県が自由に使える財源で、県税や地方交付税などをいいます。この財源を使って、医療、介護など、千葉県に合った政策を進めることができます。
 それでは、人口1人当たりの一般財源額は幾らで、全国順位はどうか、お答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) お答えいたします。
 本県の人口1人当たりの一般財源額は、平成27年度決算ベースで約17万8,000円であり、総務省が集計、公表している地方財政状況調査によると、全国では45位となっております。

◯坂下しげき委員 人口1人当たりの一般財源額も全国と比較した場合は下から3番目ということでございます。
 では、自主財源のかなめである県税の額について、人口1人当たりの過去3年間の額は幾らで、全国順位はどうか、お答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 総務省が集計、公表している道府県税徴収実績調によりますと、本県の人口1人当たりの県税の額及び全国順位は、平成25年度は約11万円で15位、平成26年度は約11万6,000円で17位、平成27年度は約12万7,000円で25位となってございます。

◯坂下しげき委員 ただいまの平成27年度の県税の全国順位が大幅に下がっておりますが、その原因について、おわかりであればお願いをしたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) さまざまな要因が複合的に作用していると思われますことから、一概には申し上げられませんけども、要因の1つとしては、平成27年度税制改正における統計指標の置きかえなど、地方消費税に係る清算基準の見直しによる影響が考えられます。

◯坂下しげき委員 本県の県税は年度によって違いますが、順位的には中間から上に位置していると思います。これに対して一般財源の額は全国で下から3番目になっているわけでございます。これは地方交付税など税源配分の影響が出ているものと思われるところでございます。
 それでは、これらの財源等々を使って本県はどのような予算配分をしているのかお尋ねしてまいりたいと思います。県民1人当たりの民生費、社会保障費は幾らで、全国順位はどうか、お願いをいたします。

◯説明者(小倉総務部長) 本県の県民1人当たりの民生費は、平成27年度決算ベースで4万2,843円であり、全国では46位となっております。また、民生費のうち社会福祉費につきましては、同じく1万5,309円で、全国では45位となっております。

◯坂下しげき委員 民生費、社会保障費の全国順位は下から二、三番目という低い状況にあるわけでございます。
 では、なぜ他県に比べ社会保障費に充てられる予算が少ないのか、お願いをしたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 各都道府県の決算状況を見ますと、人口規模が大きい団体につきましては、民生費や社会福祉費に限らず、1人当たりの歳出規模が小さくなる傾向がございます。これは、人口が多いことによる規模のメリットが働くことや政令市や中核市に移譲されている事務が多いことなどが理由と考えられます。一方で、平成27年度決算におきまして、歳出総額に占める民生費の割合は19.8%と、全国で16位に位置しておりまして、1人当たりの歳出規模だけで予算を評価することはなかなか難しいと、そのように認識してございます。

◯坂下しげき委員 御答弁にありましたように、一般的に大都市圏で人口規模が大きい団体については、諸事情から人口当たりの歳出規模は小さくなる傾向があるということについては理解をいたします。しかしながら、実際に、先ほど伺った医療、介護についての人口当たりの水準が低い状況があるということは、やはり県民感情からいたしますと、納税に見合った公平な受益が得られているのかなと感じるところがあろうかと思います。
 それでは、県のお金がどんな行政目的のためにどれぐらい使われているのかということを把握できるものに、歳出の目的別の構成があります。本県の歳出の目的別の状況における特徴についてお答えをいただければと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 本県の歳出を目的別に、割合が大きい順に申し上げますと、教育費が34.2%、民生費が19.8%、商工費が11.9%、警察費が10.4%などとなっております。

◯坂下しげき委員 類似団体の埼玉県と比較した場合、本県で最も特徴的なのは商工費になるわけでございます。予算ベースで構成比率は13倍以上であり、予算額は1,890億円多くなっております。その県によって県民ニーズも政策目標も政策課題も異なることから、単順に全国と比較してよい悪いは言えないと言えます。しかし、現在の千葉県がどのような行政目的に対して予算を使っているのか、全国と比べてどうなのかということがわかったかと思います。県民が豊かさを感じるためには、全国順位を上げることも必要であろうかと思います。限られた財源の中でどのように県民ニーズを取り込み、何を実現していくのか、そのために何をすべきなのかしっかりと考えていかなければならないと思っております。
それでは、県民生活を支え、県民の要望を実現させるために必要な財源の確保についてお尋ねをしたいと思います。
まず、一般財源については、先ほど申し上げましたように、使い道に指定がなく、県が政策等によって自由に使える重要な財源であります。
そこで、一般財源の確保に向けた取り組みについてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(森田知事) 県では、徴収対策の充実強化や法人県民税の超過課税による県税収入の確保、未利用県有地の処分の推進など、一般財源の確保に向けてさまざまな取り組みを行っております。また、地方税や地方交付税などの一般財源の総額確保について、全国知事会や九都県市首脳会議など、あらゆる機会を通じて、国に要望しております。

◯坂下しげき委員 次に、県税はここ3カ年で全国で15位から25位ということで、中間からそれ以上の順位であるのに対し、一般財源全体では45位になるというのは、やはり税源配分に問題があるのかなと思うわけでございます。
 そこで、国税収入額と国からの還元額の乖離についてどのようにお考えなのか、お答えください。

◯説明者(小倉総務部長) 地方財政につきましては、人口や産業の集積の度合いによる地域間格差等にかかわらず、地方公共団体が責任を果たせるよう、国全体として地方財政計画を通じて、地方交付税や地方債などによる財源保障がされているものと、そのように理解してございます。県といたしましては、地方交付税など、一般財源の総額確保について、全国知事会や九都県市首脳会議などと連携して働きかけを行っているほか、本県の実情により必要となる財源等につきましては、国の施策に対する重点提案・要望などによりまして、国に強く要望しているところでございます。

◯坂下しげき委員 参考ですが、東京都のデータによりますと、千葉県民1人当たりの納税額が26万円なのに対し、国からの地方交付税等の還元額は15万円であり、還元率は57.9%であります。国と地方の税源配分の見直しを求めていく必要があり、行っているということでございますので、ぜひこれ、県民のためにお願いをしたいと思います。
 そのほか、本県の財源に影響があるものにふるさと納税がございます。まず、本県におけるふるさと納税の受入金額についてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) ふるさと納税の受入金額でございますが、平成28年度は16件、1億88万円となっております。

◯坂下しげき委員 本県における個人県民税の寄附金控除額をお願いをしたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 個人県民税の寄附金控除額でございますが、平成28年度は約21億5,000万円となっております。

◯坂下しげき委員 ふるさと納税によって、本県の重要な財源が約20億円減っているわけでございます。本県の財政に対するふるさと納税の影響についてお願いをしたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 本県のふるさと納税の受入額から個人県民税の寄附金控除額を単純に差し引くと、委員御指摘のとおり、平成28年度は約20億円の減収ということになろうかと思います。なお、住民税の減収分のうち75%分は、地方交付税が増加することにより補われる仕組みとなっております。そうしたことから、残りの25%分、約5億円分が実質的な収入減になろうかと、そのように考えております。

◯坂下しげき委員 では、今後、県としてふるさと納税をどうするのかお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 既に御案内のように、過度な返礼品競争により寄附を獲得する例が見受けられたことから、本年4月に返礼品の価格を寄附額の3割以下に抑える旨の総務大臣通知が地方自治体に対し出されたところでございます。今後、この通知により返礼品を見直す自治体もあると考えられますことから、寄附の動向を見守るとともに、県といたしましては、本来のふるさと納税制度の趣旨を踏まえ、これまでどおりの取り扱いを続けてまいりたいと、そのように考えております。

◯坂下しげき委員 いずれにしても、本県の財源確保は厳しい環境にあるというわけでございます。財源の中で重要なのが自主財源の県税です。
 そこで、県税収入が前年度比マイナスの理由は何か、お願いします。

◯説明者(小倉総務部長) 今年度の県税収入の当初予算額が前年度と比べましてマイナスとなっている主な理由といたしましては、原油安や円高による輸入額の減少に伴う地方消費税の減収や、法人実効税率の引き下げの影響による法人2税の減収などを見込んでいるところでございます。

◯坂下しげき委員 県税収入のマイナス要因は今後も続くおそれがあり、深刻であると思います。
 次に、財政調整基金についてお尋ねをしたいと思います。財政調整基金は、一般家庭に例えると貯金のようなもので、お金が不足したときや災害が起こったときに使えるようにためておくお金でございます。平成28年度までの財政健全化計画に合わせ、計画的に積み立てておりましたが、平成29年度予算では、ためていた積立金も半分取り崩しております。このことからも財政運営、予算執行が厳しいことがうかがえると思います。
 そこで、財政調整基金の大幅な取り崩しについてどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 平成29年度は、社会保障費や公債費などの義務的経費が増加する一方で、県税収入の減が見込まれることから、収支均衡のため、財政調整基金を当初予算と6月補正で合わせまして244億円活用したところでございますが、今後、執行段階での経費の節減等に努めることによりまして、取り崩し額の縮小を図ってまいります。

◯坂下しげき委員 将来負担の大きな要因として臨時財政対策債等があります。平成29年度では前年度比約70億円の増額になっております。
 そこで、臨時財政対策債等がふえた理由は何か、端的にお願いをしたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 臨時財政対策債につきましては、地方財政計画における伸び率などを踏まえまして、当初予算時点で前年度より10億円増の1,210億円を計上しております。また、6月補正予算案では、地方財政法5条の特例として認められております減収補填債を60億円計上しておりますが、これは地方交付税の精算制度の1つでございまして、法人事業税等の税収が交付税算定時の見込みを下回る場合に、その減収分を補填するため、発行が認められているものでございます。

◯坂下しげき委員 財政状況についてさまざま御答弁をいただきましたが、本県では、現在及び将来について財政課題が山積していると感じているわけでございます。直近の財政健全化計画は平成28年度で終了いたしました。
 それでは、財政健全化計画のこれまでの達成状況はどうか、お答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 平成28年度までの財政健全化計画におきましては、建設地方債等の実質的な県債残高については毎年度、着実に減少していること、健全化判断比率につきましては常に全国平均よりも良好な水準を維持していること、財政調整基金につきましては、平成26年度から平成28年度まで3年連続で目標である残高300億円を上回る見込みであることによりまして、3つの基本目標について一定の成果を上げることができたところでございます。

◯坂下しげき委員 御答弁にありました財政調整基金は、平成28年度末までは目標を達成しておりますが、既に平成29年度予算で244億円取り崩し、年度末見込みは約226億円となっており、目標値の300億円を下回っているわけでございます。
 では、平成29年度以降の今後の取り組みについてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 本県の財政につきましては、歳入の大幅な伸びが期待できない中、社会保障費などの義務的経費が増加し、老朽化が進む県有施設への対応が必要となるなど、厳しい状況が続くことが見込まれます。このため、新たな財政健全化計画におきましては、持続可能な財政構造の確立に向けて、事務事業の見直し、自主財源の確保、財政調整基金等の積み立て・確保、資産マネジメントなどの取り組みを進めていきたいと、そのように考えております。

◯坂下しげき委員 次に、本県の予算執行上の課題として繰越明許費があると思います。地方公共団体の会計は、予算単年度主義に基づいて行われます。これは一会計年度の予算はその年度内に執行し、完結することを原則とするものでございます。この例外として繰越明許費がありますが、安易に行えば財政の計画性を乱し、予算の適正執行を妨げることになります。
 そこで、繰越明許費の主な理由は何か、お答えください。

◯説明者(小倉総務部長) 繰り越しの主な理由といたしましては、国の経済対策に伴うもののほか、地権者との協議や地元及び関係機関との調整に不測の日数を要したこと、入札不調により再入札の手続に不測の日数を要したことなどが挙げられます。

◯坂下しげき委員 御答弁にありました、原因としては、入札不調が多いのが目立つわけでございます。また、工期を年度末の3月に設定しているものも非常に多くあります。入札で不調が多いならば、余裕を持って工期を設定する、あるいは入札を前倒しするなど、方法は幾らでもあります。けれども、毎年同じことを繰り返しているように感じられる。
 そこで、今後、繰越明許費の削減に向けてどのように取り組んでいくのか、お答えください。

◯説明者(小倉総務部長) 歳出予算のうち、年度内に執行が終わらないものにつきましては、必要に応じて繰り越しを行うことが認められておりますが、一方で、繰越額が余りにも多額に上ることは望ましくないことから、早期発注や事業の計画的な実施に努め、予算の適切な執行管理を行ってまいります。

◯坂下しげき委員 予算は適正な時期に執行しなければ、その効果が発揮されない場合があります。何度も申し上げているお話でありますが、例えば危険な橋の工事を行うための予算があったとします。しかし、すぐに執行しないでいたら、橋が落ちて被害が出てしまいました。これではその後の工事をしても予算の意味がなくなってしまうわけでございます。安易に翌年度に予算を送ろうという考えはないと思いますが、原則に従って年度内に計画的に執行してほしいと思います。また、初めから年度内執行が難しい案件であれば、債務負担行為を設定するなど、適正な予算措置を行うようにしていただきたいと思います。ここの部分は結果が出せると思いますので、改善を要望したいと思います。
 続きまして、将来負担の抑制についてお尋ねをしたいと思います。今まで歳入について伺ってまいりましたが、歳出についてお尋ねします。
 将来負担の抑制のためには、歳出をいかに見直すかが重要になります。歳出の見直しに当たっては、県民ニーズや県民の声、たとえ小さな声でも行政がしなければならないことは、漏れなく拾って県民目線の見直しをしなければなりません。そういった中で、何を見直していくのかという選択が非常に難しいと言えます。
 そこで、平成29年度当初予算において、どのような事務事業の見直しを行ったのかお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 事務事業の見直しにつきましては、一つ一つの事業について、事業そのものの必要性、事業手法の妥当性、費用対効果、県民生活への影響等を勘案し、所期の目的を達成した事業の廃止、委託内容や補助対象経費の見直しなどによりまして経費の削減を行いました。具体的には、情報ネットワーク機器借り上げの一括発注への移行や、補助事業におけるメニューの見直しなど、350事業について見直しを行いまして、一般財源ベースで約17億円を節減したところでございます。

◯坂下しげき委員 次に、年々増加する公債費について、公債費を抑制するため、どのようなことをやっているのかお答えいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 公債費を抑制するためには、まずは県債残高を適切に管理し、将来負担が過大にならないようにすることが重要と考えております。また、県債の発行に当たりましては、IR活動等による投資家の拡大や投資家ニーズを踏まえた借入年限の多様化など、多額の資金を安定的かつ低利で借り入れるため、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

◯坂下しげき委員 次に、将来的に莫大な予算が必要となる県有施設長寿命化について予算を確保すべきと思いますが、このことについてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 庁舎、学校等の長寿命化対策に必要な予算につきましては、毎年度の予算編成の中で精査してまいりますが、国庫補助や起債の活用に加えまして、県有施設長寿命化等推進基金を積み増すことなどにより、財源確保に努めてまいります。

◯坂下しげき委員 県有施設長寿命化に要する予算を将来に備えて確保するものとして、県有施設長寿命化等推進基金があります。本県は、今後30年間に要する庁舎、学校等の県有施設維持更新費用は、1年平均で約283億円と試算をされているわけでございます。しかし、平成29年度は基金に2,600万円しか積み立てず、逆に約27億円取り崩しているわけでございます。一方で、本県では、行革の一環として県有財産の売却を推し進めております。
 そこで、県有財産を売却した場合は、県有施設長寿命化等推進基金に積むべきと思いますが、このことについてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(小倉総務部長) 未利用県有地は積極的に売却を進めているところでございますが、県有施設長寿命化等推進基金への積み立てにつきましては、毎年度の財政状況を踏まえて判断すべきものと、そのように考えてございます。

◯坂下しげき委員 県有施設長寿命化等推進基金、目標の700億円に向けて、これは早く積んでいただきたいということを要望しておきます。
 現在、明確にわかっている将来負担についてはなるべく平準化できるように対処する必要があろうかと思います。本県では、行財政改革の一環として、先ほど申しましたように、未利用県有地等の処分を推進しております。しかし、売却によって取得した資産の使い道や管理について基準がないわけであります。処分によって得る利益は一過性のものです。使ってしまえば県民の資産が一瞬にして消失します。売却益は今使うべきものと将来に残すべきものと、はっきり決めておかなければ、将来の資産を食い潰すだけの行革になります。使い道について検討していただきたいと思います。これは要望しておきます。
 次に、AED関係についてお尋ねをいたします。
 一般質問でも申し上げました、救急車到着まで全国平均で8分以上かかる現状において、心肺停止患者に遭遇した一般市民、バイスタンダーが、救急車到着前にAEDによる除細動及び心肺蘇生法を行うことが救命率を上げる重要な鍵となります。
 そこで、企業や事業所等に働きかけて、県民の身近な場所にAEDを設置する施策についてお伺いしたいと思います。例えば条例制定の趣旨を踏まえて、AEDの普及促進に協力する企業に対し、県の建設工事入札時においてインセンティブを与える方法があると思いますが、このことについてお答えください。

◯説明者(野田県土整備部長) 建設工事に係る入札制度は、公平性、競争性及び透明性のもと、良質な社会資本の確保と健全な建設業の維持の視点に立って進めていく必要がございます。現在、県においては、AEDの普及促進のため、条例に基づく基本計画の策定を進めていることから、この内容を踏まえ、慎重に検討してまいります。

◯坂下しげき委員 本県には、建設工事指名業者選定基準があります。基準の中には地域貢献があり、運用基準ではボランティア活動が規定されております。総合評価方式では、地域貢献度の評価項目があります。このような規定と同様に整理することができると思います。指名業者選定基準や総合評価方式の評価項目に加えることはできないのか、お答えいただきたいと思います。

◯説明者(萬谷建設・不動産業課長) 建設・不動産業課長の萬谷です。
 建設工事に係る入札制度は、建設業者の技術力や経営力の評価等を適切に反映した入札制度とするよう運用していく必要がございます。特定の政策を推進するために入札制度を活用することについては、このような視点を踏まえ、当該政策のかなめとなる部局と十分な協議を重ねる必要があり、AEDの普及促進に関しましても、具体的な施策展開との調整を図りながら、慎重に検討してまいりたいと思います。

◯坂下しげき委員 予算を使うことなくAEDの普及促進を行う方法として、ただいま入札制度でインセンティブを付与するやり方、方法を提案をさせていただきました。
 その他の方法として、AEDを設置する企業等に対する要請及び財政支援について、どのように取り組んでいくのかお答えいただきたいと思います。

◯説明者(古元保健医療担当部長) 本年4月に施行された千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施の促進に関する条例では、事業者は、事業所にAEDを設置するよう努める旨、規定したところでございます。従業員の生命を守ることはもとより、事業所付近において要救助者が発生した場合においても、迅速に救命活動ができる環境整備は重要だと考えております。県としても、さまざまな機会を活用して事業所等に設置を働きかけてまいります。

◯坂下しげき委員 財政的支援については触れておりませんでしたが、それが難しいなら、今ある入札制度を活用して、予算がなくてもできることをまずやるべきだと思いますので、要望をしておきます。
 それでは次に、船橋市、これは台湾でもそうなんですけど、AEDの設置場所について、PCやスマホで誰もが見られるようになっています。この船橋市で行っている取り組みについて県でも実施すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

◯説明者(古元保健医療担当部長) 県では、県内に設置されているAEDについて、パソコンやスマートフォン、携帯電話から検索し、地図上に表示させるシステムを運用しておりますが、現在、このシステムに登録されている設置情報の精度を高めるべく、個々の情報の確認作業を進めているところでございます。利用者が最新で正確な情報を得られるよう確認作業を行うとともに、船橋市など他の自治体のシステムも参考にしながら、より使い勝手のよいシステムとなるよう努めてまいります。

◯坂下しげき委員 救急自動車の到着時間について短縮が難しい現状にあって、やはり何度も申し上げますが、AEDによる除細動及び心肺蘇生法を行うことが救命率を上げる重要な鍵となります。県民の命を救えるよう最善の努力をしていただきたいと思います。
 続きまして、成田空港の利用促進についてお尋ねをします。
 まず、成田空港の利便性を高めるために、羽田空港等と結ぶリニアモーターカーを促進すべきと考えますが、このことについていかがでしょう。

◯説明者(遠山総合企画部長) 成田─羽田空港間のアクセス向上につきましては、国に対して都心直結線の早期実現を要望しているところでございます。また、長期的には、両空港間に同一空港並みの利便性を実現させるため、国に対しまして、リニアモーターカーについても国策として検討を開始するよう要望しているところでございます。

◯坂下しげき委員 ほかの考え方として、新幹線を東京駅から延伸し、成田空港へ乗り入れるべきであると思いますが、このことについてはいかがでしょうか。

◯説明者(遠山総合企画部長) 成田空港へのアクセスについて、利便性や速達性の向上を図っていくことは重要と考えておりまして、そうした点で、ただいまの御提案については意義のあることと考えております。現在、空港会社では、空港内の国際線と国内線の乗り継ぎの充実に取り組むなど、利便性の向上に努めております。また、県におきましても、速達性の向上のため、東京駅を経由いたします都心直結線の早期実現を重点事項として国に要望しているところでございます。まずは、こうした取り組みが確実に進捗するよう働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。

◯坂下しげき委員 次の市川市から直行バスの運行、そしてカードラウンジ関係、そしてオストメイト関係については、ぜひよろしくお願いをしたい、要望しておきます。
 空港内に市町村のPRスペースをつくるべきと思いますが、このことについてお答えをいただきたいと思います。

◯説明者(遠山総合企画部長) 空港会社からは、利用者の増加によりまして一部の施設で狭隘化が進み、また新たな設備の増設も必要であることから、現状では市町村のPRスペースの確保は難しいと聞いております。市町村のPRスペースの設置については、コストや効果等を踏まえまして、市町村がどう考えるかがまずは第一であると考えております。
 以上です。

◯坂下しげき委員 空港自体にスペースをつくることはすぐには難しいということで、羽田のほうは積極的に全国市町村に声をかけているということも伺っております。そういった中で、成田ができないのはどうしてかなと思うわけでございますが、できないのであればしようがない、考えていただきたいと思いますが、成田国際空港の公式ウエブサイトで市町村のPRページをつくる、提供することぐらいはできるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

◯説明者(遠山総合企画部長) 既に意欲のある空港周辺の市町では、空港会社と協議いたしましてウエブサイトにPRを掲載しております。他の市町村においても、その意向があれば、空港会社と協議、相談していただければと思います。また、県におきましても、空港会社の担当部署へ紹介するなど、相談には応じてまいりたいと考えております。
 以上です。

◯坂下しげき委員 空港周辺地域、大事なんですけれども、その他も県内として大事だと思いますし、利用促進については、本県の財政面においても重要であると思いますので、成田空港の存在感を、そして利用価値を高めていく必要があると思いますので、県内市町村にも興味を持っていただくようによろしくお願いをしたいと思います。
 次に、市川市や市民から要望が上がっております塩浜地区の環境整備についてお尋ねをしたいと思います。
 市川市塩浜地区で海に親しむことができる砂浜をつくれないのかどうか、お願いをしたいと思います。

◯説明者(吉添環境生活部長) 県では、三番瀬再生基本計画に基づき、環境の多様化と親水性の確保の観点から、市川市塩浜2丁目の護岸前面においては、砂を入れた干潟的環境の形成について検討してまいりました。その結果として、人が海と触れ合える親水性については一定の効果が認められるが、三番瀬全体の自然環境再生への効果が限定的であることが明らかになり、県事業として実施することは困難という結論に達しました。なお、市川市から具体的な提案等が示されれば、それに応じて協議を行います。

◯坂下しげき委員 市川市及び市民の方からも要望があります。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、先ほど繰越明許費のところで質疑をいたしましたが、入札不調による繰越明許費が目立つわけでございます。予算は適切な時期に執行し、効果を高める必要があります。
 そこで、建設工事の入札不調が多くなっておりますが、どのような対応をしているのか、お願いします。

◯説明者(野田県土整備部長) 指名競争入札の場合は、指名業者を選定し直して、再び入札手続を行うか、一般競争入札に切りかえ、入札手続を行うこととしております。一般競争入札の場合は、入札参加資格要件の緩和や設計条件等の見直しなどを実施し、特に入札不調が頻発する工種などにおいては、1者入札を有効とするなど要件を緩和して、再び入札手続を行います。なお、いずれの場合でも、不調原因の聞き取り調査などを実施し、必要に応じて設計条件等の見直しを検討いたします。

◯坂下しげき委員 一般競争入札に切りかえるとのことですが、切りかえることによって効果は出ているのか、また何件ぐらい該当しているのか、お願いします。

◯説明者(萬谷建設・不動産業課長) 平成26年度から28年度末までに一般競争入札に切りかえました案件は110件、そのうち71件が契約締結に至っており、一定の効果は出ているものと考えております。

◯坂下しげき委員 それでは、入札不調後、次の入札に向けたスケジュールや事務手続はどのようなものなのか、お願いします。

◯説明者(野田県土整備部長) 入札不調の場合には、当初の入札手続と同じ手続をやり直すこととなります。そのため、一般的には、指名競争入札では指名通知など約20日を要し、また、一般競争入札では公告、入札参加資格の審査など約60日を要します。なお、設計条件等の見直しを行う場合は、さらに日数を要することとなります。

◯坂下しげき委員 公告期間や入札額見積もり期間は適正な日数を確保する必要がありますが、事務手続、審査日数がちょっと長過ぎるのかなと思います。どこが問題なのか早期に制度を見直し、内部事務にかかる日数を短縮していただくよう要望をしたいと思います。
 次に、そもそも入札の前段階において入札不調が多い原因として、工事の仕様や設計に問題があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

◯説明者(野田県土整備部長) 公共工事の仕様、設計は、千葉県積算基準等に基づき適正に実施していますが、不調の原因としては、労務単価や資材の価格変動、利益率、夏休み期間限定といったような工期の制約などによる仕様、設計への消極的な評価、ほかの発注者との競合、さらに発注時期の集中による一時的な技術者不足などが考えられます。このため県では、不調原因の聞き取り調査結果を踏まえ、設計条件等の見直しを行うとともに、積算単価の改定や発注時期の平準化、入札参加資格要件の緩和などに加え、平成29年1月からフレックス工期契約制度の拡大に取り組んでいるところでございます。今後とも、社会情勢や建設業者の実態に即して、適切に対応してまいります。

◯坂下しげき委員 繰越明許費の指摘と重なりますが、再度入札に要する日数を見込んで、入札時期、契約時期、工期を定めるように徹底していただきたいと思います。これは県土整備部と総務部になりますかね、担当課、連携をとってしっかりと通知をしていただきたい、要望をしておきます。
 最後に、長期継続契約についてお尋ねをいたします。この長期継続契約も予算単年度主義の例外であります。複数年度の契約を締結することから、長期継続契約を適用する契約の種類及び経済性について適正を期す必要があります。
 そこで、契約方法はどうなっているのかお答えください。

◯説明者(小倉総務部長) 長期継続契約につきましては、契約期間全体の総額で予定価格を設定し、関係法令や財務規則にのっとり、一般競争入札等により契約しております。

◯坂下しげき委員 その中に随意契約、いわゆる随契はあるんでしょうか。

◯説明者(小倉総務部長) 長期継続契約に係る随意契約につきましては、確認しているところでは、平成27年度で5件ありますが、いずれも地方自治法施行令に基づき、その性質または目的が競争入札に適しないものに該当することから、随意契約としたものでございます。

◯坂下しげき委員 先ほども申し上げましたが、長期継続契約は複数年度の契約を締結することから、いわゆる経済性、そして適正を期すように、引き続き運用を行っていただきたいことを要望いたしまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)