2009年(平成21年)11月議会 議案質疑
2009年(平成21年)11月議会 議案質疑
第1日目 2009年11月20日
発言者:竹内清海議長
次に、坂下しげき議員。
発言者:坂下しげき議員
ニューガバンスの坂下しげきでございます。議案第29号市川市一般職員の給与に関する条例等の一部改正について、議案第30号市川市特別職の職員の給与及び議員報酬等並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正についてを、通告に従いまして質疑をさせていただきます。
本市は、公務員の給与水準を民間企業の従業員の給与水準と均衡させることを基本とする人事院勧告に準拠して条例改正を行っております。職員等の給与は税金によるものであることから、その給与について、国民、市民の理解を得ることは非常に重要であります。一方で、民間企業も全く同じでありますが、勤め先の給与が突然減額になり、その減額が大幅に行われることになると、従業員、あるいは職員にとりましては生活面への影響が深刻なものとなります。今回はそのような大幅な減額が行われることになるわけでございます。
給与の減額については、民間企業の従業員の給与水準との均衡、国民の理解という重要な側面を踏まえつつ、一方では痛みが伴っているということを意識しなければならないわけでございます。また、この給与改定については、人事院勧告の目的のほかにも行政改革の視点もあります。給与の減額改定に伴い、当初予定していた予算が不要になります。条例改正によって生じた貴重な財源を、市川市として、どのような形で市民に還元していくのかが重要な政策の部分になるわけでございます。ここの部分の考えが甘いと、貴重な財源が無駄遣いに変わってしまいます。目的が明確であれば、毎年の人事院勧告に伴って減額の給与改定を行う場合は、条例改正と同時に補正予算を上げて執行先を決めるべきであります。不要になった予算を思いつきの新規事業などに流用していくようなことがあってはならないわけでございます。
先順位者等の質疑により、減額の状況については、当該条例の一部改正によって5億7,486万円の財政余剰が生じることがわかりました。本市では、今まで条例改正を行うと、基本的に2月定例会で補正を行っております。条例と予算は表裏一体、対をなすものであり、5億7,000万円という予算規模から考えても、同時に補正予算を組み、厳格に予算管理をする必要があると思います。他の地方自治体でも、ことしの人事院勧告に伴う職員給与条例の改正と同時に補正予算を組んでおります。
そこで、条例の改正に伴う減額の状況から、市民サービスの充実のために速やかに補正予算を組むことについてどのように考えているのかお答えをいただきたいと思います。
発言者:竹内清海議長
総務部長。
発言者:春日幹雄総務部長
お答え申し上げます。
初めに、今回の改正に伴う影響額を再度ご答弁させていただきますと、一般職につきましては、先順位者にもお答え申し上げましたが、一般職分が約5億7,300万円、市長、両副市長、代表監査委員の常勤特別職4名分、合わせまして約150万円、合計でおおむね5億7,450万円と試算しております。また、平成22年度につきましては、4月から実施いたします持ち家に係る住居手当の1,000円の減額分を約1,930万円と試算しておりますので、今回の減額分と合わせまして、おおむね5億9,400万円の影響額になると試算しているところでございます。
そこでお尋ねの、速やかに補正を組むことについての考え方でございますが、例年、給料、諸手当等の人件費につきましては、12月定例会におきまして、年度内の人事異動、配置職員の職位の変動などに伴いまして不足が見込まれる関係について増額補正をさせていただきまして、2月定例会において、年度末までの支出を見込んで不要となる額について減額補正をさせていただいているところでございます。このような方法をとらせていただいておりますのは、人件費は年度途中におきましても、採用、退職、あるいは人事異動などを原因として変動してまいりますので、人件費の執行見込み額をつかむ上では不確定な状況がございます。したがいまして、2月定例会までに補正額を確定し、例年2月補正で対応させていただいているところでございます。
また、主たる要因ではございませんが、人事院勧告に基づく国家公務員に係る今年度のスケジュールを見てまいりましても、平成21年8月11日に人事院の勧告がございました。8月25日には給与関係閣僚会議が開かれまして、閣議決定がされております。また、10月27日に衆議院において議案受理、参議院において予算審査の議案の受理、その後、衆議院の総務委員会、あるいは本会議、あわせまして参議院の総務委員会、本会議と、こういうことを経まして決定する流れでございます。
また、人件費は勤務労働条件の最たるものでございますので、職員組合との交渉がございます。今回の職員組合との交渉の経過を申し上げますと、10月20日に第1回目の交渉を行いまして、26日、29日、11月4日の第4回目の交渉を行いまして、11月5日に事務折衝を経まして、同日の夕刻に職員組合の代議員会において妥結を得たものでございます。ただいま申し上げましたように、合計4回の交渉を実施し、そのほかにも事務折衝、妥結に至ったものでございまして、影響額が推定できましたのは11月に入ってからでございます。このことからも、日程上、歳入と歳出の均衡を図りつつ、この財源を充てるべき事業を新たに編成するということは非常に難しい状況下にございます。ご理解をちょうだいしたいと思います。
以上でございます。
発言者:竹内清海議長
坂下議員。
発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。先ほども申し上げましたが、市の予算は市民の方からお預かりする貴重な税金であり、今回の財政余剰は痛みを伴うという意味においても貴重な資金であります。他市ではきっちり補正予算で対応されているところでもあります。条例の一部改正と同時に補正予算を組むことは可能であると思います。決算時には全額を剰余金として、一定額を財政調整基金に積み立て、もしくは公債の繰り上げ返済に使用するか、将来の財政負担や安定供給を考え、きちんと退職手当基金に積み立てるべきであります。単に人事院勧告に従っているだけで、その先の政策的、財政的な視点がうかがえないわけであります。貴重な税金を生かして市民サービスに還元できる措置を講ずるべきであります。
他市では、大抵、当該条例の一部改正により予算額に影響が出る場合は、速やかに同議会で補正予算を組んでおります。しかし、同時に補正予算を計上しない本市では、そこのところの不透明感があるわけでございます。そうしますと、使途が明確ではないということになります。今回の人事院勧告は、平成15年度に匹敵する大規模な引き下げ勧告であります。しっかりと条例改正による効果、影響を見きわめる努力が必要であると思います。今までも人事院勧告に従って何度も給与改定を行い、予算の削減等を繰り返していると思います。したがいまして、大規模改定が行われた平成15年度の給与改定から今回の改定まで、条例改正に伴い、総額どれぐらいの減額があったのかお答えをいただきたいと思います。
発言者:竹内清海議長
総務部長。
発言者:春日幹雄総務部長
お答え申し上げます。
人事院勧告に準じて行った給与改定の平成15年度以降の影響額でございます。平成15年度以降、平成16年度と平成20年度は給与改定の勧告がありませんでしたので、給与改定に係る勧告のございました年の影響額を申し上げます。平成15年度は、給料、月例給の改定率マイナス1.07%でございました。この月例給のほかに、扶養手当の配偶者分が500円減額、それから期末手当で0.25月削減という形でございます。給料の影響額につきましてはマイナス2億2,825万9,000円、扶養手当につきましては233万6,000円、期末手当につきましては4億868万6,000円、合わせまして影響額、15年度の合計になりますが、マイナス6億3,928万1,000円という形でございました。
次に平成17年度でございますが、このときは給料の月例給の改定率マイナス0.3%、扶養手当につきましては配偶者分が500円の減額、勤勉手当につきましては、これはマイナスではございませんで、0.05月の増加、それから調整手当、これは官民格差調整のマイナスでございました。金額的には、給料がマイナス1,763万1,000円、扶養手当マイナス224万6,000円、勤勉手当、プラスの8,132万4,000円、調整手当、官民格差調整のマイナスでマイナスの7,769万4,000円、影響額の合計でございますが、これはプラス・マイナス相殺がございますが、マイナスの1,624万7,000円という状況でございました。
また、平成18年度でございますが、この年は給与構造改革による平均マイナス4.8%でございまして、給料のマイナスが1億4,600万円、管理職手当としましてマイナスの300万円、期末・勤勉手当としましてマイナス2,800万円、地域手当としましてマイナス1,500万円、影響額合計はマイナスの1億9,200万円という状況でございます。
さらに平成19年度は、給料につきましては、このときは若年層の月例給改定率はプラスの0.11%でございました。扶養手当につきましては、配偶者以外が500円の増、勤勉手当につきましては0.05月増という形でございます。影響額でございますけれども、給料につきましてはプラス1,084万5,000円、扶養手当につきましてはプラスの1,158万円、勤勉手当につきましてはプラスの7,241万2,000円、影響額の合計ではプラスの9,483万7,000円の増額となっております。
これらを合計いたしますと、平成15年度から20年度までの影響額につきましては7億5,269万1,000円となっているところでございます。また、本年度の給与改定の一般行政職と常勤特別職の影響額、合わせますと5億7,486万2,000円となりますので、さきの15年度から20年度の合計額と合わせますと、トータルでは13億2,755万3,000円となるところでございます。
以上でございます。
発言者:竹内清海議長
坂下議員。
発言者:坂下しげき議員
ご答弁ありがとうございました。平成15年度から今回の21年度、合わせますと約13億何がしかになられるということでございます。また、平成20年度の実績で申し上げると、約3億円を退職手当基金に積み立てたということを以前伺っているわけでございますが、私は、予算が減額した理由や将来的な財政負担の軽減、安定的な供給という観点から、当該基金に積み立てることは適当であると思います。したがいまして、許される範囲で積極的に積み立てを行っていくべきであると思うわけであります。
また、先ほども申し上げましたが、将来にわたって市民サービスの安定供給に寄与するものとして、決算剰余金としてしっかり計上し、財政調整基金や市の借金である公債費の返還に充てるのもよいと思います。苦しい中で対応しているというのはよくわかるところでございますが、使い切り予算という考えはあってはならないと思います。すべての事業について言えることですが、不用額が生じた場合、速やかに減額の補正をし、財源の確保に充て、市民サービスの向上に資するべきであります。思いつきの事業展開や無理な事業、緊急性のない事業に不用額を流用すべきでないと思います。
職員の給与体系の改革は行財政的な側面もあるわけでございます。税収減が見込まれることから、用途は慎重に協議したいという旨のご答弁もあったかと思います。しかし、当初予算では、今回の条例改正に伴って減額となる予算は給与として執行される予定のものなわけですよね。つまり人事院勧告が違えば、年度末に税収が減額になっても、ほかの予算に使用できない予算なわけであります。「入るを図りて出るを制す」という、収入を計算して、それに見合った支出を心がけるという財政の心構えの言葉が礼記にありますが、当初予算、あるいは政策全体について見込みが甘かったのではないかと思います。今回の条例改正に伴って5億7,000万円を上回る当初予算の修正が生じますが、これらについて財政部ではどのようにお考えになっているのか、私にはわからないところでございます。
本市は、唯々諾々と人事院勧告に従っているだけで、市川市としての政策的な考えが甘い気がするわけでございます。貴重な税金であり、痛みが伴うものであることをご認識いただいて、市民サービスとして、その有効な使い道について今後真剣にご検討願いたいと思います。
以上で終わります。