平成25年2月定例会 予算委員会(動画)
平成25年2月13日 予算委員会
- 財政について
- 旅券事務について
- 障害者の雇用促進について
◯坂下しげき委員 こんにちは。
自由民主党、市川市選出、坂下しげきでございます。この予算委員会で質疑の機会をおつくりいただきました自由民主党の諸先輩、同僚議員の皆様方の温かいご配慮、御指導に心より感謝を申し上げます。
それでは、早速まいりたいと思います。
本県の財政は、基金の廃止や取り崩し、退職手当債の発行など、まさに綱渡りの状況であります。しかし、このような厳しい状況でも県民が望む政策、県民の命や生活を守るというような政策はしっかりと行いながら、他方では将来に過度な負担、借金を残さない財政にしていかなければなりません。そのためには、財源をきっちり確保し、コストを省き、最少で最大の効果を上げる予算編成、予算執行を厳格に行っていく必要があります。予算は国民、県民からお預かりした貴重な血税であるということを、質疑の冒頭申し上げます。
それでは、平成25年度当初予算における財政状況についてお伺いをいたします。
まず、地方交付税についてでありますが、(1)については了解しましたので、(2)からお尋ねをしていきたいと思います。また、時間の関係、そして議論を通じてわかったところは割愛をさせていただきながら、質問をさせていただきたいと思います。
平成25年度当初予算は骨格予算であり、6月補正で肉づけ予算を行うということであります。この6月補正に備えて一部留保している財源は地方交付税であります。その地方交付税が平成24年度と同程度見込めたとしても、留保できる金額はわずか250億円であります。そこで、6月補正で考えられる財源は、地方交付税の一部留保以外は何があるのかお答えいただきたいと思います。
◯説明者(高橋総務部長) 6月補正予算の財源として、地方交付税の一部や財政調整基金のほか、事業の内容に応じて国庫支出金や地方債などが活用できるものと考えておりました。こうした中、先月公表された平成25年度の地方財政対策では、地方の一般財源の総額は確保されたものの、その内容は、給与削減に伴う地方交付税の削減のほか、防災・減災事業や地域の元気づくりなどの取り組みが盛り込まれております。現時点では、各地方公共団体の財源にどのように影響するのか不明であり、今後、国からの情報を踏まえ、6月補正予算の財源を再度検討していくことになります。
◯坂下しげき委員 本県の政策的経費は前年度予算を見ていくと7%前後ということがわかるわけでございます。県民が望む政策を実現するためには、非常に厳しい財政状況であると思います。早急な財政の立て直しが必要であるということを御指摘させていただきます。
続きまして、退職手当債についてお尋ねをしたいと思います。
財源確保の手段として用いられるものに退職手当債があります。退職手当債は職員の退職手当の原資とするために、県が自己責任で民間からお金を借りるもので、退職金を将来世代に負担させるものであります。
そこで、本県の平成18年度からの累積発行額とその累積額は全国何位になるのかお答えをいただきたいと思います。
◯説明者(高橋総務部長) 平成24年度までの累積発行額は893億円でございます。全国順位につきましては、平成22年度までの発行額しか公表されておりませんが、多いほうから3番目となっております。
◯坂下しげき委員 この退職手当債の発行は、これは県民意識と乖離していると思いますが、当局はどう考えているのかお答えいただきたいと思いますが、こういったものは、民間企業では借金で退職金を払うということはめったにないことだと思いますので、ぜひお答えいただきたいと思います。
◯説明者(高橋総務部長) 退職手当債は、職員数の削減などで将来の人件費を減額する努力をし、償還財源を捻出した場合に発行が許可される特例的な地方債でございます。現在の厳しい財政状況が続く中で、県民生活に必要な事業の財源を確保しつつ、職員の大量退職への対応のために発行しているところでございます。しかしながら、退職手当債の発行については、後年度負担の軽減の観点からも、できるだけ抑制していくことが望ましいというふうに考えております。
◯坂下しげき委員 退職金を将来負担としないために、従前から計画的に基金に積み立てて退職手当債を発行してない都道府県もあります。本県も平成25年度の人件費は前年度比152億円の減額となってるわけです。こういった資金の一部を基金に積み立てていって、将来負担を抑えていくような財政運営を行っていただきたいと、このように思うわけでございます。というのは、本県は退職手当債の累積発行額が途中まで全国ワースト3位、自動車税の収納率もワースト2位、非常にどちらも残念な結果なんですけど、いずれにしても将来を見据えた財政運営に改めていただきたいということを申し上げておきます。
続きまして、財政調整基金でございますが、本県の財源確保の方法として、この基金の取り崩しがあるわけでございます。一般にいう預貯金のようなものが、この財政調整基金でありますが、将来の備えであり、災害時など、緊急的に予算が必要な場合にでも利用できる有事の備えでもあるんです。本県では平成23年度、平成24年度は東日本大震災に見舞われながらも財政調整基金について100億円の残高を維持してきております。しかし、平成25年度は30億円基金を取り崩す予定で、25年度末の残高見込みは約72億円となっているわけでございます。
そこで、財政改革を行っている都道府県では着実に財政調整基金を積み上げていますが、本県では平成25年度、さらに取り崩していくのか、積み立てていくのか、お答えをいただきたいと思います。
◯説明者(高橋総務部長) 平成25年度は県税の減収が見込まれる中、公債費や社会保障費が増加することから、大変厳しい財政状況が予想されます。このため、24年度末残高約104億円と見込まれる財政調整基金の一部について、6月補正予算の財源として取り崩すことを予定してるところでございます。また、基金への積み立てにつきましては、平成21年度以降、将来的な財源の確保に備えて、地方財政法の規定に基づき積み立てに努めてきたところでございまして、今後の積み立てにつきましても、24年度の決算剰余金や県税収入の動向、あるいは追加財政需要の状況などを踏まえながら検討してまいります。
◯坂下しげき委員 この財政調整基金でありますけども、家庭でもこういう預金というものは大体目標を立てて、このぐらい立てようということでやりますので、ぜひ県におかれましても、ぜひ目標値を立てて、そこに向けてやっていただきたい。これも御指摘をさせていただきたいと思います。
続きまして、予算積算についてでございますが、財源の確保が厳しい状況である以上、歳出予算の見直し、予算積算の精査は必要であります。既成事業をただ継続するのではなく、県民目線で、あれか、これかの選択をし、ゼロベースから全体の予算をつくる必要があります。また、毎年度同じように漫然と予算を見積もり、予算要求をするのではなく、積算額を個々に精査し、最少の経費で最大の効果を目指す内容にしなければなりません。
そこで、予算積算段階において一から経費の見直しを行っているのか実例を挙げてお答えをいただきたいと思います。
◯説明者(高橋総務部長) 予算の編成に当たっては、予算要求通知の中で、事業全般について見直しを行うよう通知しております。これを受け、各部局では事業の必要性や緊急性等について検討し、要求しているとこでございます。さらに、予算編成過程においても、例えば補助金については、公益上の必要性、緊急性や各市町村との役割分担を検討するなど、徹底した見直しを図っているところでございます。
◯坂下しげき委員 類似事業、重複事業等について、これ関係部局間でもうちょっと調整を図れたり、事業効果の検証を行ったり、また、事業数についてもどれだけあるかということを、この間伺ったら余り把握をされていないようであります。これではやはりコスト意識に欠けると言わざるを得なくなってきてしまいますので、ぜひそういったところ、しっかりと精査していただいて、よりよい事業をやっていただきたい。積算をする段階でもそういったことをやっていただきたい、これまた要望しておきます。
続きまして、国の税制改革の部分で伺っていきたいと思いますが、財源確保の観点から、国の税制改革は注視していかなければなりません。一時期、自動車取得税の廃止の議論がありました。消費税増税についても、国税である消費税と地方消費税の割合が現行法のまま、地方が少なくてよいのかという議論もあろうかと思います。国の形をつくる大きな要素は税制にあります。税の仕組みを変えることで中央集権体制から地方分権体制に大きくかじを切ることもできます。今後の日本にとって、国民にとって何が1番であるのか、重要な局面であると思います。国の税制改革について、どのような考えを持っているのかお答えをいただきたいと思います。
◯説明者(猪鼻税務課長) 税務課長の猪鼻です。
今回の国の税制改正の中で大きな関心を持ったものは、自動車取得税の廃止です。自動車取得税は貴重な財源であることから、全国知事会等を通じ、堅持すべきとして主張してまいりました。その結果、地方財政に対する適切な補填措置を講じることなどを前提に、抜本的な改革を行うこととし、平成26年度税制改正で結論を得ることになりました。今後とも、地域経済の活性化など地方の増大する役割に対応できるよう、みずからの貴重な財源である地方税の充実を図らなければならないとの考えのもと、必要なことは声を大にして訴えてまいります。
◯坂下しげき委員 力強くてありがとうございます。ぜひこの問題については、国の仕組みについてとか、さらに国会や国民に訴え続けていただきたいと思いますので、ぜひとも森田知事に頑張ってやっていただきたい。また、森田知事であれば、そういったことができると思いますんで、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、旅券事務のほうにお伺いをしたいと思います。
ただいま国と地方の税の配分についてお尋ねをいたしましたが、この旅券、パスポートの手数料についても同じことが言えます。例えば私たちは10年のパスポートを申請するとき、手数料として合計1万6,000円を支払います。この手数料が国と都道府県の分納制になっており、1万6,000円のうち国が1万4,000円収納し、千葉県は残りの2,000円を収入としています。国は県の実に7倍取ってるわけです。旅券発給事務は大きく申請、審査、作成、交付の4段階に区分されますが、そのほとんどを都道府県が行っていますよね。しかし、都道府県の手数料はわずかであり、事務費に超過負担が発生し、県の持ち出し部分が生じていますよね。
そこで、旅券事務に係る国、県の手数料の内訳、つまり手数料収入をどのようなことに使用しているのかということ及び県の超過負担額はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
◯説明者(豊島国際課長) 国際課長の豊島でございます。
10年旅券の発行手数料は、委員御指摘のとおり1万6,000円でございます。その内訳でございますけれども、外務省から国の手数料の主な内訳として、IC旅券冊子代、職員人件費などが4,000円、邦人保護費用が1万円と聞いております。県の手数料の主な内訳です。職員人件費、事務所の賃料、旅券作成委託業務などでございます。県の超過してる負担額でございますけれども、平成23年度決算ベースで約4,600万円となっております。
◯坂下しげき委員 この部分は国と県の手数料収入の適正化については、国との議論の余地があると思います。他県とも共同して見直しを図っていくべきであると思いますので、ぜひやっていただきたい。
続きまして、次に参ります。
千葉県では、旅券申請から発給まで6日から9日という案内ですが、例えば広島県では10年の旅券で通常よりも4,000円多い2万円の手数料を負担することにより3日間で旅券を発給する早期発給制度を行っています。これは県民サービスの向上、受益者負担の原則、県の費用負担の軽減等を勘案した結果だと考えられます。千葉県でも検討すべきであると思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
◯説明者(豊島国際課長) 委員御指摘の手数料を増額しての早期発給は、現在、広島県のみで実施されております。広島県では、昨年10月、早期発給が必要となった方を対象に手数料を4,000円追加負担することにより、申請から3日目に旅券を交付する制度を創設したと伺っております。県といたしましては、旅券の発給事務は国からの法定受託事務として実施し、旅券法施行令により都道府県手数料の標準額が定められていることから、現時点では難しいものと考えております。
◯坂下しげき委員 手数料の標準額、これあくまで標準額を定めて、あとは条例で幾らにでもすることができるわけですよね。これ以上は言いません。そういったこともあるんで、ぜひ特区申請等をうまく使いながら検討していただきたい。そうすることによって、受益者負担をいただくことによって、県の費用負担の軽減が図れるじゃないですか。ぜひお願いしたいと思います。
続きまして、平成16年に旅券法が改正され、平成18年3月の施行によって市町村への再委託が可能になり、より市民に近い場所での申請が可能となりました。このことについては本会議等を通じてありましたが、私も市議会議員を2期やりましたが、その市議会議員時代から、市町村で、市川市で旅券をやるべきじゃないかと、県にお願いするべきじゃないかということをずっと訴えてきた一人であります。そして、本県の常任委員会の中でも伺ったこともあります。
そこで、旅券事務を市町村に権限移譲する場合の課題は何か、お答えいただきたいと思います。
◯説明者(豊島国際課長) 旅券事務でございます。市町村に権限移譲するに当たっての課題といたしましては、まず、県内各市町村の権限移譲に関する意向が必要だと考えております。権限移譲に伴い、県と市の窓口が混在する場合の県全体のサービスレベルの維持とコストの問題も考えられます。申請書類やパスポートの保管などに係るセキュリティー体制の確立などが考えられます。
以上でございます。
◯坂下しげき委員 ちょっとわかりづらかったんで、ちょっと確認をさせていただきたいと思いますけども、例えば市川市──私は市川市ですから、市川市がやりたいです。浦安市もやりたいです。そして、例えば、船橋市は今、やりたくないっておっしゃってるみたいですけども、市町村に受けるのはやりたくないっておっしゃってるようだけど、この船橋市とか、こういういわゆる葛南旅券関係の部分の区域で、じゃあそこの市町村がやりましょうと言った場合には、葛南旅券事務所じゃなく各市町村に権限移譲することが可能だという、まずそれをクリアしなければ先のセキュリティーの問題とかには入っていかれませんよね。とりあえずそこのベースが整えば市町村に対する権限移譲が前進するという解釈でよろしいのでしょうか。
◯説明者(豊島国際課長) 既に実施してる県などに情報を伺ってるとこでございますけれども、例えば葛南地域の1市だけとか2市だけというように、県と市の窓口が混在いたしますと、近隣市町村間で行政サービスの差異が生じてしまうこと、それから、県から市に交付金を負担することになりますけれども、そこの全体で県の人員、コスト、もしくは旅券業務全体の低減とか、そういう面から考えていかなければいけないかなというふうに考えております。そのような課題が存在してるというふうに理解しております。
◯坂下しげき委員 この旅券事務に関しては、全国的にも事務に係る費用が大きいことから、市町村が受けにくいのも現状であります。手数料の国と地方の分納割合が変われば、より国民にとって身近で便利な窓口ができると思います。国との交渉を積極的に行っていただきたいと、それで市町村に権限移譲していただきたいということでございます。ぜひお願いをしたいと思います。
続きまして、障害者の雇用促進について伺ってまいりたいと思います。
この雇用政策を有効にバックアップするには莫大な予算が必要となるわけでございます。しかし、政策入札という制度を使えば、予算を新たに1円もつけることなく雇用政策を行うことができます。政策入札とは、一般的な入札である価格の高低だけで落札者を決めるのではなく、例えば障害者の雇用率を達成している入札者を公正に評価し、入札金額のほかにこのような点を加点し、落札者を決定していくやり方であります。例えば本県の平成25年度の委託料は約28億3,000万円あります。この既にある予算を活用して政策入札を実施し、県民の雇用をバックアップしていくことができるわけでございます。
そこで、障害者就労支援施策の充実の観点から、県が発注する公共工事や物品購入等の入札に政策入札を取り入れるべきと考えますが、このことについてお答えをいただきたいと思います。
◯説明者(佐々木産業人材課長) 産業人材課長の佐々木でございます。
県内で活動する企業において障害者の雇用が確保されることは、障害者の自立という面からも大変重要なことと認識しております。このため、県では公共工事や物品購入等の入札に当たって、その参加資格の審査に際し、障害者の法定雇用率を満たしている企業に対して加点するなど、障害者の就労支援に努めているところです。なお、さらなる優遇措置につきましては、その必要性も含めまして、今後、他の自治体の状況等を踏まえながら研究してまいります。
◯坂下しげき委員 これね、新たに予算をつけなくても既存の予算の中で障害者雇用を進めることができますし、また、さらに政策的な評価部分をつければ、県民、高齢者、子育て等、雇用のバックアップが図れるわけであります。ぜひともお金が要らないんですから、新たに使わなくていいんですから、うまくこういった政策入札というものなどを使って県民の雇用をバックアップしていただきたいということを申し上げまして、まだほかにもやりたいんですが、時間ですね。ありがとうございました。(拍手)